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ミレニアル・Z世代における<これからのあたりまえ>研究【後編】
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ミレニアル・Z世代における<これからのあたりまえ>研究【後編】

読売広告社 都市生活研究所が開催した「YOMIKO 都市生活研究所フォーラム2021」での生活者フォーサイトセッション「ミレニアル・Z世代における<これからのあたりまえ>研究」の後編をお届けします。

前編では、Y世代の価値を引き継ぎながらも、新しい価値観を持ち、さらには古き良きものまで再生させるZ世代の特徴をお伝えしました。

後編では、そのような特徴を持ったZ世代をより深く理解することがデータドリブンマーケティングでアプローチする際にとても重要であると同時に、これからの社会を知ることにつながるのではないか、という視点で、よりZ世代にフォーカスして、私たちの発見をご紹介していきます。

表層的に捉えずZ世代の根源を探る

Z世代の特徴を調査するにあたり改めて、注意するべきことは、多様性の時代を生きるZ世代は非常に捉え方が難しいことです。私たちは、その時々の風に流されるのではなく地に足ついた研究をしたいと考えています。そこで本研究では、表出している行動や意識の関係を精緻に紐解いて、Z世代が根源に持つ価値観を探求していきました。
このように彼らの本質的な価値観を理解しておくことは、データドリブンマーケティングでアプローチする際にとても重要です。

「83の行動」×「180の意識」の関係性を分析

この研究は、Z世代を対象として「83の行動」と「180の意識」の項目を調査し関係性を分析することをベースにしています。

「83の行動」は、様々な記事などで、増えていくといわれる行動、減っていくと言われている行動をピックアップしています。増えていく行動は「ジェンダーレスファッション」「副業」「ソロ食」など54項目。そして、減っていく行動は「ギャンブル」や「会社の飲み会」などの29項目で構成しています。

「180の意識」は大きく3つのカテゴリで構成しており、私たちが経年でZ世代を対象に調査している69項目、コロナで変化した意識68項目、そして、今回の調査でさらに深掘りするための追加意識43項目を聴取しました。

数多の項目から関係を繋げ、深い価値観を探っていく「Z世代の根源価値サークル」

それらのデータを『最尤法による因子分析(プロマックス回転)』を用いて、構造的に把握する「根源価値サークル」というメソッドを開発しました。

その構造は、3つの円から構成されています。
①行動意向の高い項目の内から類似する「行動群」を束ねる行動の外円。
②その行動群と相関の高い「意識」を抽出する意識の内円。
③そして、その関係性をもとにZ世代が持っている根源的な価値観を探る中心。

今回は、私たちが見つけたZ世代の根源価値の中から、2つご紹介します。

Z世代の根源価値CIRCLE1「成長体験の超効率化願望」

行動の外円として、「シェアハウス」や「動画の倍速視聴」、「ワーケーション」といった行動に関係性があることが見えてきました。この行動群は一見、「新しいからこそやってみたい」という若者特有の意識と紐付いていると考えてしまうかもしれません。

しかし、深く意識の内円を見ていくと、「コロナによる経験不足に対する不安や悩み」や、それに起因して、「タイムパフォーマンスを求める」といった経験の時間効率化意識との相関性が高いことが見えてきました。これらの関係性から彼らは同時に複数の経験を積むことが可能である「マルチミーニングな行動」を求めていると考えられます。

それらの分析から、「成長体験の超効率化願望」というZ世代の根源価値を導き出しました。コロナで経験不足を強いられたからこそ、彼らはこれまでの若者以上に、経験をいかに効率化し、成長していけるかを真剣に思っている、このような根源価値を知ることができると、彼らの特徴がより解像度高く理解できると私たちは考えています。

実際に世代へのインタビューをしてみても、コロナで遅れた焦りから、色々な経験を効率化したい、質を高めたいという思いが見えてきており、コンテンツも、リアルな体験もマルチミーニングを望んでいる声が聞こえてきました。

Z世代の根源価値CIRCLE2「“多様性”への寛容から渇望へ」

行動の外円は、会社の人との飲み会や遊びなど会社コミュニティに対しての積極的な参加意欲を表す行動群です。意識の内円を見ると、これらにはコロナ禍による「誰にも会えない寂しさ」という一時的な感情だけではなく、「多様な価値観に触れたい」という意識との相関性が見られました。

“多様性に寛容”と謳われる彼らは、コロナによる人との交流の矮小化によって、単に孤独を苦しんでいただけではありません。様々な世代や違う考えの人ともっと接したいという、多様な価値観への出会いに飢えている姿が見えてきました。

それらの分析から、「“多様性”への寛容から渇望へ」というZ世代の根源価値を導き出しました。多様性を寛容に受け止める気持ちは、その機会が減少した結果、多様性に触れることを自ら渇望をするという気持ちにシフトしています。

このように、表出している行動や意識の関係を精緻に紐解くことで、Z世代の持つ根源価値にたどり着き、彼らのことがより鮮明に理解することができます。

まとめ:根源価値サークルから広がる可能性

ここまでご説明したような、根源価値を理解できれば、彼らが広げていくものが見えてくるのではないかと私たちは考えています。事業や商品、販促に、根源価値を掛け合わせることで、様々な未来へのアップデートの仕方が見えてくるのではないでしょうか。

例えば、外食や飲み会と、「多様性への渇望」をかけ合わせれば、新たな仕事コミュニティのあり方が見えるかもしれない。
例えば、旅行や商業施設と、「マルチミーニング」を掛け合わせれば、あらたなサービスが見えてくるかもしれない。
そのような新しいアップデートのヒントに根源価値が活用できるのではないかと考えています。

私たちは、引き続き次の時代を牽引するZ世代の根源価値を探求していきます。

ミレニアル・Z世代における<これからのあたりまえ>研究【前編】

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