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メディア定点調査コラム2018【3】メディアの個性と生活者にとっての価値~メディアイメージ4地区比較~
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メディア定点調査コラム2018【3】メディアの個性と生活者にとっての価値~メディアイメージ4地区比較~

博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所が年1回定点観測している「メディア定点調査」から生活者のメディアライフを読み解く、メディア定点調査コラム。今回は、4地区(東京・大阪・愛知・高知)のメディアイメージを比較していきます。

【調査リリース】「メディア定点調査2018」時系列分析

個性豊かなメディアに生活者が抱く価値

メディア定点調査では「タブレット」以外の「テレビ」「ラジオ」「新聞」「雑誌」「パソコン」「携帯/スマホ」の6メディアについて、メディアイメージを調査している。「情報が信頼できる」「情報が幅広い」など、メディアイメージは全部で42項目ある[図1]。

【図1】メディア定点調査における、メディアイメージ全42項目

日々の接触などを通じて、メディアに対するイメージは、ゆっくり時間をかけて無意識のうちに形成されていく。メディアイメージは、メディアが持つ個性と言い換えることができ、それらの個性は生活者にとっての価値ととらえることができる。

「携帯/スマホ」の価値は拡大中

メディアイメージ42項目の内、各メディアはどのイメージ項目で首位になっているのだろうか?まずは東京のデータを見てみよう。
「携帯/スマホ」が首位のイメージは全部で17項目あり、6メディア中トップである。今年初めて「携帯/スマホ」が首位になった項目は、「習慣になっている」「仲間との話題に必要」「役立つ情報が多い」の3つ[図2]。

【図2】東京で「携帯/スマホ」が首位となった、メディアイメージ17項目

「携帯/スマホ」はこれまで「情報が手早くわかる」「情報が早くて新しい」など、早さや新しさという機能的価値が評価されていたが、習慣や仲間との話題など生活に根差した価値も加わった。「携帯/スマホ」の価値は拡大しているのである。

メディア価値に見る地域の特性

「携帯/スマホ」以外のメディアを見てみる。テレビはおもしろさ・感動・楽しさなどの情緒的価値、新聞は信頼・社会に提言など情報の質的価値が評価されている。雑誌は個性・センスという流行発信源としての価値、ラジオは癒し・生活者の声に耳を傾けるという生活者との距離の近さが評価されている[図3]。

【図3】「携帯/スマホ」以外の各メディア 首位のメディアイメージ(東京)

続いて、イメージ項目ごとに首位のメディアを4地区並べて見てみよう。4地区共通のメディアが多く見られるが、地区単独のメディアもあり、そこに地域の特性が見えてきておもしろい。
「11.気持ちが落ち着く情報が多い」「21.生活者の声に耳を傾けてくれる」でテレビが首位なのは大阪だけである[図4]。「関西のテレビは地元の人を取り上げる番組が多いし、関西人は地元愛が強いのかもしれない」とは地元大学生の弁。確かに東京では「場所」を訪ねる番組はあっても「人」に特化した番組はあまり見ない。地元の人達がテレビに出ているということから、テレビに対して大阪独自のイメージが形成されていったのかもしれない。大阪では「42.自分も参加した気持ちになる」もテレビが首位である。ちなみに「自分も参加した気持ちになる」は高知でもテレビが首位だ。

【図4】「気持ちが落ち着く情報が多い」「生活者の声に耳を傾けてくれる」「自分も参加した気持ちになる」でテレビが首位なのは大阪だけ

高知単独でテレビが首位なのは「9.役立つ情報が多い」「12.自分にとってなくてはならない」である。そして「7.身近な内容の情報が多い」「21.生活者の声に耳を傾けてくれる」は高知単独で新聞が首位である[図5]。高知でインタビュー調査を行った際、知人の情報を得るために新聞の訃報や投書欄を真っ先に見るという発言を聞いたことがある。テレビと新聞のイメージに高知の独自性が見えてくる。愛知はどのイメージ項目も他地区と同じメディアが挙げられており、愛知の独自性は見られなかったが、それもまた地域の特性と言える[図6]。

【図5】高知でテレビと新聞が単独で首位となる項目には独自性が見えてくる
【図6】愛知はどのイメージ項目も他地区と同じメディアがあげられていた

「どの個性を磨けば生活者にとっての新たな価値になるのか?」は、今後メディアビジネスを考える上で大切なポイントになるのではないだろうか。

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  • 博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 上席研究員
    1989年博報堂入社。メディアプラナー、メディアマーケターとしてメディアの価値研究、新聞広告効果測定の業界標準プラットフォーム構築などに従事。2013年4月より現職。メディア定点調査や各種定性調査など生活者のメディア行動を研究している。「広告ビジネスに関わる人のメディアガイド2015」(宣伝会議) 編集長。