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マーケティングシステムの今~マーケティング&ITの実務家集団が語る事業グロースへのヒント【vol.22】顧客データに「文脈」を与える ― データエンリッチメントと、顧客理解の再発明

博報堂

マーケティング活動において、データとテクノロジーが果たす役割は年々高まっています。データ基盤整備やCDP(カスタマーデータプラットフォーム)活用、マーケティングオートメーション、AI活用といった言葉は、もはや特別なものではなくなりました。一方で、それらを「実際の事業成長」に結びつけられている企業は、

1. 「データが揃った」のに、なぜ顧客が見えないのかここ数年、我々がクライアント企業とお話しする中で、ある種の「逆説」を感じることが増えてきました。CDPやCRMの導入が加速し、顧客データの統合・可視化は着実に進んでいます。数年前には「データが統合されていないことが課題」と語られていた企業が、今では「

2. 「顧客を理解する」とは何か ― 生活者発想が問いかけるものここで少し視座を上げて、「そもそも顧客を理解するとはどういうことか」という問いを立ててみたいと思います。優秀な営業担当者は、購買データだけを見て提案を考えたりはしません。会話の端々から生活の変化を察知し、何気ない一言から価値観を読み取り、「こ

3. 行動データに「生活者の文脈」を重ねる ― データエンリッチメントの考え方データエンリッチメントとは、企業が保有する既存のデータに対して、外部のデータソースや分析手法を用いて新たな情報を付加し、データの価値を高める手法の総称です。たとえば、顧客の住所データに国勢調査の地域統計を掛け合わせて世帯特性を推

4. 「なぜ」がわかると、何が変わるのかデータエンリッチメントによって「なぜ」がわかるようになると、マーケティングの実務は具体的にどう変わるのでしょうか。【図表③:Whyがわかることで、何が変わるのか】セグメンテーションの次元が変わります。「30代女性・年収600万円」という属性のセグメントから、「ト

2025年10月~2026年3月人気記事ランキング 経営とデータの融合、CRM×AIの進化、AI検索の未来など 注目のトピックスTOP20【前編】

生成AIの社会実装がさらに進み、データ活用が経営の核心へと組み込まれつつある昨今、ビジネスの現場では日々さまざまな変化が生まれています。このような環境のなか、2025年度下半期(2025年10月~2026年3月)において、特に多くの関心を集めた記事を、前後編のランキング形式でご紹介。前編となる今回は

ヒット習慣予報 vol.412『エンタメ的スポットワーク』

博報堂

こんにちは、ヒット習慣メーカーズの吉田です。SNSを眺めていると、最近「旅行先でバイトをして旅費代を稼いだ」という旨の投稿がバズっているのをちらほら見かけます。宿泊費を中心に旅行費用が値上がりしていることで、このような旅行の仕方が若い世代を中心に広がりつつあるのかもしれないと思い、少し調べてみたとこ

「マツケンサンバ」を次世代IPへ。製作委員会幹事・博報堂プロダクツが手掛ける「マツケンアニメ」のIP再構築戦略

松平健さんの代表的イメージである「マツケンサンバ」をモチーフにした新たなキャラクターIP「マツケンアニメ」が、YouTubeでのアニメ化プロジェクトとして始動しました。本プロジェクトには、博報堂プロダクツが製作委員会幹事として参画。アニメーションを起点に、IPとしての中長期的な展開を見据えた取り組み

IP活用に『YouTubeアニメ』という選択肢が有効な理由「マツケンアニメ」は、長年にわたり幅広い世代に親しまれている松平健さんのイメージを、現代的なキャラクターIPとして再構築しています。作品はショートアニメを中心に構成され、現代社会を生きる人々が日常の中で感じる“もやもや&rdquo

企画からプロデュース、ライセンス管理までを一貫して担う製作委員会幹事の役割本プロジェクトは、複数社による製作委員会方式で進行しており、博報堂プロダクツは幹事会社として参画しています。アニメーション制作にとどまらず、キャラクターIPとしての成長や活用を見据え、企画・プロデュースの観点からプロジェクトに

AnimeJapan 2026 で初公開!「マツケンアニメ」プロモーション動画「マツケンアニメ」は、プロジェクト始動の最初のリアルなタッチポイントとして、2026年3月に開催された AnimeJapan 2026 に出展しました。会場では、タツノコプロブースにてプロモーション動画を初公開。完成版に先駆けて、作

広がるIP活用「マツケンアニメ」は、YouTubeでの配信を起点に、商品化やプロモーション、イベントなど、さまざまな展開が期待されるキャラクターIPプロジェクトです。現在、多様なIP活用が急速に広がる中(参考:広がるIPビジネスの今と企業の取り組み)、本プロジェクトも AnimeJapan 2026での

AIと描くブランドの未来━━JTと博報堂DYグループが提案する「人間の創造性を拡張する」AI活用

日本たばこ産業株式会社

  • 下林 央

博報堂テクノロジーズ

生成AIのビジネス活用は必然となり、新たなテーマとして「AIでいかに人間の創造性を拡張するか」が浮上しつつある。そうした中、日本たばこ産業(JT)と博報堂テクノロジーズがMarkezine Day 2026 Springに登壇。生成AIと人が共創し、企業ブランディングの新たな地平を切り拓いた事例について紹

AIと人による共創目指す「STRATEGY BLOOM CONCEPT」生成AIの活用がこれまでにないほど浸透してきた今、企業活動においてもこの新技術をいかに事業に取り入れるかが喫緊の課題となっている。そうした中、博報堂DYグループは2024年4月に「Human-Centered AI Institute」

JTがテクノロジーに投資する理由とは一方、日本たばこ産業(JT)では、経営アジェンダの一つとして「グループテクノロジー戦略」を策定、 ITグループ独自のテクノロジーに関するブランディングを重要戦略の一つと定義づけている。その理由について、同社のChief Technology & Informati

AIの介在により3時間でコンセプト抽出とステートメント作成を実現今回、博報堂テクノロジーズとタッグを組むことになった理由について、JTの下林氏はあるメディアの記事で博報堂テクノロジーズがコンセプト開発にAIが活用していることを知ったのがきっかけだったと明かす。「記事を読んで、クリエイターの思考や視点

参加者の86%が、AIの活用がアウトプットの深化に「寄与した」と回答それが終わると、ステップ3の「クリエイターが心を動かす言葉に磨き上げる」段階に入る。ここでは細田CCO監修のもと、博報堂のクリエイターが担当することになるという。木下によれば、今回は細田氏自身がステートメントの候補案を見てブラッシュ

AIの精度が上がった先、人間に求められる資質とは?最後に、木下と下林氏による「AIとの協業によってブランド策定ワークフローはどう進化したのか?実践で見えた成果と次なる課題について」のトークセッションが行われた。最初のテーマである「実際にやってみて気付いた点」について問われた下林氏は、ワークショップの

同質化を避けるには『少し怖いけど、価値あるもの』を目指すトークセッションの最後には「これから求められる創造性とは?人間が発揮すべきクリエイティビティとは?」について議論が行われた。下林氏にとって、ここ数年のAIの発展が投げかけてくるものは、非常に重いテーマに感じられるのだという。同氏によれば、それは

「広告表現はどこまで生成AIで自動化できるのか」#04

Hakuhodo DY ONE

前回の記事「生成AIと企業ブランディング」#03では、企業がブランド価値を損なうことなく生成AIを活用するには、透明性の確保やブランドガイドラインとの整合、人間による最終審査が不可欠であることを述べました。また、生成AIを「使えるかどうか」ではなく「どのように使うべきか」を検討すべきだと結論づけまし

AIは広告表現の「何を」自動化しはじめているのか?現在の広告制作実務において、生成AIが大きな力を発揮しているのは、まず間違いなく「初稿生成」や「大量生成」の領域です。コピー案やトーン違いの表現を量産したり、構成の叩き台をつくったりといった、表現のバリエーション展開は、これまで人間が相当の時間をかけ

自動化できるのは「作ること」であって、「通すこと」ではないしかし、ここで見落としてはならないのは、広告表現の実務は単に「形にすること」で完結するものではない、という点です。実際の広告制作の現場で本当に難しいのは、それが世に出せるのか、違法性はないのか、ブランドを毀損しないのかを判断することです。たと

法律だけではなく、生活者からの「印象」と「受け止められ方」が問われる広告表現の法務判断について、しばしば「条文に当てはめれば済む話」と見られがちです。しかし実際には、広告法務においてもっとも難しいのは、条文そのものよりも、生活者がどう受け止めるかという点にあります。同じ文言の広告表現において、ある媒

では、AIは広告表現に使えないのか?もちろん、そういうことではありません。むしろ私は、生成AIは広告表現の実務において、今後ますます不可欠な存在になると考えています。ただし、それは「人間を不要にする代替者」としてではなく、人間の検討を加速し、選択肢を広げる推進力としてです。たとえばクリエイティブの大

自動化が進んだ先で求められる「クリエイティブ法務」ここで、「クリエイティブ法務」という考え方が重要になります。広告表現の自動化が進むということは、制作量そのものが増えることを意味します。制作量が増えれば、当然、確認すべき表現、見極めるべき論点、調整すべき境界線も増えていきます。つまり、AIが制作を加

広告表現はどこまで生成AIで自動化できるのか最後に、冒頭の問いに戻りたいと思います。広告表現はどこまで生成AIで自動化できるのか。私の答えは、次のとおりです。広告表現は、生成・量産・一次整理のかなりの部分まで自動化できる。しかし最終的な判断、責任、そして<通す>ための設計はなお人間の領域に残るこの線

ヒット習慣予報 vol.411『ランダムにお任せ』

博報堂

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中林です。最近引っ越しをしました。不動産屋さんとのはじめての打ち合わせのときのこと。エリアや間取りなど条件を伝えつつ、あまり急ぎでもなかったので雑談していると、不動産屋さんの携帯に着信が。「え、キャンセル?そうかあ、残念。わかりました」どうやら別のお客さんの審査が通

人とAIが並走する組織の最適解とは(後編)

シンシアリー株式会社

  • 國本 知里氏

博報堂DYホールディングス

博報堂

博報堂DYホールディングス 執行役員/CAIO 兼 Human-Centered AI Institute代表の森正弥が、業界をリードするトップ人材と語り合うシリーズ対談「Human-Centered AI Insights」。今回は、AI Work Transformation Companyを掲げるシンシアリー CE

地方の「フィジカルAI」成功モデルが逆輸入される可能性 森 ここから話題を変えて、都市部と地方の「AIデバイド(格差)」についてお聞きしたいのですが、國本さんのご意見をお聞かせください。 國本 あくまで個人的な見解ですが、現時点では都市部と地方でAI活用の差はかなり大きいと感じています。都市部ではA

「AIを使わない場面」の選択 小林 日々BPR活動を進める中で、利活用推進の本質とは何だったのかと考えることがあります。各企業が成功と捉える基準や目的について、國本さんはどのようにお考えでしょうか。 國本 2年前は「使うこと」自体が目的でしたが、今では多くの企業が「AIを使ってはいるものの、何も変わ

「AIに任せる領域」と「人間が決める領域」 森 クリエイティブディレクターである博報堂/SIXの藤平さんから仕事の進め方の話を伺ったとき印象的だったのが、仕事を「そもそも」「例えば」「つまり」の3つに分けるという考え方でした。「そもそも」は前提や定義の確認、「例えば」は事例や選択肢の探索、「つまり」

人とAIが並走する組織の最適解とは(前編)

シンシアリー株式会社

  • 國本 知里氏

博報堂DYホールディングス

博報堂

博報堂DYホールディングス 執行役員/CAIO 兼 Human-Centered AI Institute代表の森正弥が、業界をリードするトップ人材と語り合うシリーズ対談「Human-Centered AI Insights」。今回は、AI Work Transformation Companyを掲げるシンシアリー CE

AI導入で重要なのは、業務プロセスに合わせた“翻訳” 森 はじめに、國本さんが取り組まれていることや、どのような思いでAI分野に関わってこられたのかについて教えてください。 國本 約8年前、当時はまだ現在のような盛り上がりを見せる前でしたが、「AIが働き方や社会構造を根本から

業務の枠を超える「スーパー事務職」 森 小林さんたちのチームが推進する研修も、非常に規模が大きいです。2025年は博報堂DYグループ全体で約300回の研修を実施し、のべ3万人以上が参加しました。まさに、AIの進化に合わせて教育環境をアップデートし続ける姿勢こそが重要だと思うのですが、國本さんの周りで

経営層に問われる「AIで高めた生産性」の再投資 森 AIを使いこなせる個人についてはイメージが掴めてきましたが、組織として成長していくためには何が必要なのでしょうか。 國本 AI活用で最も難しいのが、「何を解くべきか」という課題定義の共通認識です。組織として考えると、売上を伸ばしたいのか、利益率を上

マーケティングシステムの今~マーケティング&ITの実務家集団が語る事業グロースへのヒント【特別編③】Google Cloud Next '26で見えた「ゼロコピー戦略とフィジカルAIが変えるマーケティング基盤」——データは動かさず、AIを"現場"に届ける

博報堂

今回も引き続き、2026年4月にラスベガスで開催されたGoogle Cloud Next '26で得た知見をベースに、日本企業のマーケティング責任者にとっての示唆を読み解いていきます。今回のテーマは「データの移動をやめる」という逆転の発想と、AIがデジタル空間を超えて物理的な顧客接点へ拡張する「フ

1. 「データ統合が終わるまでAIは使えない」── その言い訳が通用しなくなった「AIを本格活用したいが、まずデータ統合を完了させなければ」──我々がクライアント企業の皆さまから最も頻繁に耳にする言葉です。CRM、EC、POSデータが散在している以上、まず一箇所に集約しなければAI活用は始められない。多

2. 暗黙知の「資産化」── AIの成果を決めるのはモデルではなくデータであるデータアクセスの障壁が下がった次に問われるのは「AIにどんなデータを食わせるか」です。ここで浮上するのが、多くの日本企業が見過ごしている巨大な資産──非構造化データ、すなわち「暗黙知」です。議事録、業務マニュアル、製品仕様書、

3. AIが"店舗"に降りてくる ── フィジカルAIという新たな地平もう一つの大きな潮流は、AIの適用領域を根本から広げる「フィジカルAI」──AIがデジタル空間から物理世界へ拡張する動きです。これまでAI活用はWebレコメンデーションやデジタル広告のターゲティングなどデジタル空間中

「ツギハギAI」から「統合スタック」へ ── Make or Buyの戦略的判断ゼロコピー、ゴールデンデータセット、フィジカルAI──これらを個別に導入しても全体がつながらなければ効果は限定的です。Google Cloud Next '26で警鐘が鳴らされていたのは「ツギハギAI」の危険性でした。部門ごと

5. 日本企業が明日から始められることステップ1:「データ統合を完了させてから」という計画を疑う。データを物理移動させなくてもAI活用は始められます。進行中のデータ統合プロジェクトが「ETLの沼」にはまっていないか点検し、ゼロコピーでのスモールスタートを検討してください。ステップ2:社内の非構造化デー