ヒット習慣予報 vol.233『アプデフードコート』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの金田です。
気づけばもう8月も終わり。ですがまだまだ暑い日々が続いています。
暑さに弱い私はこの時期涼しさを求めて地下街を通ることが多いのですが、その地下街にあるフードコートを夕食の時間帯に通ると、本当においしそうな香りが漂っており、いつもその香りの誘惑と戦いながら家路についています…笑
さて、今回のテーマは「アプデフードコート」です。
昔からフードコートという存在はありましたが、ショッピングセンターやアミューズメント施設などで大手チェーン店などの軽飲食が食べられる、割とカジュアルな飲食スペースという印象を持っている人も多いのではないでしょうか。
このフードコートが最近、アップデートされて新しい形になり、注目されてきているというのが今日のお話です。
まずはGoogleトレンドで「フードコート」を検索してみると、2020年頃から再び注目度が上がってきていることがわかります。
(「フードコート」に関する検索数の推移)
では具体的にどのようなアップデートがされているのでしょうか。
アップデートされたポイントとともに、アプデフードコートの例をご紹介します。
1つめは、「こだわりフードコート」です。
これまでのカジュアルなイメージを一新させ、高級店や話題の専門店を集めた、食材の質や味にこだわり雰囲気もおしゃれなフードコートが登場しています。
いうなれば、大人版フードコート。
魚介や野菜などの食材の販売店舗を併設している場所もあり、マーケットのような活気を感じることもできるのだとか。
高級店や専門店などそれぞれ独立した店舗に行く場合は、そのお店の料理だけを堪能する形になりますが、フードコート形式にすることによって、ふらっと気軽に立ち寄って色んなお店のトレンドの料理やこだわりの料理をつまみ食いできる環境が整ってきているのです。
2つ目は「マニアックフードコート」です。
これまでのフードコートは色んなジャンルの料理のお店が1か所に集まっている場所でした。しかし、中華料理なら中華料理のみ、韓国料理なら韓国料理のみ、といったようにある特定のジャンルに限定した料理が集まり、お手頃価格で本場の味をたっぷり楽しめるフードコートが注目され始めています。
このマニアックフードコートでは、日本人好みに味を変えていない本場の味がそのまま楽しめたり、その国の各地域にある個性的でマニアックな料理も楽しめるといった特徴があります。
また、フードコートの雰囲気もその国の特徴を押さえていることから、フードコートを歩いているだけで、まるで海外の市場でグルメ散策をしているような気分にもなれるのだとか。
以前に比べるとまだ海外旅行に行くハードルが高い今、近場で海外に来たような雰囲気を楽しみながら、その国の本場の味の料理をいろいろなお店でちょっとずつ食べられる楽しさが注目を集め始めているポイントなのではないでしょうか。
それでは、なぜこのような「アプデフードコート」が注目されてきているのでしょうか。
1つはフードコートのエンタメ化があると考えています。
これまでのフードコートはただ各店舗で購入した食事を食べるだけの場所でした。
しかしアップデートされたフードコートは各店舗やフードコート全体の雰囲気などにもこだわっており、歩いて色んなお店を見てまわるという行為自体が楽しいという体験価値が加わっているように思います。
モノ消費からコト消費にうつっている中で、フードコートでの時間の過ごし方にエンターテイメント性を持たせたことが多くの人の心を捉えて「行ってみたい」という気持ちを起こさせる要因になっているのではないでしょうか。
さらにもうひとつ、フードコートの特徴でもある、それぞれのお店が完全に仕切られておらず、ゆるくつながった一つの大きな空間の中にあるというのも影響しているのではないでしょうか。
トレンドをおさえたお店やこだわりの高級店など、(本当はそんなことないのですが)独立した店舗で食事をする場合は、一人で行く、子連れで行く、食の趣味が異なる友人と行くなど色んなシチュエーションにおいて少し腰が引けてしまう気持ちを持ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、ゆるくオープンな雰囲気のフードコートであれば、一人で行く場合も、食の趣味が異なる友人と一緒に行く場合も、誰もが気をつかうことなく気軽に本格的な料理を楽しむことができる空気感があります。
このような空気感が、アップデートされたフードコートに注目が集まっている理由なのかもしれません。
最後に「アプデフードコート」をめぐるビジネスチャンスについて考えてみました。
「アプデフードコート」のビジネスチャンスの例
■そのフードコート限定で食べられる専門店同士のコラボメニュー開発
■インテリアメーカーを活用した食事スペースづくり(気に入れば購入も可)
■フードコート単位のサブスクサービス
私はどちらかというと色んな種類のおいしい食事をちょっとずつ食べたい欲張りタイプなので、もっともっとアプデフードコートが広まればいいなと密かに願っています。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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関西支社第二ビジネスデザイン局第二プラニングチーム
ヒット習慣メーカーズ メンバー2017年に博報堂入社。大阪生まれ大阪育ちのマーケター6年目。ヘルシー&ビューティー関連が大好き。最近新しい“推し”と出会ってしまい、日常生活がとても活き活きしています。