ヒット習慣予報 vol.396『インスタントジム』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの村山です。
あっという間に2026年がはじまり、今年こそはと目標をたてることも多いと思います。僕は入社以来15キロ以上増えてしまった体重と日々の運動不足をどうにかせねばとここ数年毎年思っているのですが、なかなか実行できず「今年もだめだったか」を繰り返しています。人生100年時代に健康寿命を伸ばすためになるべく運動したい!という気持ちはあるのですが、ジムに通うことも、パーソナルジムに通うことも、だめだったのです。そんなお金をかけても運動の習慣化がことごとく駄目な人でも、もしかしたら運動に少しずつチャレンジできるかもしれない新習慣が今回のテーマである「インスタントジム」です。
「インスタントジム」とはインスタントラーメンのように手軽におうち時間や日々の生活の中でできる運動習慣のことなのですが、僕がたまたま最近(遅ればせながら)やっとこさなんとなく運動をはじめるきっかけになった体験をもとにしているので、誰もが確実に運動習慣を身につけられるようになる、ということを謳うものではありませんが、ぜひ実践して確かめてみてください。
1つ目の事例は「エアトレーニング」。僕が「インスタントジム」に興味をもつきっかけになった事例です。ヒット習慣メーカーズのリーダーである中川悠さんとくだらない話をしている時に、最近「エア縄跳びやっててさ」と言われたことがきっかけでした。そのくだらないというか効果があるのかわからない名前に違和感を覚えつつさらに詳しく聞いてみると、どうもちゃんと効果が現れているだけでなく、マンションのような集合住宅で暮らす人にも利便性がある運動で合理的にさえ思えてくるものでした。その実、縄をつかわずに縄を飛ぶように腕をまわしながらジャンプするだけ、というものなのですが、軽めのジョギングくらい運動効果や血流改善などの効果があるようです。それもマットやクッションをひくことで騒音対策をすれば家でテレビを見ながら実施することも可能ですし(腕立て伏せや腹筋よりもコンテンツのながら観にちょうどいい)、ペットボトルに水をいれて両手にもちながら運動することでさらなる効果も見込めるようです。(専用のグッズも売られています)。しかも、縄跳びって、子供のころは普通に遊びとしてやってたなという原体験があり、走れ!とか、筋トレしろ!とか言われるよりも気軽に取り組めそうな響きを有している点もとてもいいなと思いました。
2つ目の事例は、「HIIT」というトレーニング。HIITとは「High Intensity Interval Training(高強度インターバルトレーニング)」の略称です。コロナ禍でおうちトレーニングの流行とともに話題になったもののこの1年でもまだ検索数が右肩あがりに上昇していることがみてとれます。
「HIIT」の検索数推移

出典:Googleトレンド
僕がHIITを知ったのはSNSでトレーニング方法を発信しているアカウントの投稿がキッカケでした。コロナ禍に友人も動画SNSを観ながらトレーニングをしているような話を聞いていましたが、HIITは(個人的な感覚ですが)そのリズムにあわせてシンプルな運動を繰り返すところも、それでいでストイックで集中できる感覚も、初心者向けの運動は、たった数分間でOKのようなスキマ時間で取り組める簡便さもとても魅力的に思えたのです。最近そのことを思い出し、ジムにいく意識の高さもない自分は、無料で動画をみながらおうちで取り組める数分間のトレーニングからはじめてみようという気になりましたし、日々の仕事の打ち合わせの合間に、「あ、このコーヒー飲んで休憩している数分間でできるわ」とか「1日24時間あるのに、その数分間なんて微々たるものだろ」みたいな感覚を覚えるようになり、なんと徐々に運動をはじめることができるようになったのです(筋肉痛に悩まされる点と、まだ継続といっても数週間の話なので挫折する可能性も大いにありますが)。調べてみるとその起源は1930年代まで遡れるようで、全く最新のトレーニングということではないのですが、SNSはじめとしたデジタル環境の変化によって古くからあるものの価値が見直されることはよくあることなので、その感覚も自分には妙にしっくりくるものがありました。
3つ目の事例は、「階段のぼりおり」です。あまりにもシンプルなので、どういうこと、という感じですが、ただ階段をのぼりおりは筋トレ効果だけでなく健康効果があるという研究結果があるようです。認知症予防など様々な効果についての研究がなされており、最新の研究結果では、1日60~100段、階段を登っている人は心筋梗塞や糖尿病のリスクが軽減されることがわかったようです。(※)たかが階段、されど階段だなと思いました。SNSで検索してみると階段のぼっただけで、疲れた、息切れした、などの投稿があり、共感しかありませんでしたが、階段を運動不足のリトマス紙にするのではなく、簡単にできる運動の機会として捉え直すことで日々の生活の捉え方が変わってきそうです。ちなみに、最近、都市生活の可能性を探究するさまざまな活動体や官民を巻き込みながら、現代の生活者にとって本当に幸せな、豊かな都市生活とは何かを追求し、社会実装までを目指す社内プロジェクト「New Urban Guerrilla」の対談記事第2回において東京大学大学院医学系研究科の准教授である鎌田 真光氏と対談した中でも、「心臓病や脳血管疾患などさまざまな疾病や障害のリスクを高めるとして、日本人の死亡原因の3位に入ってくるのが「身体活動の不足」です。都市化が進み利便性が高まるのと比例して身体活動不足も増加してしまうのです。日本人の平均歩数はもともと低下し続けていますが、コロナ禍で急激に低下し、今も完全には回復していません。これは世界的な傾向でもあります。」と語られていました。
※ Do stair climbing exercise “snacks” improve cardiorespiratory fitness?
https://cdnsciencepub.com/doi/10.1139/apnm-2018-0675

なぜ、「インスタントジム」のような新習慣に注目が集まっているのでしょうか。ひとつに筋トレを日々の生活を自ら整える行為として取り入れる選択肢の広がりがあるのではないかと思います。生き方も働き方も多様な選択肢が存在しはじめている社会において、圧倒的にシンプルな生活習慣が、古くて新しい規律として受け入れられ始めているように思います。他にも、コロナ禍を経た自分時間への興味と、人生100年時代にむけて、“今”だけでなく“未来”への人生設計への興味、経済動向も含めた先行きがみえない社会への備えに対する興味が重なった結果なのではないかと思います。体が資本、という言葉への見直しが進んでいるのかもしれません。
それでは、「インスタントジム」のビジネスチャンスについて、考えてみたいと思います。
「インスタントジム」のビジネスチャンス例
■ 通勤用バックパックの背面パッドにウェイトを着脱できる「荷重トレーニングリュック」
■ 駅やオフィスの階段をスマホカメラで映すとゲームになる「階段限定ARゲーム」
■ オフィス内に希望者はトレーニングしながら仕事できる「トレーニングオフィス」
運動習慣、今回はどこまで継続できるかわかりませんが、諦めずに、挑戦し続けていきたいなと思います!
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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博報堂 PR局
ヒット習慣メーカーズ メンバー車からお菓子に至るまで様々なクライアントの情報戦略、企画立案に携わる。お酒を飲んでサウナにはいる、そんな生活を見直したいなと思っています。


