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プラットフォーム・ワンが取り組むアドフラウド対策
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プラットフォーム・ワンが取り組むアドフラウド対策

はじめに

「枠から人へ」という考え方のもとインターネット広告におけるシェアを伸ばして来たプログラマティック広告ですが、2018年から2019年にかけて、いくつかの課題に直面しています。プログラマティック広告でアクセス可能な在庫が拡大するにつれ、「枠」そのものの質へ再び目が向けられるようになったのです。
ここでいう質とは、“透明性”とも表現され、主に以下の3つに集約され語られています。

Ad Fraud(アドフラウド):広告に接触したのは本当に人であったのか
Brand Safety(ブランドセーフティ):広告が掲載された場所(掲載面)は適切であったのか
Viewability(ビューアビリティ):表示された広告は視認できる状態にあったのか

(過去の記事「デジタル広告の透明性や品質改善に必要なメディアクオリティマネジメント」より抜粋)

今回は、この中から「アドフラウド」に焦点を当て、その考え方や現状、さらには博報堂DYグループ内でデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(以下DAC)と共にプログラマティック領域のサービス提供を行うプラットフォーム・ワン(以下P1)が行う対策などをご紹介します。


アドフラウドとは?

まず、アドフラウドの定義について押さえていきます。デジタル広告のガイドライン作成や啓発活動を行う日本インタラクティブ広告協会(JIAA)は、「アドフラウドに対するJIAAステートメント」にて下記のように定義しています。

アドフラウド(Ad Fraud)
自動化プログラム(Bot)を利用したり、スパムコンテンツを大量に生成したりすることで、インプレッションやクリックを稼ぎ、不正に広告収入を得る悪質な手法。

アドフラウドについて、ブランドセーフティやビューアビリティとは異なる注目すべきポイントとして、「明らかに悪質であること」「目に見えないこと」が挙げられます。
ブランドセーフティやビューアビリティは、広告を出稿するブランドにとって「何をブランドリスクと捉えるか」「何%のビューアビリティを目指すか」などといった、ある程度の判断の幅があります。それに対し、アドフラウドはJIAAの定義にも記載されている通り、明らかな「悪」であり、どんなブランドにとっても必要のない、0%を目指すべきトラフィックです。
またその一方で、アドフラウドは他の2つの指標と異なり、問題の発見が人の目では非常に困難であるという特性もあります。
以上よりアドフラウドは、徹底的に排除しなければならないのは直感的にも明らかだが、どこに潜んでいるのか目に見えない、どれだけキャンペーンに影響を与えているかも分からないという、非常に厄介なテーマであることが分かるかと思います。

アドフラウドには、表示されることがない領域への広告挿入や、URL偽装、マルウェア感染など、多岐にわたる種別があります。例えば、昨年から今年にかけ某漫画サイトをめぐって話題になっていた「裏広告」もそのひとつで、JIAAでは「Hidden Ads(隠し広告)」としています。以下は「アドフラウドに対するJIAAステートメント」における「アドフラウドの類型」から抜粋した定義です。

Hidden Ads(隠し広告)
ブログパーツの見えない領域に広告を仕込んだり、CSS等でユーザーに見えない形で広告を配信したりすることで、広告配信数を水増しするもの。

アドフラウドをはじめとしたアドベリフィケーション対策ツールを提供するIASによると、グローバルのデジタル広告インプレッションの10%以上がアドフラウドであるとされています。日本において、かつ不正対策を行なっているキャンペーンに絞っても1~2%ほど存在しているとされています。


一般的なアドフラウド対策やP1の旧来の対策

前提として、アドフラウドの種別は前述の通り多岐に渡ることから、画一的な「アドフラウド対策」というのは存在しないと言って差し支えないでしょう。インプレッションが発生した環境や条件、その周期性などあらゆる情報から、「人であるはずがない」と推測していくことになります。分かりやすい例でいうと、「古いOSからのインプレッションが大量に発生している」「同じユーザーから1秒間に100インプレッション発生している」などといった事象は、アドフラウドを疑う要因となり得ます。

DAC及びP1が提供するDSP MarketOne®でも、こういった「不自然に発生したインプレッションやクリック」をアドフラウドと見なしてレポートや請求から除外する取り組みは以前から行っていました。特に、MarketOne®はクリック課金商品を提供していることからも、不審なクリック(Anomaly Click)の特定は重要なテーマと捉え継続的に取り組んでいます。


P1のアドフラウド対策:外部アライアンス

上述の取り組みに加え、P1では外部パートナーとの協業にも力を入れています。
2018年4月、MarketOne®ではIASとの連携を行い、国内で初めて「全広告キャンペーンでのアドフラウド排除」を開始しています。アドベリフィケーションのプロフェッショナルであるIASがアドフラウドであると判定した広告在庫に対する入札を事前に避け、アドフラウドへの広告予算流入を防いでいます。また、事業の継続ないし拡大には必要不可欠な対策であるという考えから、それを広告会社や広告主への費用負担なしで提供しています。
https://www.platform-one.co.jp/pdf/release_20180405.pdf


P1のアドフラウド対策:ads.txt

ここまでは、DSPなどデマンドサイドを中心としたアドフラウド対策についてご紹介してきましたが、ここから取り上げる「ads.txt」や「SupplyChain object / Sellers.json」はSSPをはじめとするサプライサイドでの対策手法です。

「ads.txt」の「ads」は「Authorized Digital Sellers」の略で、直訳で「認定されたデジタルセラー」という意味です。「.txt」という名の通り、「認定されたデジタルセラーを記載したテキストファイル」ということです。
ads.txtは、媒体社が作成し自社メディアのウェブサーバーに設置・公開することで、広告在庫の販売を認定・許可しているSSPを明示する役割を持っています。
そのads.txtを誰が見るのかというと、DSPです。DSPがSSPから広告在庫を買い付けする際にads.txtを参照して、「これから購入しようとしているメディアは、このSSPからの在庫販売を本当に許可しているのか?」をチェックする、という使い方です。このフローによってドメインのなりすましといった手法のアドフラウドを防ぐことができます。

P1が提供するSSP YIELDONEでは、2017年10月より本格的にads.txtの導入に取り組み始め、取引のある媒体社へのads.txt設置の連絡、サポート、管理を行っています。現在では多くの取引媒体で導入が完了しています。

参考
https://solutions.dac.co.jp/blog/ads-txt



P1のアドフラウド対策:SupplyChain object / Sellers.json

サプライサイドにおけるアドフラウド対策の最新技術仕様が、このSupplyChain object / Sellsers.jsonです。
近年グローバルを中心に、複数の中間事業者を介して広告取引が行われるケースが増えています(例:SSP1→SSP2→DSP)。こういった中間取引をすべて明らかにするための技術仕様がSupplyChain objectです。各SSPがこれに対応することによって、DSPは買い付けの際に「この広告在庫はabc.comから、SSP1、SSP2と経由してうちに販売されている」という取引経路を確認することができます。
一方、Sellers.jsonは簡単に表現すると「ads.txtのSSP版」です。ads.txtが「媒体社による、認定SSPリスト」であるのに対し、Sellers.jsonは「SSPによる、広告在庫の仕入れ元(媒体社・事業者)リスト」と言えます。DSPがads.txtとSellers.jsonを両方参照することで、媒体社とSSPの相互関係をより高い透明性で確認できます。


まとめ

本記事では、アドフラウドの特徴や種別、その具体的な対策方法についてご紹介しました。デマンドサイドにおいては広告トラフィックの環境、規則性からアドフラウドを特定、除外することが求められ、サプライサイドとしてはそれに加え、より高い「透明性」を確保することで不正そのものや「自分たちは不正を行なっていないこと」を明らかにしていく必要があります。合わせて、自社だけではなく、こういった不正対策のエキスパートである第三者事業者と連携していくことも非常に有効な手段のひとつです。
アドフラウドが巧妙化していくにつれその対策方法も同様に複雑化・多様化しています。P1及びDACは、引き続きあらゆる方面からアドフラウド対策を行なっていきます。

  • 吉見 真人
    吉見 真人
    株式会社プラットフォーム・ワン
    ビジネスプロデュースグループ シニアコンサルタント
    2014年、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社入社、株式会社プラットフォーム・ワンへ出向。DSP開発部門やDSPの代理店向け営業、SSPの媒体社向け営業を経て、現在は外部DSP/SSP/ベンダー等とのパートナーアライアンスを担当。パートナーとの新規事業の創出や取り組み拡大に従事。