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データドリブンな広告の「未来のカタチ」-vol.2

先進的なアイデアを形にする自主開発型クリエイティブ・ラボ「スダラボ」の代表 須田和博が、データドリブンで変わる広告の「未来のカタチ」を解き明かします。

一見広告でないものが
広告になっていく

vol.01で触れた「Face Targeting AD」ですが、顔認識APIを提供するマイクロソフトの社員の方に、「うちの技術があんな風におもしろく使えるとは意外です」という反応をもらったんです。技術を提供する会社は、使い方に対する発想が意外と固定的です。「こんな技術があるんだけど、何に使えますか?」みたいな相談は、いろんな会社から来ます。
鏡のような、一見広告じゃないだろうと思われがちなところでも、むしろそういうモノもひっくるめて、「未来の広告」になっていくと考えています。なので、まわりから見ると「いったい何をやっているんですか?」と思われるようなものでも、とにかく試してみるという姿勢が大事だと思っています。

スダラボでは「Dig-Log」という雪かきスコップを作ったのですが、これは既存のスコップに感圧センサーを取り付けてIoTデバイス化したもの。除雪した雪の重さや消費カロリーを算出して、スマホアプリに記録することができるプロトタイプです。
雪かきって誰もやりたくないし、つまらない単純労働なんですけど、雪国では必須な労働。とはいえ人手も減っているし…と考えたとき、雪かきがゲーム要素のあるウインタースポーツにならないかと発想しました。消費カロリーがわかってダイエット効果が得られたら、それがモチベーションになって楽しんでやってもらえるのではないかと。さらに、雪かきスコップがIoT化すると、そこから取得したユーザーデータで、これを使った人が何キロカロリー消費した、何キログラムの雪を移動したというデータが可視化されます。ひょっとすると、「そろそろエネルギー補給に、○○○はいかがですか?」というような、雪かき労働で疲れたあなたにはコレ!というプッシュ型広告ができるかもしれない。データをサーバにつなげると、雪かきスコップが新しい広告メディアになる可能性もあるんですよ。

テクノロジーに
“うれしさ”や“おもしろさ”を設定する

さらに言えば、この雪かきスコップを使っている人数がある一定数以上いれば、日本中で今雪かきがどう行われているかのリアルタイムのデータになります。必死に雪かきをしている人が多いところに、除雪車がちゃんと行くようにするなど、インフラ整備に役立つかもしれない。豪雪地帯の高齢者にこのスコップを差しあげて、見守りサービスができるかもしれない。そんな想像を超えた未来もあるのではないかと思っています。
その時に、必ず必要なのが、ユーザーにとって“うれしさ”や“おもしろさ”があるということ。「この感圧センサー付スコップを使ってくれ!」と言って使ってもらえるようなら誰も苦労しません。そこに、“うれしさ”や“おもしろさ”が設定されていないと人は絶対に使ってはくれないのです。

そう、ここにこそ、広告屋の未来の仕事があるのではないでしょうか。まだ定着しきってない技術をユーザーにどう見せるべきか?どういう使い方を提示すればユーザーに喜んでもらえるのか?それを企画することに、僕らの未来の働き場所があるように思います。

漫画:須田和博

プロフィール

須田 和博(すだ・かずひろ)
株式会社博報堂
エグゼクティブ・クリエイティブディレクター/スダラボ代表

1990年多摩美術大学卒・博報堂入社。アートディレクター、CMプラナーを経て、2005年よりインタラクティブ領域へ。2009年「ミクシィ年賀状」で、東京インタラクティブ・アドアワード・グランプリ受賞。2014年スダラボ発足。第1弾「ライスコード」で、アドフェスト・グランプリ、カンヌ・ゴールドなど、国内外で60以上の広告賞を受賞。2016〜17年 ACC賞インタラクティブ部門・審査委員長。
著書:「使ってもらえる広告」アスキー新書

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