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ヒット習慣予報 vol.394『ナイトフルネス』
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ヒット習慣予報 vol.394『ナイトフルネス』

 

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中川です。

昨年からちょっとお酒を控えていまして。そうすると、自然と夜の飲み会の誘いも少なくなってきます。少し寂しい気もしつつ、夜の時間が長くなり、今までやらなかったような自分時間がすごせてそれはそれでとても楽しいものです。海外ではソバーキュリアスと言われていますが、あえてお酒を控える人たちが世界的に見られるようです。一日の終わりにお酒を飲んでパーッと盛り上がるのも勿論いいですが、穏やかに心を満たすマインドフルネスな夜を過ごす、名付けて「ナイトフルネス」な新習慣が広がりつつあります。Googleトレンドで見てみると「夜時間」「チル(=まったり過ごす)」というキーワードが上昇傾向にありました。夜をゆったり過ごして、精神的な静寂や明日へのコンディショニングを重視する人が増えているのでしょう。

▼「夜時間(青)」「チル(赤)」検索量推移(2004年以降・日本)

出展:Googleトレンド

ひとつ目のナイトフルネスな事例は、「アナログ創作への没入」です。
あえてデジタルデトックスをして、アナログな創作活動を楽しむ傾向がみてとれます。大人向けのブロック玩具、パズル、塗り絵などに没入したり、紙のノートに一日の感情を自由に吐き出すジャーナリング(書く瞑想)をしたり、ガラス容器の中に苔で小さな風景をつくる苔テラリウムをつくったり、お香やアロマを自分で調香したり、さまざまな事例が見受けられます。私自身も、夜の自分時間に大人向けブロック玩具をつくってみたら、いろんな雑念を忘れて、すっかり創作活動に没入して、そのあとぐっすり眠れました(笑)

次に、「夜のサードプレース」の拡がりです。
以前のコラムで「新夜活」として取り上げましたが、仕事の後に人がつながるときに、居酒屋やバーなどお酒を介する場所から、そうではない場所へとシフトしているようです。人気のサウナに同僚と行って、ゆっくり仕事の悩みを語り合ったり、特別に夜に開放された動物園、植物園、美術館などで昼間とは異なる趣で静かに向き合ったり、ナイトラン、ナイトヨガなどでアクティブなつながりをつくったりと、夜のコミュニティのあり方が変わりつつあるようです。SNSを見てみると、「夜の読書会」「夜のお茶会」「夜のボドゲカフェ」など、好きでつながるいろんな集まりが見受けられました。

最後は、「眠りのリデザイン」です。
昨今、睡眠の質を高めるための動きがよく見られますが、さらにマインドフルなものにする進化が見られました。例えば、良質な睡眠を求めて旅をする「スリープツーリズム」が世界的に注目されているようです。ホテルが、寝具、空調、運動、食事、医師の助言など様々なソリューションを整えてお迎えするものです。SNSを見ると「これはニーズありそう」「いい睡眠状態を確かめに行きたい」「睡眠は効果の高い自己投資」などポジティブな反応が多くみられました。また、かつては、寝酒という言葉をよく聞きましたが、今はリラクゼーションドリンクに変わってきたり。ついには、AIスリープコーチが、その人の生活習慣に合わせて、最適なストレッチなど具体的なアドバイスをしてくれるようです。

では、なぜ「ナイトフルネス」は広がりつつあるのでしょうか。
ひとつには、今まではお酒を飲んで気分を高めたり嫌なことを忘れるという習慣が目立っていましたが、そうではなくて心を穏やかに整えるスタンスが増えてきたことが考えられます。その方が、結果的に翌日のパフォーマンス向上にもつながるし、心豊かな状態が長く続くと気づいた人が多いのかもしれません。もう一つは、あらゆる情報に広くさらされることへの疲労感が蓄積して、もっと一つのことに深く没入することへの欲求が高まっているのでしょう。没入することで、脳をリフレッシュしてスッキリできる感覚があるのかもしれません。

このように広がりつつある「ナイトフルネス」ですが、そこには新たなビジネスチャンスが広がっています。

「ナイトフルネス」のビジネスチャンスの例
■ ハムスターなどの夜行性の動物と夜にゆっくり戯れられる「夜のアニマルカフェ」を開設。
■ 大人向けブロック、パズル、塗り絵などが月に一回届く「夜の大人のアナログ創作サブスクサービス」を開発。
■ 夜の余白時間に、ゆっくり瞑想するために飲む、心が落ちつく「夜専用リラクゼーションドリンク」の開発。
など

夜の余白時間に、文章を書くとか、音楽をつくるとか何か新しい創作活動がしたいなと思いつつ、結果的にいろんな動画ばかり見ることになり、脳が疲れて眠りが浅くなる日々を繰り返しています(笑)今年はもう少しナイトフルネスな活動を取り入れてみようと思います。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。 
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。 

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  • クリエイティブ局 チームリーダー
    ヒット習慣メーカーズ リーダー
    エグゼクティブクリエイティブディレクター
    メーカーの商品開発職を経て、2008年に博報堂中途入社。
    ECDとして、広告のみならず商品、サービス、事業にいたるまで幅広い領域に携わっている。今年は、自然の音を収録して楽曲づくりをするフィールドレコーディングをやってみたいと思っているのですが、なかなか進みません。