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プログラマティック広告最新トレンド! 次世代広告配信プラットフォームについて
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プログラマティック広告最新トレンド! 次世代広告配信プラットフォームについて

インターネット広告とテクノロジーを長年探求してきたデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社が、「DAC Digital Update Week 2021」を開催。DACの各領域の専門家が、デジタルメディアとテクノロジーの、いま必要な知識と最新トレンドを分かりやすく解説しました。
本稿では、『プログラマティック広告最新トレンド!次世代広告配信プラットフォームについて』と題したセッションの内容をご紹介。コネクテッドTVやDOOH(Digital Out of Home デジタルサイネージを使った広告全般)といった次世代メディアへの配信、サプライパス最適化(SPO)の取り組み、さらにポストクッキー時代のIDソリューションなど、プログラマティック広告の最新トレンドを分かりやすく解説。次世代広告配信プラットフォームとして進化を続けるプログラマティック広告についてご紹介します。

登壇者:
MediaMath Japan株式会社
代表取締役社長CEO 豊福 直紀
(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社 執行役員)

MediaMath Japan株式会社
取締役CCO 富松 敬一朗

■次世代広告ソリューションにおける協働を開始したDACとMediaMath

豊福
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(以下、DAC)は、プログラマティック広告分野におけるグローバルリーダーであるMediaMath Inc.(以下、メディアマス社)と協業することになりました。
私が2社のJV(ジョイントベンチャー)であるMediaMath Japan株式会社の代表CEOに、これまで日本拠点のカントリーマネージャーでいらした富松さんにCCO(チーフクライアントオフィサー)として参画いただくこととなりました。
メディアマス社は、ガートナーやフォレスターといった業界のリサーチメディアによる発表でも、DSPだけでなくDMPの領域でもグローバルリーダーと位置付けられているアドテック会社です。さらにアドバタイザー・パーセプションズ™のクライアント評価においても、1位に選ばれている。フォーチュン500社の3分の2以上の会社がすでにメディアマスを使っており、多くのメジャーなクライアントに支持されていることがわかります。
では富松さんから、メディアマス社のグローバル展開についてご紹介いただけますか。
富松
メディアマス社は、本社はニューヨークですが、2007年の創立以来世界各地に事業展開しているアドテック会社です。コアバリューの1つ目は結果にコミットメントすること。パフォーマンス系、ブランド系のKPIに対し達成していく点です。2つ目は透明性。DSPからパブリッシャーまでの間のサプライチェーンにおいて透明性を維持することです。3つ目はコントロール。クライアントというより広告会社に運用を任せ、データを使いながらフレキシブルに自分たちで運用し結果を出していくという点です。

メディアマス社はいまだに独立系のDSPとして過去14年間にわたり世界で実績を積んでいますし、DMPも装備していて、シームレスに、途中でデータを欠落することなく広告運用したり、マッチングしながらターゲティングできるという特徴があります。またAPIでOEM、お客様独自のブランドでDSPを提供できますし、AIをもしお持ちであれば乗り換えることも可能です。ブランディングでもパフォーマンスでも柔軟に対応しており、CPI、CPA、ROAS対応ももちろんできます。ビューアビリティ、ブランドセーフティ、アドフラウド対策も万全を期しています。さまざまな世界のベンダーさんと連携しているのでワンストップでKPIに向かってキャンペーンが遂行できます。1stパーティ、2ndパーティ、3rdパーティからIPアドレス、お客様が持っているDMPとあらゆるデータを活用しターゲティングカスタマーにアクセスできますし、それを使ってオムニチャネル――たとえばコネクテッドTV、DOOH、デジタル屋外広告、オーディオにも配信ができる。AI、データを使ってオプティマイゼーション、最適化していくという点が、他社にない特徴になります。

現在、海外ではほぼ100%このプログラマティック(運用型広告)を使っていますが、最大の優位性は、AIによる効率性です。ニールセンのDARでは80%のターゲット率を達成しています。フリークエンシーコントロールもすべて一括管理でき、ひと月待たずに、毎日その結果を検証し、チューニングし最適化ができる。透明性という意味で、それを持ってプログラマティックであたることができるというところが、特徴になります。

日本での実績で言うと、メディアマス社は過去2年で600%の売り上げV字回復を果たしていますし、グループ内でもアジアでの売り上げがNO1となっています。またグローバルクライアントの逆輸入という点で、メディアマスを使っていなかったが、日本で使ってみて大成功をおさめ、その実績をもとに本社ヨーロッパでグローバルクライアントとして契約を結び、アジアで3~5カ国に展開するようなクライアントも育っています。

■業界初となる完全透明性のエコシステムSOURCEとは

豊福
メディアマス社の最新の取り組みについてと、プログラマティック広告の最新トレンドについてもご紹介いただけますか。
富松
メディアマス社の最新の取り組みの1つは次世代メディア配信です。
アメリカにおける最新動向をご紹介すると、ここ数年はコネクテッドTVが爆発的に伸びており、これまでのディスプレイ、ビデオから、インターネットとつながったテレビへ、広告機能が大挙して移ってきています。
もう一つはデジタル屋外広告。これもアメリカならではですが、ハイウェーや空港、ダウンタウンのバスストップから、最近ではショッピングモールにおいてもプログラマティックな広告配信がインプレッションベースで可能ということで、広告主、広告会社の皆様に満足いただいているサービスです。いずれも市場規模は2桁成長で伸びており、おそらく近い将来リニアTVに追いつくだろうと予想されています。ここではアメリカの例を出しましたが、アジア、ヨーロッパでも同様の傾向です。

我々が接続しているテレビに関するコネクテッドTV、テレビ局のチャネルには、4大ネットワークはもちろん含まれていますし、HuluやサムソンTV、Rokuなどの動画配信サービスもカバーされています。デジタル屋外広告に関しても我々は世界のパートナー、SSPと連携しています。メディアパートナーとしては、ゲーム会社はもちろん、アプリ専属のSSPなどとも連携しております。

エコシステムについての取り組みとしては、昨年12月、「SOURCE」という業界初の完全透明性のエコシステムを発表したところです。
我々が連携する50社余りの世界の各SSPに対し、毎月評価、ランキングで発表するというもので、評価基準として、DSPから最終のパブリッシャー企業までの経路を管理できるSPOというアルゴリズムで最適化に成功しています。粒度の細かいターゲティングも、もちろんデータを駆使してやっていく。そこに対してSSPがどれだけサポートしてくださるかも評価基準の一つになっています。そしてアドレサブル。フラウド、インバリッドトラフィックをできるだけ最小化することも評価基準の一つです※。また従来のディスプレイビデオだけでなく、オムニチャネルにおいても、どれだけリーチ、ターゲティングできるのか、またサプライチェーンをまたぐ複数のID基準なども、評価基準の一つです。最後にALIGNED。広告主のKPIをちゃんとヒットできるのかどうか、リーチできるのかどうかが評価基準になっていますし、我々のアルゴリズムといかに連携できているかも実は評価基準の一つで、その完全透明性のあるサプライチェーンとして評価させていただいています。

SOURCEを使った事例として、まずはB2Bの例をご紹介します。IBM社とはここ数年ずっとパートナーとしてご協力いただいていますが、SOURCEをいち早く使っていただいています。CPMが減少し、KPIである、彼らの言うCPEV(コスト・パー・エンゲージメント・ビジット)も減少。ビューアビリティの大幅な改善が果たされています。B2Cの例では、アメリカの大手リテールの小売業ですが、こちらもCPMの大幅減少、ビューアビリティ、実質のコンバージョンの増加、そしてROAS改善も達成しています。これら2つの例からも、SOURCEというものがいかにインパクトがあり、広告主に対してKPI等改善の効果があるかわかっていただけるかと思います。

最後に、ポストクッキー時代のIDソリューションにおける我々のアプローチについても簡単に説明させてください。

3rdパーティクッキーがクッキーレスになることで、1stパーティデータがベースとなります。もちろんユーザーレベルでのプライバシーに配慮しながら、データの損失をなくし、いかに真の1stパーティデータを確保し広告配信に活用するかがキーとなってきます。我々は、世界各地のデータ会社、IDソリューションのベンダー、DMPの会社、競合のDSPとも実は組んで、彼らの持つIDソリューションを使い、そのまま広告配信するという360度外交を考えております。彼らが出してくるデータをそのまま使うことでデータ漏洩もありませんし、問題があれば議論しながら解決していくということで、このIDキーチェーンを使うことでアトリビューション、リマーケティングが可能になります。

実際にいま日本ではライブランプ社とテストを始めていますし、海外ではすでに事例があります。ライブランプ社のアイデンティティーリンクを活用した形でCPA、ROI、リーチで改善が見られており、日本においても、最低でもこのレベルの改善は期待できると考えています。

豊福
メディアマス社はまさにグローバルでDSP、DMPに強みを持つ会社として成長してきた会社であり、DACはまさに日本において、インターネット広告業界で実績を積み重ねてきた会社です。両社の座組として、メディアマスジャパンが立ち上がるということです。

当然メディアマスが持つグローバルなSSP、接続先については変わらず使えるわけですが、DOOH、オーディオ、コネクテッドTVといったオムニチャネルにおける展開にも備えています。日本での展開においては、DACが持つ「AudienceOne®」を中心としたさまざまなターゲティングが可能な、ローカルデータでいけば1,400種類以上の座組をすでに備えていますし、広告主が望む日本でのターゲティングが可能であると考えています。

それを実現するにあたっては、やはりIDソリューションをうまく活用することで、先ほどお話したさまざまな配信先において、たとえばフリークエンシーコントロールをかけたり、ブランドメッセージをコントロールしたりといったことが実現可能となります。広告主がプログラマティック広告に求めるのはまさにそうしたコントローラブルな、かつブランディングが可能なソリューションであるはずですから、メディアマスジャパンとしても、その最新のソリューションをお届けしていけたらと考えております。

以上となります。ありがとうございました。

※アドレッサビリティ(アドレッサブル広告) デジタル広告が、個人のデバイスやブラウザを識別し、到達可能であること(特定の個人を識別し、到達できることではない)。 アドレッサブルであること(アドレッサビリティ)は、フリークエンシーコントロールやトラッキング、オーディエンス分析、ターゲティング、パーソナライズを実現する上で必要不可欠な要素である。従来のPCやスマートフォン上に配信されるネット広告において、アドレッサビリティは自明視されていたが、テレビのデジタル化に伴ったテレビ広告におけるターゲティングやトラッキング方法が課題になったり、昨今の3rdパーティトラッキング排除のトレンド(3rdパーティクッキーの利用停止、スマホ広告IDの同意必須化、等)によってネット広告におけるアドレッサビリティは損なわれつつあるため、アカウンタビリティ(取引の透明性)と並んで、業界(特に広告主サイドにとって)の喫緊課題となっている。

アドフラウド:自動化プログラム(Bot)を利用したり、意図的に大量の広告枠を非表示で設置したり、スパムコンテンツを大量に生成したりすることで、インプレッションやクリックを稼ぎ、不正に広告収入を得る悪質な手法。(参考サイト

IVT(Invalid Traffic)=無効なトラフィック:広告配信の品質の観点で広告の成果の測定値に含めるべきではないトラフィックのこと。略して「IVT」と呼ばれている。
IVTは2種類に分けられていて、1つは検索エンジンのクローラーのようなプログラムによる悪意のないトラフィックで「一般的な無効なトラフィック/General Invalid Traffic(GIVT)」といい、もう一つは作為的にインプレッションやクリックを発生させる悪意のある不正なトラフィックで「悪意のある無効なトラフィック/Sophisticated Invalid Traffic(SIVT)」という。GIVTは、既知のデータセンタートラフィックや検索エンジンのクローラー等、リストの適用または、その他の標準化されたパラメータチェックにより実行される、定型のフィルタリングで識別可能なトラフィック。SIVTは、人によるトラフィックであるかのように偽装しているものなど、様々な種類の無効なトラフィック。不正に広告費を詐取することを目的としたアドフラウド(Ad Fraud)によって生じるトラフィックも含む。IVTは一般的に測定値から除外しており、その方法としては、リストの適用やフィルタリングによる広告配信前の遮断または配信後の検知・除外、広告配信後の異常なアクティビティの検出・判定による除外、その他の合理的な方法によって行う。
(JIAA 無効トラフィック対策ガイドラインより抜粋)

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  • 豊福 直紀
    豊福 直紀
    MediaMath Japan株式会社
    代表取締役社長CEO
    (デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社 執行役員)

  • 富松 敬一朗
    富松 敬一朗
    MediaMath Japan株式会社
    取締役CCO