最新のAI調査からみる生活者の変容と、その先を描く博報堂DYグループのソリューション群~博報堂DYグループ 「AIに関するプレスセミナー」レポート【後編】~
博報堂DYグループのAIに関する先端研究機関「Human-Centered AI Institute(HCAI Institute)」は、2025年11月25日に「AIに関するプレスセミナー」を開催しました。前編では、HCAI Institute代表 森 正弥による、AIエージェント元年と呼ばれた2025年の総括と2026年に注目すべきテーマ。後編は、最新のAI調査からみる生活者・企業・社会全体の「意識変化」と「新たな行動様式」の考察、かつてないスピードで変化する時代を的確にとらえ、その先を見据えた博報堂DYグループのソリューション群を紹介します。
前編はこちら
最新調査から見えてきた生活者の「意識変容」と「兆し」
西村 啓太
博報堂DYホールディングス Human-Centered AI Institute 所長補佐
生成AIが急速に普及する中、「実際に生活者がどの程度AIを利用し、どのように日常に取り入れているのか」を分析するために、生成AI利用者の実態や暮らし・働き方の変化、未来への意識変容を深く掘り下げたのが「AIと暮らす未来の生活調査2025」です。
①AIは誰が、どのくらい、どう使っているのか

調査結果によると、生成AIの認知率は85.3%に達し、実際に利用したことがある人は30%強です。これは、イノベーター理論において普及の起点となる「16%の壁(キャズム)」を超えたことを意味しており、生成AIが一部のアーリーアダプター層だけのものから、一般層へと浸透してきたことがわかりました。


利用者は10~30代が中心ですが、50~60代でも約3割が利用しており、幅広い年代への浸透が確認されたほか、半数近くが「2~3日に1回以上」と回答するなど、利用頻度の高さも伺えます。

利用目的については、ビジネス・プライベート・学業のいずれも共通して「情報収集」が最も多く、ビジネスでは業務効率化や創造支援、プライベートでは悩み相談や対話など用途に応じた使い分けが進んでいます。一方で、非利用者の多くは「使い方がわからない」「必要性を感じない」としており、今後の普及にはリテラシー向上と日常生活での有用性の実感が課題となります。
②AIで暮らし方(情報行動・購買行動)はどう変わるのか


生成AI利用者の55%、特に若年層の約6割がAIの情報を「信頼している」と回答しましたが、「AIの情報だけで十分」とする人は約2割にとどまり、約半数はマスメディアやSNSなど他の情報源との併用が必要と考えています。

情報収集の面では、AIがSNSやECサイトに次ぐ「2~3番手の情報源」としての地位を確立しつつあり、特に「好きなコンテンツを楽しむ」「商品を比較検討する」といった場面で強みを発揮しています。

一方、実際の「買い物」行為自体は楽しみや体験の要素が強いため、「人間がやるべき」と考える人が多数派を占めました。
③AIで働き方はどう変わるのか

生成AIの主な用途は、調べ物や情報収集、要約、文章生成、議事録作成など、日常業務で発生する基礎的なタスクが中心です。

生成AIの普及拡大に向けた課題には、「社員の知識不足の差」「利用目的の不明確さ」「社員の変化への適応能力の不足」などリテラシー面の問題が大きく影響していることが明らかになりました。
④AIと生活者のミライはどう変化していくのか

今後のAI利用において注目すべきは、AIに対する意識の変化です。「AIは感情を持たず批判しないため、人には言えない悩みを気兼ねなく相談できる」という心理的価値が高く評価されています。

さらに「AIの情報が信頼できるか」、「AI生成物に満足できるか」、そして「AIが人間に代わって生成しても許容できるか」の3軸で生成AI利用者を分類したところ、図のように4つのグループに分けることができました。なかでも、最も大きなグループになったのはAIを信頼して利用している「AI推し層」です。
この層はAIに単なる機能だけでなく、「気持ちを共有・共感してくれる存在」としての“感情的なつながり”を求めている傾向も明らかになりました。

また、全体の約6割が「人間主体で物事を進めることが望ましい」と回答し、特に潜在利用意向者や非利用意向者になるとその比率が全体よりも上がってくる結果となりました。
AIが話し相手になれば、新しいメディアの未来像が見えてくる

こうした結果は、AIが生活者との関係をどう変えるか、そして新しいメディア体験をどう生み出すかという未来像にもつながっています。
博報堂DYグループは、人とAIを対立軸で捉えるのではなく、“生活者がAIをまとって生きる”という新しい姿を提示します。AIは 「便利な道具」から「悩みを託せるパートナー」へと役割が変わり、AIによって自動で物事が進む未来よりも、人間主体でAIがサポートする関係が支持されている、という点が重要です。
生成AIと既存メディアの利用状況を比較すると、生活者が多くの時間を費やしているのは検索よりも「コンテンツを楽しむこと」でした。AIの存在感が高まる中、AIが話し相手になることで、楽しみと情報収集が一体化した新しいメディア像が見えてくるのではないでしょうか?
AIが生活者の趣味嗜好や文脈を深く理解すれば、SNSや動画メディアのような「暇つぶし」や「娯楽」の役割を担うかもしれません。デジタルヒューマンが自然に語りかけてくる未来を想定すると、AIとの対話そのものがメディア体験になり得ると思います。
こうした未来像は、単なる予測にとどまりません。後半はこの変化を捉えた、ブランド体験を進化させるソリューション群をご紹介します。
創造性を拡張するAIパートナー「バーチャル生活者」
北川 雄一朗
博報堂テクノロジーズ マーケティング事業推進センター 副センター長兼部長
バーチャル生活者は、AIと人が対話を通じてアイデアを深める環境を実現します。人の思いや想像力といった人間性を起点に、AIとの対話を通じて新しい問いや発見に出会い、人間では気づかない別の視点や可能性を探すパートナーとして位置づけています。
バーチャル生活者の基盤になっているのが、博報堂DYグループが保有する20万人規模の独自調査データ「Queridaパネル」です。属性や、趣味・嗜好などの意識データのほか、利用しているウェブサイトなどの実行動データをもとに、ターゲット分布やクラスターを精緻に再現。そこから「N=1」を生成し、リアルな対話を実現します。
ターゲットの具体化や企画立案において、再現されたペルソナにインタビューし、生活者の考え方や商品受容性を深掘り。提案アイデアに対するターゲットの反応を探索し、企画のブラッシュアップに活用できます。
プロダクトの機能の特徴は3つあります。

1つ目はエビデンスにもとづく生活者の再現です。Queridaパネルを活用し、プロンプトを細かく調整しなくてもデータを根拠としたペルソナを迅速に生成。回答の根拠も明示でき、信頼性の高いアウトプットを提供します。
2つ目は複数のバーチャル生活者と同時に対話し、どの層へのコミュニケーションを最適化すべきかを比較検証できることです。例えば「どのペルソナがCMに好意を持つのか」といった問いに対して、複数ペルソナの反応を並行比較できます。
3つ目は生活者発想法に基づく深いインサイトの抽出です。博報堂DYグループのインサイト発掘手法を学習させており、対話の中で自然に「なぜ?」「どうしてそう思うの?」といったペルソナの深層心理を引き出すことが可能です。企画のアイデアがどこに刺さりやすいか、どのような価値が響きやすいかといったインサイト検証を精度高く行うことができます。
ブランドらしさを宿すAIエージェント「Branded AI Agent™」
中島 優人
博報堂 CXクリエイティブ局 エクスペリエンスディレクター
「Branded AI Agent™」は、「ブランドらしさ」や「ブランドの想い」を宿した対話型AIエージェントで、あらゆる生活者接点において一貫したブランド体験を実現します。
生活者との接点は無数に存在し、すべてのタッチポイントでブランドらしさを浸透させることがかつてないほど複雑になっています。そのため、多くのブランド担当者は、あらゆる接点でブランドを定着させることに悩みを抱えています。
また、AIによってクリエイティブの大量生成が可能になった反面、ブランド表現の均質化や没個性化を招く「AIによるブランドの同質化」という課題も顕在化してきています。
「ブランドの個性をどう作るか」は普遍的な課題で、アプローチは時代とともに常に変化してきました。産業革命ではブランドは「信頼できる商品を見分ける印」として誕生、マスメディアができて大衆意識が芽生えた時代には、ブランドの「意味を伝える」ことが重視されました。そして、ソーシャルメディア時代には「行動で信頼性を築く」流れから、パーパスやブランドアクションの重要性が高まったのではないかと考えています。

AIの登場で、ブランドと生活者の間には「無数の対話」が生まれる時代になりました。これからのブランディングでは、生活者の心に残るブランドらしい対話を届けることが重要です。
Branded AI Agent™は、ブランドを“生き物”として捉え、その生命をAIエージェントとして実装する、という発想で開発しています。
もしブランドが生きていたら、どんな価値観を持ち、何に興味を抱き、生活者とどう対話するのか。ブランドの“人格”を定義し、AIとして自律的に動けるようにすることで、あらゆる接点でブランドらしい対話やアクションを実現します。

「生活者インターフェース市場フォーラム2025」では、博報堂のカルチャーである「粒ぞろいより、粒ちがい」という思想から着想を得て、「tsubuchigAI(つぶちがい)」というプロトタイプを発表しました。
プロトタイプの制作を通して、図に示す5つのポイントが見えてきました。

AI時代において、従来の静的なブランドブックやガイドラインだけでは、増え続けるタッチポイントをすべてカバーしきれません。だからこそ、常時対話を前提とした新しい動的なブランド定義が必要とされ、生活者の心に残る“ブランドらしい会話”をいかに生み出すかが鍵になってくるでしょう。
「ブランドの想いをAIに宿す」にはブランディングの視点が大事になり、さらに「対話し続けたくなるAI」として成立させることには広告コミュニケーションが培ってきた知見も活きてくると考えています。
この2つを掛け合わせて、博報堂DYグループだからこそ実現できる価値をBranded AI Agent™で提供していきます。
博報堂DYグループのフルファネル型AIソリューション
野田 耕平
博報堂DYホールディングス Human-Centered AI Institute マネジメントプランニングディレクター
博報堂DYグループは、リサーチから戦略、メディアプラニング、クリエイティブ、セールス、効果測定までを一貫して支援できるフルファネル型のソリューションを提供できるようになりました。各領域における代表的なAIソリューションは以下です。
マーケティング領域: CREATIVITY ENGINE BLOOM、AIO診断サービス
メディアプラニング領域:AaaS(アース)
クリエイティブ領域:AI Craft Studio
※先端AI技術を活用し、生活者接点へのビジュアルクリエイティブ制作を効率化・高品質化する新体制
アナリティクス領域: DATA GEAR Voice Analysis
セールス領域:バーチャル販売員

他にも100種類ほどのソリューションを保有しており、今後も国内外の主要研究機関とのアライアンスを通じ、グローバルで幅広いAIソリューションやサービスを提供していく予定です。
この記事はいかがでしたか?
-
博報堂DYホールディングス Human-Centered AI Institute所長補佐
-
博報堂テクノロジーズ マーケティング事業推進センター副センター長兼部長
-
博報堂 CXクリエイティブ局 エクスペリエンスディレクター
-
博報堂DYホールディングス Human-Centered AI Instituteマネジメントプランニングディレクター


