生活者DMPとAI技術が生みだすのは、新しい生活者インサイトだ
去る2018年2月13日・14日、東京ビッグサイトにてマーケティング・テクノロジーフェア2018が行われ、博報堂DYホールディングス マーケティング・テクノロジー・センターの佐藤健一主任研究員がセミナーに登壇しました。
本セミナーは、「生活者DMPデータとAI技術が生み出す、新しい生活者インサイト探索について」と題し、DataRobot社のチーフデータサイエンティスト・シバタアキラ氏と共に実施したもの。シバタ氏によるDataRobotのご紹介、佐藤研究員からのDataRobotを活用した生活者DMPデータ分析デモ、の二部構成で行われました。
まずはシバタ氏より、DataRobotの理念や概要をご紹介。DataRobotは機械学習プラットフォームであり、データサイエンティストでなくとも予測モデルを生成する、ことを目指していると説明しました。「組織の中のすべての人が機械学習の応用機会を見つけることで、データ活用から価値を創出できる」と語ります。
また、機械学習がモデル化出来るプロセスは、予測だけにとどまらず、推定、分類、検知、判別など多岐にわたること、さらには領域も金融、小売、製造等幅広いことが紹介されました。あわせて、該当セクションもマーケティングを中心に営業、人事、オペレーションなど広く対応しているといいます。
その後、実際のDataRobotの画面を投影し、活用プロセスを説明。シンプルで取り扱いが容易であること、数千の候補から最適なアルゴリズムを瞬時に選定し分析出来ることなどを説明しました。
続いて、佐藤研究員より、自身の所属するマーケティング・テクノロジー・センター、そして博報堂DYグループが保有する生活者DMPについてご紹介。2017年10月にDataRobotを生活者DMPのマーケティング・インテリジェンス機能として採用し、さらにはDataRobot社とのコンサルティングパートナー契約により、クライアントにおける機械学習活用支援を開始したことを説明します。
そして、実際に生活者DMPデータを活用したインサイト発掘例をデモンストレーション。
ここでは分析対象として某食品をピックアップし、生活者DMPに搭載されている購買ログおよび食意識・健康意識などの属性情報を活用。その場で実際にデータ・セットをDataRobotに読み込ませ、その食品が購入された背後にある生活者インサイトを探索するデモ分析を披露しました。
佐藤研究員は、DataRobotの利点として、データの前処理で試行錯誤する時間が短縮できたこと、アルゴリズム選定やプログラム実装作業に費やす時間が不要になったこと、豊富なAPI群によって既存システムへの組み込みも容易なことを挙げ、「機械学習技術をマーケティング現場へ実戦投入するスピードが飛躍的に早くなった。」と語りました。さらに、「機械学習技術の実践活用は、現状のデータ分析業務を効率化させることだけにとどまらず、マーケッターが“データを元に発想を拡張するためのゆとり”をももたらすのでは」と締めくくりました。
最後に、シバタ氏は、「これまでは『こんなデータがあるけれどどう使っていいかわからない』といった相談が多かったが、今後は活用目的を起点にした戦略的なデータ収集が必要」とコメント。さらに、今後もDataRobotは年数回のアップデートにより、より高度な分析が可能になることを紹介しました。「新しい価値を生み出すための課題解決に機械学習をぜひ応用してほしい」と語り、セミナーを終えました。
登壇した佐藤研究員は、「デモンストレーションを食い入るようにご覧になっていた皆様の表情を見て、改めて、機械学習民主化の夜明けは近いと感じました。国内では先行して金融・製造現場中心に導入が活発化している一方で、マーケティング現場での利活用は端緒に就いたばかりと言えます。お客様のデジタルトランスフォーメーションをご支援するために、引き続き、生活者DMPとDataRobotを組み合わせたソリューション開発に邁進していきます」と語っています。
★ご参考★
【ニュースリリース】博報堂DYホールディングス,米DataRobot社のAIプラットフォームを採用。 新たな"生活者データ・ドリブン"マーケティング・ソリューションの開発に着手。(2017/10/17)
http://www.hakuhodody-holdings.co.jp/news/corporate/2017/10/1455.html
<終>
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シバタ アキラDataRobot, Inc.人工知能を使ったデータ分析によるビジネス価値の創出が専門分野。世界のトップデータサイエンティストが働くDataRobot, Inc.にて、チーフデータサイエンティストとして日本マーケットを担当。ロンドン大学高エネルギー物理学博士課程修了。ニューヨーク大学での研究員時代に加速器データの統計モデル構築を行い「神の素粒子」ヒッグスボゾン発見に貢献。その後ボストン・コンサルティング・グループでコンサルタントとして、主にTMT/製薬業界でのデータ分析業務に従事。AIニュースキュレーションアプリ「カメリオ」を提供する白ヤギコーポレーションの創業者兼CEOを経て現職。
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博報堂DYホールディングス マーケティング・テクノロジー・センター 主任研究員2012年博報堂中途入社。以来、機械学習プラットフォームDataRobot、マーケティング・ダッシュボードVision-Graphics、マーケティング・ミックス・モデリングm-Quadなどを利活用したソリューション開発を主に担当。「生活者DMP」構築に向けたデータホルダーとのアライアンス推進業務にも従事。