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クリエイティブに、企画に、事業開発にAIを! 「AIブレストスパーク」で縦横無尽に発想を広げる
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クリエイティブに、企画に、事業開発にAIを! 「AIブレストスパーク」で縦横無尽に発想を広げる

優れたクリエイティブには、その思考の過程に必ず“ジャンプ”があるといわれます。様々な業界や領域でイノベーションが求められる昨今では、企画や事業開発にもジャンプを伴う発想が不可欠です。……が、そんなジャンプは狙って起こせないのが難しいところ。博報堂が独自の発想支援メソッドを基に、AI技術を有するTIS社と共同開発した「AIブレストスパーク」は、AIが瞬時かつ大量に「コトバのヒント」を抽出・生成し、ブレストをたちまちトップスピードへと持ち上げます。機械の案だと批判しやすい、大量にあれば捨てやすい、といった意外な効能を交えて、人間とAIマシンの協業の可能性を、博報堂側の開発リーダーのエグゼクティブクリエイティブディレクター八幡功一に聞きました。

大量のワードやフレーズを瞬時に抽出・生成する「AIブレストスパーク」

島野
聞き手を務めます、CMP推進局の島野です。さて八幡さん、「AIブレストスパーク」は2019年7月にリリースして、クリエイターのほかにもメーカー企業などの事業会社で企画に携わる方々などにも利用がひろがってきているようですね。
八幡
そうですね。先日は、内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部事務局の方が気に入ってくださって、地方創生課題の解決を発想支援する機能をつくってほしいということで新たに開発したりしました。AIブレストスパークには、“ビジネスアタマ”“主婦アタマ”など分野や志向の違う思考回路で発想を広げられる「他人アタマで考える」という機能があって、そこに“地方創生アタマ”が実装されました。また直近では、もっと毎日のスキマ時間で皆さんに使っていただけるように、この春にスマホアプリをリリースする予定です。
島野
すでに他のメディアの記事でも取り上げられたり、完全マニュアルブック『AIで楽しく発想強化する本 AIブレストスパーク フル活用のための55のコツ』(CCCメディアハウス)も出ていますが、そもそもAIブレストスパークとはどういうものか紹介いただけますでしょうか?
八幡
ひとことでいうと、AIを搭載した発想支援クラウドサービスです。大きくは2つの機能がありまして、「ひらめきマップ」では、気になるキーワードを入れると、AIがネット上でキーワードと共に“今語られているコトバ”を瞬時にクロールし、関連性を可視化しながらヒントとして大量に表示してくれます。同時に「ブレストアイデア」では、キーワードを様々なコトバと「意外接着」し、新たなアイデアや切り口として、人間には絶対出せない量で提示してくれます。それらを眺めながら発想すると、ひとりでもチームでも、人間だけでは決してたどり着けなかった高みへとジャンプすることができます。
島野
ただ、深掘りしたいキーワードに関連するコトバを、ネット上をクロールしてピックアップするだけでは、意味不明なジャンクともいえるワードやフレーズも大量に表示されてしまいそうですよね?
八幡
そうなんです、ネットの海は文字通り玉石混交なので、関連度が高いからといって発想の刺激になるような、ブレストを活性化するワードやフレーズが出るとは限りません。「AIブレストスパーク」のいちばんの特徴は、博報堂の発想プロセスをAI技術で再現している点ですが、「ひらめきマップ」の開発でも、クリエイターが作った理想のマップを教師データとしてAIに学習させています。だから、ネットの海がヒントの海になるのです。

“たくさん案を出して捨てる”のは、実はぜいたくなこと

島野
たとえば「ポテチ」と入れた場合だと、このような感じで膨大なワードが出てくるんですね(以下参照)。どれもなかなかの意外接着で、ありかもと思わせるような……これをシャワーのように浴びていくと、たしかに全方位的に脳を刺激してくる感覚がありますね。この絶妙なアウトプットに、博報堂の知見が含まれている、と。

・ポテチアンチエイジング
・逆張りポテチ
・ポテチロボ
・ポテチドリブン
・異業種連携ポテチ
・ポテチの認知バイアス
・差がつくポテチ
・同時多発ポテチ
・ポテチ還元率
・運命を変えるポテチ
・ポテチぶっちゃけトーク
・ズボラポテチ
・ポテチ可処分所得
・ポテチの舞台裏
・ポテチどんでん返し ……

八幡
はい。このマシンのために、博報堂のクリエイティブの現場で実践されている発想プロセスやノウハウを抽出し、「博報堂発想支援メソッド」として、1つの鉄則と5つのメソッドに凝縮しました。誰でも簡単に実行できるよう、5つのメソッドはそのまま「AIブレストスパーク」の5つの機能として実装しています。

鉄則:拡散と混沌なくして、跳躍なし
5つのメソッド:
1.自分では思いつかないコトバの海に飛び込む。→機能1.ひらめきマップ
2.コトバとコトバを、意外接着する。→機能2.ブレストアイデア
3.白紙に採集し、島分けする、俯瞰する。→機能3.ノート
4.こんなとき、〇〇だったらどう考える? →機能4.他人アタマで考える
5.すべての刺激に、「あるかも!」スタンスで反応する。→機能5.連続刺激モード

島野
「拡散と混沌なくして、跳躍なし」をもう少し詳しく紹介いただけますか。これ、博報堂のクリエイティブの鉄則ですよね。
八幡
このツールは決してクリエイター向けに特化したものではなく、イノベーティブなアイデアを模索されている製造業やサービス業など一般の企業のマーケティングや企画部門の方々にこそ使っていただきたいのですが、開発のそもそもの発端は「クリエイティブにとって厳しい時代になってきた」ことでした。
1件のプレゼンの準備にかけられる時間が、本当に短くなってしまった。しかも、提案すべきことは、ますます多岐に渡り、複雑化する一方です。僕らが若かった時代のように、じっくりアイデアを練る時間が、今の世代には無いのです。
島野
たしかに、比べものにならないくらいスピードが求められるようになってきていますよね。クリエイティブや企画領域というよりも、社会全体がそうなっている。
八幡
そう、企業のマーケティングや企画部門の方々も同じで、すごく速いサイクルで成果を求められている状況があると思います。昔話ですが、僕らの若手時代はそれこそ100本、200本とコピーを出せと言われ、皆で何時間も議論して批判し合って、僕の案はほぼ捨てられ(笑)、そうやって鍛えられてきた経験があります。たくさんの案をどんどん捨てて、それを踏み台にさらに考えられるっていうのは、実はすごくぜいたくなことなんですよね。

ジャンプには大量の案が必要、でも時間はない、のジレンマ

島野
確かに。より速いサイクルが求められる一方で、働き方改革の視点からも変化が必要ですよね。
八幡
そうですね。だから同じことをやれとは、僕も今の若手には言えないし、企業の方も難しいと思います。
でもやっぱり、高い山はすそ野が広い。山を高くしようと思ったら、すそ野を広げることは絶対条件なんです。先ほど鉄則として挙げた「拡散と混沌なくして、跳躍なし」というのは、皆でとにかく案を出し尽くして拡散していくと、あるときにブレストがカオスに陥るんですよ。えっ、そもそもこの前提でよかったんだっけ?とか、ゴール自体考え直したほうがいいんじゃないか?とか、最初にあった枠組みが揺らいでいく。
島野
それがまさに混沌状態。
八幡
そうです。それを経てこそ、クリエイティブのジャンプが生まれる。短時間、予定調和のブレストでは、僕はやっぱり跳躍と呼べるほどのアイデアを生み出すのは難しいと思います。厳しいことを言うようですが、狭く浅い領域で考えているうちは、その狭さや浅さには気づかない。でも、今のビジネス環境や、また働き方改革時代の効率化要請を踏まえても、僕らと同じことはもうできないのはわかります。定年を控えて、若手に何を残せるか、どうにか僕の世代の暗黙知を今に生かせる形で形式化できないか、と模索していてたどり着いたひとつの解が、AIの活用でした。
島野
AI技術を活用して、人間の知恵をブーストさせて一気に拡散させる、と。
八幡
そう。混沌を迎えるためのいちばん確実な手段が、案を大量に出すことだから。質よりもまずは量なんです、量があればブレストはいきなりトップスピードで走り出せる。先ほど“「ブレストアイデア」では、キーワードを様々なコトバと「意外接着」する”と話しましたが、その“様々なコトバ”の中でも、特に「アシストワード」や「着眼点」という語群は、僕が選定・内蔵しています。長年の経験から、キーワードと化合して新しい価値を生むと思われるコトバを、合計何千という単位で入れています。
島野
これを使い倒すと、八幡さんが加わったブレストが実施できるようなものですよね。
八幡
少々おっさん臭くなるかも(笑)。AIブレストスパークは機械なので、「これは絶対ないだろ」というワードやフレーズもバンバン出してきますが、全部真剣に考える必要は全然ないので。「ん?」となにか引っかかったものだけ拾っていけばいい。

汗をかくのは機械に任せ、ジャンプにこそ人間の知恵とエネルギーを

島野
たとえ時間があったとしても、これだけ網羅性を持って、全方位的にワードやフレーズを出すのは人間では困難ですよね。人間にはどうしても固有の癖があったり、経験による先入観が入ってきがちですよね。
時短だけではなく、人間だけでは難しかった新たな発想が生まれることも大きな価値だと思います。将棋や囲碁の定石がAI活用で進化したと言われるように。
八幡
そうですね、それもこのマシンの大きな利点です。自分が思いついたアイデアや方向性を捨てるのは、人間にとってけっこう難しいものなんですよね。ブレストって、クリエイターはお手の物と思われているかもしれませんが、実はかなり難易度の高いものです。いちばん難しいのは「着眼点の移動」なので、それを強制的に起こしてくれるのは大きな力になります。さっきまで言っていたこととまったく違う方針をいきなり放り込んでくる、自由奔放なクリエイティブディレクターみたいな。あるいは、まったく空気を読めない新人みたいな。
島野
空気の読めない新人(笑)。
八幡
でも新人はしょせん人間だから、AIの網羅性と拡散度合いには敵わないわけ。人間には出せない全方位の揺らぎが、発想脳の刺激になります。また、もうひとつぜひ知っていただきたい点があって、それは“機械の案はけなし放題”ということです。特に日本人だとそうかもしれないのですが、上司の案は「イマイチ……」と思ってもそうは言えなくないですか?
島野
忖度が……。
八幡
そう、忖度が発生する。そうするとつまらない案ばかりがホワイトボードに貼られ、そんな中から生まれた企画や事業アイデアが世の中に出て行ったときに、人の心を動かすものになりようがない。人は、人の案をけなしているときにいちばん脳が活性化するそうです。批判するためのロジックを考えますからね。なので、けなし放題の案をたくさん出してくれるという点も「AIブレストスパーク」が議論を深め、飛躍させてくれる大きな要因だと考えています。
島野
総合して、先ほど言われた「AIがパートナーになる」という意味がよくわかりました。最後に、「AIブレストスパーク」をきっと役立ててもらえるクリエイターやマーケター、企画や事業開発に携わる方々にメッセージをいただけますか?
八幡
AIに考えさせると若手が考えなくなる、なんて意見も多少あったのですが、もはやそんなことを言っている時代ではないと思います。汗をかく部分を機械に任せれば、人間はもっと楽に楽しく発想を強化して、人間にしかできない跳躍力で、まだない価値創造を達成できるはずです。ヒントの量に面食らってしまう方もいるようですが、そこは踏ん張って、大量のヒントの上で考えられる幸せの方を味わってほしいです。
これからは、こつこつゼロから考えるのではなく、自分のアタマの中に外に飛び出て、AIのブーストつきで考える時代。AIのヒントがあれば、人間はもっと高く跳べるはずです。人間の創造力に点火するマシン、あなたのブレストにぜひ加えてみてください。

世の中で初めての、具体的かつ大量のヒントで発想を確実に助けてくれるAIマシンです。

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  • 博報堂 エグゼクティブクリエイティブディレクター
    1983年博報堂入社。様々な企業の新商品開発、市場導入戦略、IMC戦略を担当。博報堂クリエイティブ自体の「組織とその武器開発」や「発想とその育成法」についても考えてきた。「人間の本能を直撃する写真展 ~脳よだれ展」や「そもそもをデザインする」等、イベントや出版物のプロデュースも行う。
  • 博報堂 CMP推進局 局長代理
    1991年に博報堂に入社。主にマーケティングセクションに在籍。飲料、通信、サービスなど様々な業種の得意先を担当し、マーケティング戦略立案に従事。2012年よりアカウンタビリティ推進部長として、mROI最大化に向けた取組を進める。その後、データドリブンマーケティング部長を経て、2017年よりデータドリブンマーケティング局局長代理。2019年4月より現職。2018年より博報堂DYホールディングス兼務。共著:『基礎から学べる広告の総合講座』(日経広告研究所)