
ユーザーの声で進化するデジタルファッションマーケットプレイス TOKYO AVATAR GATEがグランドオープン
目次
日本のマンガ・アニメなどの公式作品とコラボレーションしたメタバース向けのデジタルファッションマーケットプレイス「TOKYO AVATAR GATE(トウキョウ アバターゲート)」が、β版サイトでの運営を終え、2025年6月25日にグランドオープンしました。
運営を手がける株式会社Hakuhodo DY ONEと株式会社 ARROVA のメンバーに、テストユーザーからの反響や今後の展望について聞きました。
砂田 和宏
Hakuhodo DY ONE メディアソリューション本部 本部長
河合 佑介
ARROVA 代表取締役社長
本間 悠暉
ARROVA プロダクトマネージャー
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「服の質感がリアル」「着心地がいい」と評価するユーザーも
-約3カ月間のβ版サイト運営を通して、どのような反響やご意見がありましたか?
- 河合
- Discordのコミュニティ上での反応に加えXでのリサーチ結果も含めると、いずれも共通して「品質が良い」との声、そして「日本のマンガ・アニメなどの公式のものを着用できるのは魅力的」というご意見をいただいています。
とはいえ、リアルファッションとは異なり、購入してみないと質感がわからないという点がネックになっています。「金額が少し高いのでは」という声もいただきました。しかし、プレゼントキャンペーンなどでお試しいただいたところ、実際に着用してみると「価格も納得」といったご意見が多かったです。今後もより手に取っていただけるような仕組みを検討していきたいと思います。
- 本間
- 現在Discordのコミュニティには約400名のユーザーが集まっており、日常的に着用した姿を投稿し合う文化ができつつあります。
私たちもどのようなアバターの体型に合わせて服をつくればよいかなど、ユーザーからヒアリングし、開発に活かしています。今後もユーザーとの接点を大切にしていきたいです。
-品質について具体的にはどんな声がありましたか?
- 本間
- β版では主にリアルクローズに近いアイテムを展開していたのですが、服の開発には実際のアパレルブランドで経験を積んだ方にも参加していただきました。それもあって、「服の質感がリアルだ」と言っていただけることが多かったです。VRChatの中ではリアルクローズという文化が浸透してきているため、そこに興味を持ったユーザーもいて、それは私たちも予想していなかった嬉しい反響でした。
コメントで印象的だったのが、「着心地がいい」と表現してくださったこと。動きに合わせて自然に見えるように開発されているためだと思いますが、とても嬉しかったですね。
β版から販売を開始していた『攻殻機動隊 S.A.C.』コラボ商品。オーバーサイズのプルオーバーやパーカーなど、リアルクローズに近いデザインを展開。
グランドオープン後はさらに作品数も拡大
- 砂田
- これまでフィジカルのファッションとメタバースのファッションは完全に別物でしたが、TOKYO AVATAR GATEの登場によって徐々に近づき始めたのかもしれません。私が知人にインタビューした際、自分が普段着ているものとまったく同じファッションがほしいと話す人もいました。自己表現として自分のファッションスタイルを守りながら、メタバースの世界でコミュニケーションする未来に可能性を感じました。
- 河合
- 今後はアパレルブランドとコラボしたデジタルファッションも展開できるといいですよね。TOKYO AVATAR GATEで販売している商品は他の商品とは質感が大きく異なるため、「合わせるのがむずかしい」、「フルコーディネートで販売してほしい」といった声もいただいています。今後はコーディネートの発想も重要になってくると考えています。
-マンガやアニメ作品とのコラボレートが中心のサービスですが、リアルクローズに近い楽しみ方にも兆しが見えてきたということですね。
- 本間
- はい。作品のキャラクターが着ている服をコスプレのように楽しみたい方もいれば、普段キャラTを着るように推し活として楽しみたい方もいる。それぞれに異なる楽しみ方があるんですよね。
コスプレ的な楽しみ方の場合でも、そのクオリティが重要です。単なる服だけではなく、たとえばオーラが出るといったモーションエフェクトなど、メタバースならではの仕掛けを提供していきたいです。
-β版とグランドオープン後では具体的にどのような違いがありますか?
- 河合
- β版では公式作品の取り扱いは3作品のみでしたが、これらに加え、『モブサイコ100』も新たに仲間入りしてバリエーションを拡大しています。
他出版社作品も近々ラインナップに加わる予定です。私たちは大切な作品を扱っていますので、作者や出版社が納得いただけるかたちで丁寧に開発をすすめています。
アイデア次第でさまざまな企業プロモーションへの活用も
-ユーザーに楽しんでいただくことはもちろんですが、ビジネス視点ではどのような展開が期待できそうですか?
- 砂田
- たとえば、企業ロゴの入ったTシャツを配布するなど、プロモーション手法のひとつとして活用いただけると思います。
リアルでつくって配布するのは大変ですが、メタバース上であればハードルも低い。
あるいは、メタバース上で会社の運動会を行うなど、インナーコミュニケーションにも活用いただけるのではないでしょうか。本当にアイデア次第でいかようにも展開ができると思います。
- 本間
- スポーツチームなど、同じユニフォームを着て応援するといった文化があるコンテンツとも相性が良いと思います。VRChat上でのパブリックビューイング行うのもいいですね。
- 河合
- ほかにも、消費財メーカーであれば、商材をそのまま着ぐるみとして着用してもらうなど、バーチャルならではのコミュニケーション手法もいろいろと考えられます。
たとえば、過去に3Dモデルを作成し、その活用先に困っている企業があればTOKYO AVATAR GATE内で再び活用していただくことも可能です。
いずれにしてもユーザーが楽しんでくれることが第一。
そのためにどうすればよいかという知見を私たちは持っていますので、興味のある企業の方はぜひご相談いただきたいです。
海外展開や企業コラボなど、TOKYO AVATAR GATEの可能性を追求
-さいごに、今後の展望について聞かせてください。
- 本間
- 商品の開発という観点では、柄が動くTシャツや音が出るTシャツなど、メタバースならではの表現を追求していきたいです。また、毎週もしくは隔週ペースで新商品を投入したり、商品に関連したイベントを開催するなど、ユーザーの皆さんに定期的に楽しんでいただける仕掛けをつくっていきたいです。
訪れるたびに新しい発見があって、おもしろい場所だと感じていただけるようにしたいと思います。
- 砂田
- TOKYO AVATAR GATEで服を購入するだけでなく、その服を着て出かけられる場所をつくることにもチャレンジしていきたいですね。
作品の世界観に紐づいたワールドをつくって、そこにファンたちが夜な夜な集まるような仕掛けも考えています。実際の世界でお店をつくるのは大変ですが、メタバースならそれが可能です。さらに、皆で同じダンスのエフェクトをインストールすれば、技術も体力も関係なく踊り続けることもできます。そんなメタバースならではのコミュニケーションを提案したいです。
- 河合
- 場所づくりという意味では、現在VRChat上に百貨店のようなワールドを制作中です。訪れた方に商品を試着していただけるような環境を、今年の秋頃を目標に完成させたいと考えています。
また、私たちは日本のコンテンツを大切な資源だと捉えています。世界中のファンたちに新しい楽しみ方を提供したいという思いがあり、来年を目標にグローバル展開も視野に入れています。
さまざまな企業とのコラボレーションも検討していますが、やはりユーザーあってのサービスですので、皆さまに楽しんでいただけるコンテンツを第一にこの事業を推進していきたいと考えています。
ぜひDiscordのコミュニティにもご参加いただき、多くのご意見・ご感想をお寄せください!
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Hakuhodo DY ONE
メディアソリューション本部本部長
-
ARROVA 代表取締役社長
-
ARROVA プロダクトマネージャー