デジタル広告の”勝ちクリエイティブ”を導き出すリチカの運用型クリエイティブとは?
SNSやデジタルメディアが増え生活者との接点がより複雑化している昨今、デジタルマーケティングの需要はますます拡大しています。デジタルマーケティングにおいては、各マーケティング施策におけるデジタル広告のクリエイティブの最適化、いわゆる生活者に届く”勝ちクリエイティブ”というものを常に考えなければいけません。そこで、博報堂DYベンチャーズの出資先で博報堂DYグループとの協業実績もある広告クリエイティブ運用クラウドを提供する株式会社リチカの東さんをお招きし、運用型クリエイティブの価値や今後の博報堂DYグループとの協業の未来について語りました。
*労働集約型の広告産業を変える!デジタル広告の勝ちクリエイティブとは?
- 大橋
- 博報堂DYベンチャーズは2021年9月に、デジタル広告の勝ちクリエイティブを導き出すリチカに出資させていただいています。本日はリチカと博報堂DYグループとの連携事例やこれからの未来ついてお話できればと思います。まずは、リチカがどういう会社であるか、東さんご説明いただけますでしょうか。
- 東
- リチカは「クリエイティビティで、世界を豊かに。」をミッションに、2014年に創業しました。端的に言うとクリエイティブをデジタルの面でゴリゴリ回すテックスタートアップです。クリエイティブ制作はまだまだ労働集約的な一面がある中、リチカはテクノロジーの力を活用してクリエイティブで生活者にもっと伝わる世界を目指しています。
まずは、リチカが提供している2つのSaaSツール「RICHKA Editor」と「RICHKA AiDist」について簡単にご紹介させてください。
「RICHKA Editor」は誰でも簡単にマーケティングに特化した静止画や動画を制作運用できるクラウドサービスで、既存の画像や動画素材をテンプレートに当てはめることで、デジタルに特化したクリエイティブが作れるというものです。LINE、YouTube、Meta、TikTokなどのプラットフォーマーとクリエイティブの研究開発を行うことで、媒体ごとに成果の出やすいクリエイティブを言語化・数値化し、2,500以上のフォーマットテンプレートを提供しています。
次に「RICHKA AiDist」は、ハイレベルなプロンプトエンジニアリングを実装したマーケティング特化型のAIアシスタントサービスになります。本格的なマーケティング思考プロセスを再現しており、URLや商品情報を入力するだけで高度なペルソナ分析やカスタマージャーニーを描くことができ、キャッチコピーやランディングページの構成を簡単に生成することが可能です。
これまでこの2つのツール提供を通じて、累計2,000社以上の支援実績があり、動画・静止画生成本数は50万本を超えました。
- 村上
- マス広告と異なり、デジタル広告は各メディアのユーザーごとにターゲティングができるのが特徴ですよね。一方で、昨今のデジタル社会ではメディアも増え生活者接点が複雑化している中、メディア媒体への最適化というのは非常に重要なテーマだと思います。見るヒト、見るタイミング、見るメディア、それぞれに応じたクリエイティブはデジタル広告を実施する際のコンバージョンに繋がる最大のターゲティング施策になるとも考えられますし、それこそがまさに”勝ちクリエイティブ”だと思います。つまり、リチカの提供しているソリューションは「勝ちクリエイティブを導き出す運用型クリエイティブ」ということですね。かつ、テクノロジーを活かしているからこそ労働集約型も改善でき現場の業務DXにも貢献することができる。
- 東
- そうなんです。私も総合広告会社に勤めていたので、どのようなクリエイティブを作るべきなのか、どのように効率的に業務を推進していくべきかという悩みは常にありました。SNSも多様化し生活者との接点がより複雑化しているため、施策目的に合わせた形で各メディアに対するクリエイティブの最適化が必要になります。加えて、変化が早いデジタル領域においては、PDCAを回す “量” と、誰に何を届けていくのかという “質” も担保しなければいけません。リチカの運用型クリエイティブとは、クリエイティブを軸にデジタル広告の最適な運用を行うところに最大の提供価値があると思っています。
*HDYグループとリチカの事業連携の未来
- 大橋
- リチカはツール提供だけでなく広告運用に関連するサービスもご提供されている点について、これまでの博報堂DYグループとの協業実績とともに教えていただけますか?
- 東
- リチカはクリエイティブエージェンシー機能も持ち合わせていて、クリエイティブ制作の効率向上や運用成果の改善支援も提供しています。各クライアントの課題に最適なチームを臨機応変に組成し、クリエイティブ領域で手厚く伴走支援を行います。博報堂DYグループとも様々な案件でご一緒してきました。3つほど事例をあげて紹介させてください。
まず1つ目は大手金融系クライアントの場合です。このクライアントは1to1マーケティングをしたいが、どのようにすれば良いか分からないという課題がありました。そこでリチカは顧客データの中からターゲットを細かくクラスタリングし、クラスタごとに最適なクリエイティブを大量に生成することで、デジタルの強みを活かした高速PDCAでのデジタルクリエイティブ運用を実現することができました。
次に2つ目として別の大手金融系クライアントの場合なのですが、大量のクリエイティブ運用を行い、いわゆる”勝ちクリエイティブ”を見つけられるパートナー選定を模索されていました。これはコンペ形式での提案だったのですが、RiCHKA AiDistを活用しAI
で多くのコピーを生成することで、ご提案時には100本を超えるクリエイティブを提示することができました。その結果、博報堂DYグループとリチカなら量と質を担保しながら、“勝ちクリエイティブ” を導き出すクリエイティブ運用体制を提供できることをご提示することができ、見事パートナーに選定されました。
最後の3つ目は大手自動車系クライアントの場合です。TVCM等のために制作したマス広告素材、せっかくなら他の活かし方も無いかな?と悩まれていました。リチカのソリューションを活用することで、既存のマス広告素材を活用し各SNSメディアに最適化したクリエイティブ運用が実現できます。結果としてクライアントのブランドリフトに貢献できたという実績もあります。
- 大橋
- お話いただいた事例、いずれもリチカの強みを最大限に活かした事業連携ですね。これまでの事業連携において博報堂DYグループやクライアントからはどのようなフィードバック等がありましたか?
- 東
- まず共通して皆さんがよく話されるのは「デジタルでいかに1to1マーケティングを実現するか。」「そのPDCAを効率よく運用できるだろうか。」という課題ですね。リチカのソリューションでこれらの課題解決に貢献することができたと思っています。リチカはSaaSツール提供会社という印象が先行しがちなのですが、実際にHDYグループの皆様と協業させていただく中で、クリエイティブのクオリティやデジタル戦略の中身についてもアドバイスを求められることが多くてとても嬉しかったです。また協業を通じてHDYグループのクリエイティビティや生活者発想の考え方にも触れることができ、協業したからこそ幅広い課題解決施策をクライアントにご提案できたと思います。
- 村上
- 私もこれまでリチカとの協業に幅広く伴走してきました。リチカが有するツールやテクノロジーの価値はもちろんなのですが、その時々で柔軟にチーム体制を変えて、一緒にクライアントの課題解決に取り組む姿勢も、博報堂DYグループのパートナーとしては非常に心強いところだと思います。
- 大橋
- 逆に村上くんにも質問したいのですが、クリエイティブエージェンシー機能を持っているという観点では博報堂DYグループとも競合してしまうような気もするのですが、これまでうまく協業が進んできた背景ってなんだと思いますか?
- 村上
- 大橋さん、鋭いですね。確かに博報堂DYグループにとっては近接領域であり競合ともなりうるのでは?という見方はできると思います。繰り返しになりますが、リチカは各大手広告‧SNSプラットフォームと研究開発をこれまで進めてきていて、動画と静止画両方での最適なクリエイティブのフォーマットを大量に保有している。かつ、スピーディーに大量生成することで、ユーザーや出稿先ごとに高速PDCAのサイクルを生み出せるのがリチカの強みであり優位性になります。では博報堂DYグループがこのソリューションをすべて内製化しているのかというとそうではなく、グループ内外の様々なパートナーと連携することでクライアントの課題解決に幅広く貢献してきました。リチカもそのパートナーの1社だと思っていて、単なるツール提供者ではなくクリエイティブエージェンシー機能も有しているからこそ、広告会社との最適な組み方を理解していて、博報堂DYグループと共同提案やクリエイティブ運用の座組を柔軟に組成できる。故に競合ではなく協業パートナーとしてこれまで様々な連携が進んできたと村上は考えていますし、リチカと連携することで新しい提供価値、新しい事業連携の未来というのがまだまだあると思っています。東さん目線ですといかがでしょうか?
- 東
- まさにその通りかなと思います。特に、クライアントのために柔軟に自由にスピーディーにチームで動けるのもスタートアップならではの強みだと考えています。もちろん博報堂DYグループも同じようにクライアントのために動かれているとは思うのですが、スタートアップならではのパワー・スピード・柔軟性が効いているのかなと。これからも博報堂DYグループと一緒に様々なデジタル広告のクリエイティブ運用におけるクライアントの課題解決に取り組んでいきたいです。制作業務の効率化や、量産体制、高速PDCA、クリエイティブの最適化などなどお気軽になんでもご相談いただければと思います。
- 大橋
- さて、勝ちクリエイティブを導き出すリチカについてここまでお話してきました。リチカは各種広告配信プラットフォームごとに広告クリエイティブを最適化することができ、高速でPDCAを回しながらクリエイティブの運用支援を幅広いクライアントに提供してきました。これからのデジタル社会ではより高度な1to1マーケティングの需要が高まるとも推察されます。博報堂DYグループのクリエイティビティとリチカのテクノロジーを掛け合わせて、よりよい未来をデザインしていく、そんな協業を今後も継続し、クライアントに新たな価値提供を一緒に取り組んでいきたいですね。東さん、ありがとうございました。
- 東
- いいですね。ぜひ、私たちもご一緒していきたいと思います。本日は本当にありがとうございました。
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東 裕⼈株式会社リチカ
Brand AIX本部 アカウントプランニング部 部長代理新卒で大手広告会社に⼊社。営業として⺠間企業(⼤⼿⾃動⾞メーカー等)から、官公庁まで幅広く担当し、広告戦略策定~実施‧検証まで⼀気通貫のプロモーション施策に従事。リチカでは、⼤⼿企業を中⼼にデジタルマーケティング全般を⽀援
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株式会社博報堂DYホールディングス
戦略投資推進室 事業連携推進グループ マネジメントプラニングディレクター前職でIPOを経験後、グロースを統括し経営戦略管掌の執行役員を務める。その後quantumでは共同事業開発やベンチャーキャピタル業務に従事。2023年8月より現職。University of Cambridge修士(MBA)
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株式会社博報堂DYホールディングス
戦略投資推進室 事業連携推進グループ マネジメントプラニングディレクター新卒で大手証券会社に入社し、リテール営業を経験後、IPOコンサルタントとして未上場企業のIPOアドバイザリー業務に従事。2019年より当社グループへ参画し、博報堂DYベンチャーズの創業メンバーとして、スタートアップとの事業連携とキャピタリストを兼務