このページをシェアする

  • twitter
  • facebook
  • line
  • line

近年、多くの企業ではデジタルトランスフォーメーションを加速させるため、DMPやMA 等の新たなマーケティングツールの活用が進んできています。博報堂でもこれらを活用したマーケティングの次世代化を推進していますが、その際に改めてデジタル領域とアナログ領域との融合が重要なテーマになってきています。

第2回の今回は、ストラテジックプラナーの堀内・増田・大崎、クリエイティブディレクターの三上が、デジタル✕アナログのマーケティングをずいぶんと前から実践している、スマホゲーム市場について、語り合いました。

スマホゲーム市場における
博報堂らしいソリューションを行ってきた「ゲームプロジェクト」

堀内:博報堂のデータドリブンマーケティング局の堀内です。普段はアナログからデジタルまで、さまざまな領域におけるクライアントのマーケティング支援、自社サービス開発などの業務に携わっています。中でもスマホアプリが出始めたころから取り組んできたのがスマホゲーム市場ですが、現在はゲーム会社の数も非常に多くなり、クリエイティブひとつ、プランニングひとつとってみても、やはり広告会社にもある程度のノウハウや知見が求められるようになってきた。そこで、改めて社内で立ち上がったのが、私もリーダーを務める「ゲームプロジェクト」です。広く成長市場から成熟市場までのマーケティング戦略を立案できるメンバーが集まり、ゲームファンだけでなくその周辺層、潜在層に対して、段階的な成長戦略を描いていくといったスタイルが確立されていています。また、豊富なデータ、マーケティングについての知見を蓄積し、汎用性を持たせた博報堂らしいソリューションを開発することも主なミッションとしています。

増田:僕は博報堂の第3プラニング局所属で、金融関係から食品、サービスまで多岐にわたるクライアント企業を担当しています。スマホゲーム市場においても、基本的にはマーケティングから刈り取りまでのシナリオをしっかり想定したプランニング、提案を行っています。

三上:博報堂DYメディアパートナーズのクリエイティブ&テクノロジー局の三上です。通常広告会社のクリエイターといえばCMやグラフィックの制作が主になるわけですが、僕自身はメディアパートナーズ側の立場として、ゲームアプリをコンテンツと捉えて、プロモーションだけではなくゲームの中身自体をクライアントと一緒に考えたり、アニメや舞台といった2・5次元、3次元への展開も含めてご提案しています。メンバーの中では、おそらく増田と僕が一番ゲームをしているはず。スマホの中がゲームアプリだらけになっていて、四六時中起動させています(笑)。

大﨑:僕自身は博報堂のデータドリブンマーケティング局所属のストラテジックプラナーとして、ほかの3人と少し異なり、メディア側からこのプロジェクトに関わるという立ち位置です。単純にダウンロード数やDAUを稼ぐというだけではなく、たとえばいくつもあるウェブ上のゲームメディアと連携し、それらをいかに活用して新しいユーザーを獲得するかといった側面から、スマホゲームのマーケティングソリューション開発にコミットさせてもらっています。

博報堂ならではのデータの活用法、コミュニケーション戦略とは?

堀内:海外からの新興企業も含めて、いまや日本市場には多数のデジタルベンダーが存在し、当然アプリも無数に存在します。そのためスマホアプリに関しては、日々のダウンロード数、DAU(デイリーアクティブユーザー数)、課金状況といったデータが実に豊富に存在するんですね。そしてKPIとなる共通データを提供するサービスもある。そんな環境なので、まず前提として、それらのデータセットを活用していかにプランニングしていくのかが問われています。

増田:そうですね。僕らとしては、市場環境や競合環境分析の軸としてそうしたデータを使い、なおかつ、たとえば生活者がどう意識してどう行動に移しているのかをきちんと読み取って体系化するなど、博報堂ならではのデータ活用方法も追求しています。どういう属性の人がどの時間にダウンロードし、起動しているのかといったことはクライアントさんのオーダーにも含まれますが、そこからさらに細かく分析し、市場全体の動向や他社と比較しながらのチューニングの方向性、成長戦略の取り方などをご提案させていただくことが多いです。
とにかくデータは大量にあるので、一般的な商材のように定量調査、市場調査の分析だけではなくて、ユーザーの細かな動きなどがわかるデータを補足し、より精度の高いプランニングにつなげています。

三上:クリエイティブとしても、データは一つの指標として非常に重要視していますが、スマホゲーム市場に特徴的なのは、そのスピードです。ある意味生ものというか、ダイレクトマーケティング市場と同じくらいの感覚で、リリース後1カ月と3カ月ではまったく異なる数字が出てきたりする。そうした数字に柔軟に対応しながら、戦略的な思考で、結果を求めるクリエイティブをつくる必要があると考えています。

博報堂DYメディアパートナーズ クリエイティブ&テクノロジー局 三上 公也

堀内:すぐに数字が出て、ごまかしが効かないということで、改めて「本当に効くコミュニケーション戦略とは何か」を考えさせられますね。たとえばソーシャルゲームやスマホゲームが出始めの初期市場では、大物タレントを使ってつくったCMが話題になった。でも、認知は上がったけれど、実際のダウンロード数は上がらない、あるいはいつの間にかユーザーがいなくなっているといったこともよくありました。広告で前提となる認知や好意度といった物差しが通用しないわけです。いかにDAUを上げて、いかに課金してもらうかというこのビジネス自体の目的をきちんと理解し、そのための戦略とクリエイティブを練ることが重要になってきます。

三上:ほかの広告クリエイティブだったら、CMに出たタレントさんがその商品の象徴、顔になって、その人自身のイメージが商品に紐づけられていきますが、スマホゲーム業界だと、本当にそのタレントさんはプレイしているのか?というリアリティな視点が見られているんですよね。だから僕らもSNSの声とか、ユーザー目線で非常に細かくチェックするようにしています。

増田:実際のプランニングでも、クライアントに応じて、何を指標にどのKPIを伸ばす戦略にするのか?という細かい議論をよくします。スタートアップ企業だったりすると、こちらの方から「この時期はこういう指標を見たほうがいいですよ」と提案することもあり、感謝の声を頂くこともあります。そうした緻密なプランニングは我々の強みになっていると思いますね。

大﨑:そうした話を聞けば聞くほど、どれだけゲームが好きか、といった基準ではできない仕事ですよね。アプリの広告配信含めて、改めてデータマーケティングが非常に重要になる市場だと感じています。

博報堂データドリブンマーケティング局 大﨑 涼介

スマホ市場の成長戦略×マーケティング戦略を組み立てる視点

堀内:キャンペーンのプランニングで「TVCMを考えてください」とオリエンされたとしても、僕らはTVCMだけではなく、3年計画くらいの戦略提案をすることが多いんです。なぜかというとスマホアプリのライフサイクルは非常に短くて、ローンチ前、ローンチ、初期ステージ、成長ステージ成熟ステージと、やることもターゲットも全然違うので、それを予期したうえでの戦略が必要だからです。単純に単発のCMを提案するのではなく、成長パートナーとして長いお付き合いをしたい、そのためにはインサイトもそうだし、ターゲットもそうだし、TVCMだけでなく、オンライン広告はもちろん、ゲーム内外のイベントや、SNSのアカウント運用をどうするか?といった話もしていきます。

三上:ほかのコンテンツと異なるスマホゲーム最大の特徴って、エンディングがないことなんですね。終わりがないからずっと作り続けなくてはならないけど、逆に言えばデータがすごく活かしやすい市場でもある。堀内が言った3年というスパンについても、要はそれくらいを見据えていかなければ、本当のパートナーとして、相手を成功には導けないと考えているんです。だから場合によっては、絶対このタイミングでテレビCMをやっても伸びませんよということもある。もう少し育ててからやりませんか、と。僕自身はゲームのストーリーやキャラクター、あるいはアニメ化・映画化などのプロデュースなども取り組んでいるので、単なるコミュニケーションではない、中長期でのマーケティング戦略が非常に重要だということはつねに考えています。

堀内:さらに言うと、たとえば通常の商品であれば20、30年かかるライフサイクルが、スマホゲームだと2、3年ということもある。一般的なキャズム理論も、ゲームの場合は限界がある。◯◯ゲーム好き、アイドル好き、などの特定層をターゲットにするにしてもすぐに無理が来てしまう。そこからターゲットを広げていこうとなったときに、具体的に次にどういう層を狙い、どういう戦略をとるべきかといったところを先回りして提案する必要がある。驚かれるかもしれませんが、1本提案するために200ページくらいの資料を準備します(笑)。いわば3年間の一つのストーリーを提案するわけですから。

博報堂データドリブンマーケティング局 堀内 悠

増田:言い方を換えればそれは「僕らは3年はお付き合いしますよ」ということでもある。そのうえで、データは日々変化していくので、その都度その都度、柔軟性も持ちながら、状況に合わせた戦略を提案していく。つねに細部と全体の状況を見据えながらクライアントと密にコミュニケーションをとり、ディスカッションしながら進めていくやり方に、僕らも面白味を感じています。

大﨑:僕の場合はゲームメディアを活用し、初期市場でゲーム好きを獲得するためのソリューションをご提案することが多いのですが、ステージによって活用するメディアもターゲットも常々変わっていくという点を非常に実感しています。コンテンツの情報の出し方ひとつとっても、この段階だとこれが受ける、受けないというのもわかるようになってきた。さまざまなゲームメディアとのお付き合いのなかで、信頼関係を築きながら得てきたそのあたりの知見を、どのゲーム会社でも通用するような汎用的なソリューションに落とし込み、パッケージ化するということにいま挑戦しています。

三上:また、ゲームメディアとのお付き合い以外にも、さまざまな要望に応えるためのチーム体制をつくっています。例えば、売上が思ったより伸びないと相談を受けた時は、ゲーム制作の際にバグをチェックするデバッガーと呼ばれる方々に依頼をして、プロの目線で見てどういう課題があるかを調査してもらったりもしています。なぜか売れない、という課題があったとして、その理由がもしかしたらゲームそのものに隠れているかもしれない。特にありがちなのが課金額の設定、課金のタイミングなどを見抜いて、改善する、売上を伸ばしていくストーリーをつくってあげるということは企画を提案する上で大切にしていることです。

堀内:もちろんマス広告も重要ですが、結局ゲームの評価はゲームをプレイするユーザーさんによって決定する。その彼らとどうつながり、その関係をマネジメントするかといったこともすごく重要になる。僕らはスマホだけではなくeスポーツの仕事にも携わっているのですが、動画配信やSNSだけでなく、イベントや大会などお客さんとのリアルな接点は今後どんどん増えていきます。ますます、ファンを獲得するだけでなく、皆さんとどう付き合い、ずっと楽しんでもらえるかが問われるようになるはず。そこまで考えていけるというのが僕らの大きな武器だし、博報堂の強みでもあるかなと思います。

三上:また、ゲームメディアには本当のゲーム好きが集まっているので、当然詳しい人が多いですし、僕らの仲間としても心強い存在ですよね。各メーカーやゲームの課題をヒアリングさせてもらったり、そのなかでマーケティングのヒントをいただくこともある。

堀内:「デジタル×アナログ」ということでいうと、核としてはデジタルデータ、アクチュアルデータがありつつも、それらを活用するためには協力会社さん、デバッガー、メディアの方々、ユーザーの皆さんたち……とアナログなお付き合い、つながり方をしている。入り口はデジタルですが、実際出口となるのは相当アナログだと言えます。やはりリアルなデータがあっても一番重要なのはそれをどう活かしていくか。オンラインアドやテレビCMだけで成長戦略を描くのは難しい市場である中で、さまざまなソリューションや人脈を駆使しながら中長期での戦略を構築していけるのは、まさに博報堂ならではだと思います。

これからの「ゲームプロジェクト」が目指すもの

増田:こうしたソリューションモデルというのは、たとえばサイクルの早いスタートアップの事業などにも応用可能なのではないかと思います。ほかのカテゴリーでも、スマホゲームのような短いライフサイクルの商材が増えていく可能性は大いにありますから。いまはさまざまな業種でデータがどんどん増えていっていて、クライアントの中にアクチュアルデータが相当蓄積されているんだけど、どう活用していいかわからなくて放置されているというケースも多いと思います。その点僕らは、博報堂DYメディアパートナーズのメディアチームとも連携しながら、こういうデータを抽出してもらえれば、こういう示唆が得られるでしょうし、こういう風につなげていけますよ……というお話もさせていただける。

博報堂 第3プラニング局 増田 昌弘

堀内:僕らのパートナー関係構築であったり、中長期的な戦略提案という向き合い方は、すでにいろいろなクライアント企業に興味を持っていただけていますよね。プレゼンの仕方一つとっても、方法論がある程度確立されていますし。
そんな中で感じるのは、ゲーム市場に限らず、これからますます、特定の市場に関するデータや人脈、知識を日頃から集めておかなければ、本当に成功に導けるプランニングができなくなるのではないかということ。だからこそ、さまざまなパートナーとのアナログな協力関係とか、それに付随するナレッジ、ノウハウ、特定分野に特化したマーケターやクリエイターといったものが、僕らのソリューションの提供価値になっているのかなと思います。

三上:これからのことでいうと、世界的に見れば、ゲームを教育に取り入れているような国も多々あるわけで、日本においても少しずつゲームの概念といったものが変わっていくといいのかなと思います。概念を変えて、体験を生み出し、共感を広げて、当たり前にする。これは、広告会社として取り組むべき次のステージのような気もしています。eスポーツだって、多くの日本人がスポーツのイメージと結びつかなかったと思いますが、実際に世界ではオリンピック競技としても注目を集めるほど定着しているわけですしね。

増田:また、これからはウェブ広告やダイレクトのところとの接続も強化するようにして、TVCMやイベントなど賑やかなコミュニケーションも、刈り取りまで、より効果的につながっていく仕組みができるといいなとも思います。

堀内:確かにそうですね。今回のゲーム市場は、アクチュアルデータやオンライン広告が当たり前の市場の話ですが、ここで作った仕組みや体制は、いろいろな分野に応用できると思っています。今後は、ますます技術的にいろいろなことが可能になって来ると思うので、僕らチームの取り組みは、ゲーム市場にとどまらず、広告という領域にとどまらず、さまざまな市場や領域に拡大派生させていければと思っています。

プロフィール

堀内 悠(ほりうち・ゆう)
博報堂 データドリブンマーケティング局

京都生まれ京都育ち。2006年博報堂入社。入社以来、一貫してマーケティング領域を担当。
事業戦略、ブランド戦略、CRM、商品開発など、マーケティング領域全般の戦略立案から企画プロデュースまで、様々な手口で市場成果を上げ続ける。
近年は、新規事業の成長戦略策定やデータドリブンマーケティングの経験を活かし、自社事業立上げやマーケティングソリューション開発など、広告代理店の枠を拡張する業務がメインに。
※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。

増田 昌弘
博報堂 第3プラニング局

2009年、教育系出版社にて社会人生活をスタート。サービス開発、マーケティングプロモーション、新規事業開発など、多岐に渡る業務を担当。
2016年、博報堂入社。事業会社出身の強みを生かした、ビジネス・マーケティング設計を得意領域とする。ゲーム業界に加え、食品・飲料、金融、スポーツを常時担当しているからこそできる、世の中を横断的にとらえた提案を心がける。

大﨑 涼介(おおさき・りょうすけ)
博報堂 データドリブンマーケティング局 第二グループ ストラテジックプラナー

2013年博報堂に入社。“アナログ”な手法でインサイトワーキングなどを中心としたマーケティング支援に従事。2016年からは現職の“デジタル”を活用したデータマーケティング業務を主に担当。
アナログ×デジタルを融合したマーケティングで得意先のビジネス成長をサポートすることが使命。

三上 公也
博報堂DYメディアパートナーズ クリエイティブ&テクノロジー局

世の全てをコンテンツと捉え、クライアントと共にコンテンツを成長させていくニュークリエイティブスタイルを追求。統合プランニング視点で、広告、TV、劇場版、アニメ、ドラマ、eスポーツなど多ジャンルにわたるクリエイティブ戦略から新たなコンテンツビジネスを創り出すことを得意とする。2008年中途入社。受賞暦:カンヌ、アドフェスト、クリオ賞など受賞多数。

この記事に関する お問い合わせはこちら

このページをシェアする

  • twitter
  • facebook
  • line
  • line

関連記事

2018.06.14

記事・コラム

デジタル×アナログが必須 の時代のマーケティング術 1.広告という枠を外せ

  • 博報堂
    堀内 悠
  • 博報堂
    大﨑 涼介
  • 博報堂
    道堂 本丸
  • 博報堂
    岡本 桜

2018.04.27

記事・コラム

位置情報をどう料理するか という問いから誕生した ACTAG(アクタグ)

  • シナラシステムズ ジャパン株式会社
    松塚 展国
  • 博報堂DYメディア パートナーズ
    徳久 真也
  • 博報堂
    大倉 幸祐

2018.02.16

記事・コラム

大切にしている思想は、 「データを成果に換える こと」です。(後編)

  • 博報堂ダイレクト
    松田 真治
  • 博報堂ダイレクト
    渡辺 創吾

閉じる