インバウンドと越境ECで3兆円市場へDACと百度(バイドゥ)が語る中国市場と進出のカギ
インバウンド誘致や越境ECを中心に、拡大する中国広告市場。その需要の獲得に、多くの日本企業がますます熱い視線を注いでいます。デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(以下、DAC)は、2018年9月に中国における検索エンジンシェアNo.1の百度(バイドゥ)の日本法人であるバイドゥ株式会社が認定した基幹代理店7社のうち1社に選ばれました。(ご参考:プレスリリース)
現在の日中広告市場の違いや日本企業が誤解しがちな点、またDACと百度の連携によってどういったことが可能になるのか? 中国の大学を卒業して以来、中国関連のビジネスを手がける百度日本法人(バイドゥ株式会社)の國井雅史氏と、中国で生まれ育ち、日本の大学での留学を経てDACでグローバルメディアのセールスに携わる方斯斯(ホウ・シシ)に聞きました。
-まずは、中国の生活者の状況や広告市場の状況について、日本と中国で今どういった違いがありますか?
- 國井
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まず、日本人が想像する以上に中国のほうがデジタル化が進んでいます。日本のようにPCが普及し、次にスマートフォン(以下、スマホ)が普及したのではなく、中国ではPCを使っていない人にも一気にスマホが浸透しました。そこで、皆さんもご存知のように、Alipay(アリペイ)やWeChatPay(ウィーチャットペイ)などの決済システムが日常的に機能しています。
中国で一気に決済のデジタル化が進んだことには複数の要因がありますが、根本的な理由は「現金が不便であること」だと思っています。中国は日本のようにATM網が整備されていませんし、使いたくても1時間並んだりすることもあります。口座引き落としも充分でないので、電気代の振込に窓口で並びますし、そもそも偽札が多い状況なので、ネットが解決する“便利さ”の余地が大きかったのですね。日本はむしろ、現状でもそれなりに便利なので決済のデジタル化が進まないとも聞きます。
-生活者の検索傾向の違いや、デジタルマーケティング上で驚かれることなどはありますか?
- 方
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ありますね。アジア圏では日本や香港、台湾は「◯◯ 靴 価格」などスペースを使いながらフレーズを組み合わせて検索しますが、中国は「◯◯の靴はいくら」といった形で、文章で検索されることが多いです。
- 國井
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デジタルマーケティングにおける日中の違いですと、そもそも広告費の内訳が全く異なります。日本はインターネット広告費がやっと広告費全体の25%ほどになりましたが、中国ではネット広告が75%です。その内訳は32%がEC内広告(モール広告)、次いで約25%が検索広告、SNS広告は意外と低くて10%ほどになっています。これらの比率をみると、モール広告や検索広告がそれだけ利用価値のあるものになっていることがわかります。
- 方
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市場の大きさも、見過ごされがちですね。日本の人口が1億人強に対して、中国は14億人に迫るほどになっています。中国で最も人口の多い広東省が1億人くらいですね。日本の人口や予算と同じ感覚で中国市場に広告を展開すると、全国配信では極めて薄くなり、効果が望めないことが多いです。地域別や属性などで細かくターゲティングすることが大切です。
- 國井
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逆に、人口の規模だけに期待して「それだけ売れるはず」と安易に考えると、それはそれで結果は出にくいですね。市場や国民性を正しく捉え、自社製品の強みを踏まえてしっかりと中国向けの販売戦略を立てられている企業は、着実に成果を上げられています。