キャリジョは情報コンテンツとの付き合い方もサステナブル?
博報堂キャリジョ研は働く女性(キャリアを持つ女性)=「キャリジョ」たちの意識や行動を研究しています。今回はキャリジョの情報収集や娯楽として楽しむコンテンツの傾向について、分析します。
サステナブルに時間を使いたいという意識
こんにちは。博報堂キャリジョ研です。今回は、キャリジョの情報収集や娯楽として楽しむコンテンツの傾向について、分析します。
予測もできなかったこの状況で外出を控える人も多く、家で過ごす時間が格段に増えている今。キャリジョたちがどのように情報を取っているのか、どんなサービスにお金を払い、どんな楽しみ方をしているのか、インタビューや調査を通じて考えてみました。
課金コンテンツの障壁はもはや無し?
外出自粛要請が出たいま、休日やすきま時間はもっぱら映画や動画視聴、という方がキャリジョ世代に限らず増えていると思いますが、では実際どのくらいの人が課金制の「サブスクリプションサービス」を利用しているのかを見てみました。
2020年4月の調査でも、20代女性の約1/3、30代女性の約1/4の人が利用しており、動画配信や音楽配信、電子書籍・雑誌のサービス利用が多いことがわかります。
動画視聴でいえばNetflix、Amazon Prime Video、Huluなど様々なサービスがありますが、最近ではブログ型の「note」や特定の登録者にのみ動画配信する「オンラインサロン」などを見る人も増えてきました。
情報過多になっている今、『課金してもいいから優良コンテンツを見たい、知りたい、聞きたい』という意識は、SNSの利用率が高い20~30代のキャリジョ世代を中心に高まってきています。
「推し」を応援するためなら課金は厭わない
さらにヒアリングをしている中で、20代を中心とした世代に特にサブスクユーザーが多いのは、①日常的に使うためコスパがいいからという意見と、②「推し」を応援したいからという2つの意見に大きく分かれました。
①日常的に使うためコスパがいいから、という意見は、「何回も映画館に行って映画をみるより長期的に考えれば絶対にお得」だったり、「広告が入ってくる無料版音楽アプリを使うよりストレスフリー」「CDを毎回レンタルするより安く抑えられる」というサステナブルを意識した視点があります。フリマアプリ、ライドシェアなどに象徴されるシェアリングエコノミーの「所有しない」志向の影響もあるでしょう。
一方で②「推し」を応援したいから、という意識はお金やストレスを意識したコスパとはまた別の考え方があるようです。noteやオンラインサロンでは、その発信者が好きで応援したいから課金する、という気持ちが強く、課金した人たちは力強いファンというコミュニティができます。最近では人気YouTuberがオンラインサロンを開いたり、フォロワー数の多い人気インフルエンサーがFensiという課金型ブログを始めたり、人気イケメン俳優が課金で会話可能な動画アプリSUGARを始めてみたりと、「何もしないファンたち」<「課金してくれる力強いファンたち」を囲い込むような動きも出てきています。
イケメンでもアイドルでも漫画家でもライターでも、自分が熱をもって応援したい「推し」がいる人たちは、無料で見て終わり、という一夜限りの関係ではなく、課金することで「推し」との末長い関係値を築きたいと思っているのです。これもまさにサステナブルな視点なのかもしれません。
サブスクリプションサービスもシェア
サブスクリプションサービス(以下サブスク)をどのように使っているのかを見てみると、実はここでも「シェアエコ」(シェアリングエコノミー)意識があることがわかりました。家族や友人と動画配信サービスのアカウントをシェアしたりと、賢くサブスクを使っているのです。
サービス自体の満足度をあげて長く使ってもらうためには、企業側も「家族みんな」「友だちみんな」で楽しめるアピールが必要ですし、このコロナの状況でさらにその機運は高まっています。某動画配信サービスでは同じ映画や動画を誰かと一緒にリモートで楽しむことができるサービスを始め、チャットなどもできるので同じ空間にいるかのような感覚でコンテンツを楽しむことができます。
長期的な視点でストレスフリーに、かつ楽しく生きていくために、キャリジョ世代は情報コンテンツに対して課金して自分が欲しいコンテンツを選び、そのうえで賢くみんなでシェアして楽しんでいるのです。企業がサブスクを始めるとき、もともとファンがついている人やコンテンツを起用してファンの囲い込みをしたり、またはみんなで楽しめるという「シェアエコ」の概念をアピールすると今の20-30代には刺さるのかもしれません。
文責:下萩千耀
<調査概要>
調査方法:インターネットリサーチ
調査地域:全国調査対象:20-69歳の方
サンプル数:合計3,394
サンプル調査期間:2020年4月21日~22日
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博報堂DYメディアパートナーズ 雑誌局2018年博報堂DYメディアパートナーズ入社。
雑誌局で飲料やコスメなどを担当し、雑誌やウェブ連動の企画プロデュースを担当。
好きな食べ物はもんじゃとジンギスカン。最近ハマっているのは藁焼きカツオ。