マーケティングシステムの今~マーケティング&ITの実務家集団が語る事業グロースへのヒント【vol.13】今マーケターが知っておくべきAIの技術トレンド・法則5選とマーケターが取るべきアクションとは
博報堂
マーケティング活動において、データとテクノロジーが果たす役割は年々高まっています。データ基盤整備やCDP(カスタマーデータプラットフォーム)活用、マーケティングオートメーション、AI活用といった言葉は、もはや特別なものではなくなりました。一方で、それらを「実際の事業成長」に結びつけられている企業は、
◆はじめに生成AIが注目されるようになって数年が経過し、これまでのITツールをはるかに超える速度で普及し進化してきたことは、多くの方が感じていることだと思います。マーケティングを始めとしたビジネス業務では、これまでも多くの技術が登場し、時には変革を推進し、時には残念ながら期待外れに終わってしまうもの
◆1つ目:いつまでにAIは何割の仕事を自動化するのか?まず一つ目は、元OpenAI・DeepMind研究者のBeth Barnesが率いる非営利研究組織で、OpenAIやAnthropicなどの主要AI企業と協力してAIシステムの安全性評価を行う第三者機関METRチームが発表した、「AI版ムーアの法則
◆2つ目:AIの電力消費急増が企業に求める変化次に注目すべきは、RAND Corporation(アメリカの政策シンクタンク)が発表した『AI's Power Requirements Under Exponential Growth』です。この研究は、AI開発競争の裏で進行している「電力消費の爆発的増
◆3つ目:データ品質管理の新常識「重複リスク」への対応3つ目は、Anthropic社のAmanda Askell氏らが発表した『Scaling Laws and Interpretability of Learning from Repeated Data』です。この研究は、AIの性能を大きく低下させる「意外な盲点」
◆4つ目:「人間データ時代」から「経験学習時代」への大転換4つ目は、Google DeepMindが提唱する『The Era of Experience』です。この論文は、AI発展の根本的なパラダイムシフトを予測した重要な研究です。これまでのAIは主に「人間が作成したデータ」から学習していましたが、今後は「
◆5つ目:AI導入の現実「95%が失敗している」という厳しい実態最後は、MIT Media Lab/Project NANDAが発表した『The GenAI Divide: State of AI in Business 2025』です。この研究は、AI導入の「理想」と「現実」の大きなギャップを数値で示した衝撃的なレポー
◆マーケターが今取るべき3つのアクションこれらの5つの論文から、マーケターが現在準備すべき具体的なアクションが見えてきます。1.短期(1年以内):失敗パターンの回避95%が失敗するAI導入を避けるため、技術検討だけでなく既存ワークフローとの統合、法務・ガバナンス体制の整備を先行して進める2.中期(2
デジタル時代の「新・ブランド論」【第12回】 正情報と誤情報の広がり方の違いとは? ―広がりやすい情報と拡散ネットワークの特徴
早稲田大学大学院
- 澁谷 覚氏
東京理科大学
- 柿原 正郎氏
関西学院大学
- 石淵 順也氏
上智大学
- 杉谷 陽子氏
筑波大学
- 佐野 幸恵氏
SNSなどデジタル環境の変化に伴い、生活者の情報選択・購買・消費行動は大きく変化しています。また、様々なテクノロジーの登場によって、企業の行うデジタルマーケティングも日々進化しています。その一方で、長期的な視点に立った企業と生活者との絆づくりである「ブランド」はどうでしょ うか?デジタル時代において
世の中が不安定なほどネガティブ情報は拡散する 米満 前回(第11回)は、筑波大学の佐野先生をお迎えして、情報拡散についてご自身の研究内容も交えながらレクチャーをいただきました。今回も引き続き、情報拡散をテーマに佐野先生と一緒に議論を深めて行ければと思います。 西村 これまで私たちの研究会で、SNSで
誤情報が広がっていくメカニズム 澁谷 前回正しい情報は多くの人が一次情報をリツイートしていたのに対し、誤った情報は又聞きの又聞きといったように分岐しながら広がっていったという研究結果をご紹介いただきましたが、誤った情報を拡散した人は、誤情報だとわかっていながら拡散していたのでしょうか? 佐野 いえ、
感情が絡むと情報伝播のスピードが速くなる 杉谷 状況があいまいなときも、あっという間にデマが広がることがありますね。それこそ災害時やコロナ禍では、どう避難するか、どう対処したらいいか皆がわからない中、情報がほしいあまりにたまたま触れた内容を拡散してしまう様子がみられました。 西村 ほしい情報というの
媒介中心性と情報拡散力の関係 柿原 SNS上の情報拡散を考える上では、この10年ほどでフェイクニュースやエコーチェンバー(自分と似た意見を持つ人々と多く交流し、その意見が強化され、他の意見に触れる機会が減る現象)の問題が大きくなり、情報の質そのものが低下している状況がありますよね。ただ、それらは昔か
マーケティングを革新する!企業の挑戦―データ×生活者発想で新たな価値をつくる、メディアとコミュニケーション
株式会社TBSテレビ
- 遠西 高幸氏
効果検証のカルチャーを根付かせるデータドリブンなプロモーションの未来テレビをはじめとするマスメディア、さらにデジタルからオフラインの店頭での行動までがデータでつながるようになった時代。メディア投資戦略にイノベーションを起こすような新たな取り組みが始まっています。本連載では企業側、メディア側、広告会社
PDCAスキームを構築 進化するテレビ局の“番宣”━━遠西さんはTBSテレビのプロモーション部でデジタル活用を推進しているそうですね。 遠西 TBSテレビのプロモーション部は、プロモーションのプランニングから実行までを担当する部門です。現在、デジタル広告にとどまらないデータの活
デジタル時代の「新・ブランド論」【第11回】 情報はどのように伝播していくのか? ―情報の流れを可視化する
筑波大学
- 佐野 幸恵氏
早稲田大学大学院
- 澁谷 覚氏
東京理科大学
- 柿原 正郎氏
関西学院大学
- 石淵 順也氏
上智大学
- 杉谷 陽子氏
SNSなどデジタル環境の変化に伴い、生活者の情報選択・購買・消費行動は大きく変化しています。また、様々なテクノロジーの登場によって、企業の行うデジタルマーケティングも日々進化しています。その一方で、長期的な視点に立った企業と生活者との絆づくりである「ブランド」はどうでしょうか?デジタル時代において、
自然界における数理構造を社会経済にあてはめる「社会経済物理学」 西村 マーケティング・消費者行動・心理学など専門家の先生方とともにお送りしている本連載で、現代のブランドやマーケティングを考察するにあたり、これまでの皆さんとの議論とも関連しますが、今の情報環境を理解することは欠かせないと考えています。
情報拡散ネットワークを観察する 西村 具体的に、SNS上での情報拡散はどう捉えておられますか? 佐野 ネット上の情報の流れというのは、直接的に目には見えませんが、ひとつの方法として「情報拡散のネットワークがどのような形をしているか」を観察することができます。正しい情報が広がる時、多くの人は一次情報を
「集団感情」は数値化できる 柿原 とても興味深いです。旧Twitterの調査が2011年、ウェイボが2018年ということは、生活者がメインで利用するデバイスがPCからモバイルへと変化した時期ですね。 佐野 そうですね。その点も含めて、どんどん状況は変わってきていると思います。また、今ではbotの投稿
コンテンツの信頼性と情報拡散の関係性 澁谷 なるほど。一方で、適した“状況”があっても全部がバズるわけではなく、人やコンテンツが違えば拡散の範囲も変わってくるわけで、バズらせたいと思ったらやはり人やコンテンツの信頼性が重要になってきそうですね。 西村 そうですね。信頼性やオー
~AIと共創し、マーケティングビジネスの効率化と高度化を支援する~ 統合マーケティングプラットフォームCREATIVITY ENGINE BLOOM 活用事例【セミナーレポート】【後編】
近年、海外では、統合マーケティングプラットフォームを活用し、マーケティング施策を一気通貫で実現するプラニングが一般化しはじめています。これにより、TVCMや新聞広告などの「マス広告」とWeb広告やSNS広告などの「デジタル広告」を組み合わせる「マス&デジタル連携」や、プラニング業務の効率化・高度化を
初心者でもコンセプト開発を可能にする「STRATEGY BLOOM CONCEPT」クリエイティブ業務におけるノウハウの“暗黙知化”に着目 豆谷 「STRATEGY BLOOM PLANNING」で市場構造把握やKPI策定をした上で、具体的な戦略のコンセプトを立てていく時、そんな時に
TVCMの分析業務を支援する「STRATEGY BLOOM CM ANALYSIS」従来難しかった広告表現効果を分析 竹村 続いて紹介するのは、TVCM分析支援ダッシュボード「STRATEGY BLOOM CM ANALYSIS」です。まずは開発背景からお話しさせていただきます。さまざまなデータの取得やデジタル
~AIと共創し、マーケティングビジネスの効率化と高度化を支援する~ 統合マーケティングプラットフォームCREATIVITY ENGINE BLOOM 活用事例【セミナーレポート】【前編】
近年、海外では、統合マーケティングプラットフォームを活用し、マーケティング施策を一気通貫で実現するプラニングが一般化しはじめています。これにより、TVCMや新聞広告などの「マス広告」とWeb広告やSNS広告などの「デジタル広告」を組み合わせる「マス&デジタル連携」や、プラニング業務の効率化・高度化を
統合マーケティングプラットフォーム「CREATIVITY ENGINE BLOOM」とは5つのモジュールで、多角的にマーケティングを支援 北川 まずは、「CREATIVITY ENGINE BLOOM」の概要からお話しします。 「CREATIVITY ENGINE BLOOM」とは、博報堂DYグループが開発した
市場構造の可視化からKPI策定までをワンストップで実行する<STRATEGY BLOOM><STRATEGY BLOOM>の全体像 北川 ここからは、「CREATIVITY ENGINE BLOOM」の中から、<STRATEGY BLOOM>というモジュールについて紹介させていただきます。こちらは、市場構造の
KGI起点でのプラニングを支援する「STRATEGY BLOOM PLANNING」プロダクトの全体像と実装機能 北川 「STRATEGY BLOOM PLANNING」は、市場構造の可視化から、ターゲット規定、価値規定、KPI策定までを、スムーズに探索しながら導き出す分析ツールです。主に、コンバージョン数
マーケティングシステムの今~マーケティング&ITの実務家集団が語る事業グロースへのヒント【vol.9】組織をつなぎ、課題を解決する─プロダクトマネージャー(PdM)の役割と価値とは?
博報堂
マーケティング活動において、データとテクノロジーが果たす役割は年々高まっています。データ基盤整備やCDP(カスタマーデータプラットフォーム)活用、マーケティングオートメーション、AI活用といった言葉は、もはや特別なものではなくなりました。一方で、それらを「実際の事業成長」に結びつけられている企業は、
PdMが「なぜ今求められているのか」多くの企業では、組織横断機能としては「デジタル技術やデータの活用を通じて、企業の業務やビジネスモデルそのものを変革し、競争力を高めること」を目的にDX部門が設立されるのですが、実際にはIT導入や業務効率化支援にとどまってしまうことが多く、企業全体の持続的成長のエン
PdMの役割と現場業務との目線合わせが重要なポイント一般的にあげられるPdMの役割は、「Development(商品開発)」「User(顧客体験)」「Business(業務)」の交差点に立ち、プロダクトの成果の最大化というゴールのために各部門をリードすることです。しかし実際に大手メーカーで支援を推進
PdMを担うために必用なスキルとマインドセット企業全体における戦略立案、市場分析、収益モデル設計、顧客・UX体験設計、またそれに伴う業務・システムを理解したいところですが、全てを理解することは現実的になかなか難しいかと思います。上記の知見を持ちつつも、特に必要なスキルは、ステークホルダーを巻き込むた
組織横断でのPDCAサイクル業務を固めたら、プロセスを自動化して更にビジネスを加速させるPdMの機能を組成した場合、ステークホルダー含め少なからず業務負荷が高まります。そのため、業務負荷低減に向けてPdMが中心となって業務を自動化していく必要があります。一般的な自動化事例は下記の通りです。・主要KP
博報堂マーシス局が提供できる価値博報堂がPdMの新規組成支援をすることで、生活者視点に基づくインサイト発掘や商品戦略・ブランド戦略、データに基づいたマーケティング戦略、生活者とのコミュニケーション設計は勿論、それらを各企業の業務に落とし込み、内製化するところまで支援することが出来ます。業務支援にとど
Attention(アテンション)計測とは?ユーザーの注視率を解析しブランドリフト施策の最適解を導き出す
Hakuhodo DY ONE
日々の情報収集でWebサイトを見ていると、スクロールする際にたくさんの広告が目に入りますよね。そのなかで、意識してしっかり見ている広告はどれくらいあるのでしょうか?情報過多な現代において、広告が本当にユーザーに届いているのか、広告投資の効果をどう最大化するか、多くのマーケターが頭を悩ませています。広
Attention計測とは- Viewablity(ビューアビリティ)との差分Attention計測とは、Web上の動画広告・ディスプレイ広告(以下、広告)について、ユーザーが本当に注視して見ているかどうかを計測する手法です。似た指標に「Viewablity」がありますが、こちらについては視認可能な場
なぜ Attention 計測が必要なのか- Cookieに依存することなく計測ができるGoogle がCookie廃止を撤回したことで、Cookieを活用したユーザーの行動データはこれまで通り取得することができます。しかし、改正個人情報保護法の施行やプライバシー保護の観点から、データの取り扱いに対する規制
Attention計測の活用- ブランドリフト施策と相性が良い前述の通り、BLSはキャンペーン事後の調査であり、デジタル広告の運用指標として活用することはできません。 そのため、リーチを広げれば良いのか、フリークエンシーを重ねればよいのか、動画を最後まで見て貰えば良いのか、どの指標がブランドリフトの好転
今後の見通しこれまでご説明した通り、Attention計測を活用すれば、広告の注視度に関する実態を把握することができます。広告の注視度がどの程度ブランドリフトに結びついているのか、その相関や貢献度に関する検証を重ねていくことで、確からしい「メディア横断指標」として活用できるようになるはずです。メディ
マーケティングシステムの今~ マーケティング&ITの実務家集団が語る事業グロースへのヒント【vol.7】マーケティング施策の効果検証はなぜうまくいかないのか―本質的な貢献度を捉えるために必要なアプローチとは
博報堂
マーケティング活動において、データとテクノロジーが果たす役割は年々高まっています。データ基盤整備やCDP(カスタマーデータプラットフォーム)活用、マーケティングオートメーション、AI活用といった言葉は、もはや特別なものではなくなりました。一方で、それらを「実際の事業成長」に結びつけられている企業は、
個別施策のPDCAが限界を迎える瞬間企業がデジタルシフトを加速させ、マーケティング施策の多様化が進む中で、多くの現場が新たな課題に直面しています。デジタル広告、SNS、CRM、オフライン販促など、多様な施策を組み合わせて実行することが当たり前となった一方で、「その施策が事業成長にどれだけ寄与したのか
ケース①:全体構造を捉えたマーケティングポートフォリオの再構築ここでは、マーケティング施策の見直しが必要になる典型的なパターンをご紹介します。デジタル施策に積極投資し、複数のチャネルでKPI改善が進んでいたとしても、後からLTVを分析してみると、定着率の低い顧客が多く含まれていたというケースは少なく
"因果"を捉えないと本質的な検証はできない「部分最適の積み重ねは、必ずしも全体最適に繋がらない」――こうした課題に企業どのように向き合うべきなのでしょうか。マーケティング施策の全体貢献度を測るには、因果推論(Causal Inference)アプローチが不可欠になります。単なる相関
MLOpsはあくまで"道具"にすぎないこうした因果推論や高度なモデル構築を支える技術基盤として、MLOps(機械学習運用基盤)の整備が注目されています。確かに、MLOpsは分析業務の効率化・安定化に役立ちます。しかし、重要なのは「何を問い、何を解き明かすべきか」という上流設計です
マーシス局の提供価値:戦略設計~実行~検証の一気通貫マーシス局の強みは、単なる分析サービスではありません。事業戦略・ブランド戦略と整合させた上流仮説の設計から、実行可能な施策設計、データ取得計画、実装・運用支援、そして因果構造を踏まえた検証設計までを一貫して伴走できることにあります。例えば最近では、
ケース②:「経験値」だけでなく「因果構造」を考慮した方針設計また、経験に基づく判断だけでは限界が生じるケースも散見されます。現場の経験則に基づく投資判断が長年続いていた中で、過去の販売実績や施策履歴、外部要因などを統合し、因果構造を分析したところ、意外にも高評価だった施策の効果が限定的で、別の地味な
博報堂の「マーケティングシステム力」をもっと世の中にマーシス局は、生活者データ・事業データを起点としたシステム設計と実装を通じ、経営課題そのものに寄り添うパートナーでありたいと考えています。マーケティング施策の設計は、もはや施策企画力だけでは解けない時代に入っています。「施策の効果は見えているはずな
社会戦略家と考える「働き甲斐の重要性」(前編)
楽天グループ株式会社
- 松村 有晃
博報堂DYホールディングス
業界をリードするトップ人材と語り合うシリーズ対談「Human-Centered AI Insights」。今回は楽天グループ株式会社 常務執行役員で社会戦略家としても活動される松村 有晃氏と博報堂DYホールディングス 執行役員/CAIO 兼 Human-Centered AI Institute代表の森 正弥が、「働き
日本の教育は画一的な指標で評価する傾向が強い 森 最初に、松村さんのご経験・経歴や現在、特に注力されていることについてお聞かせください。 松村 私は大学時代に建築学を学んでいましたが、途中で休学を挟み、バックパッカーとして世界30カ国以上を放浪する旅に出た経験があります。そこで「世界から見た日本の見
「働きやすさ」を追求しすぎ、「働き甲斐」を見失う社会 森 一人称と二人称と三人称の思考モデルを、2次元に落とし込んで社会全体の分析にはめていくのは本当にすごい発想ですね。先ほどの社会課題について考えるプロセスも、「一人称」から始まっていると感じました。そこから、客観的な視点で世の中を構造的に捉える「
現代社会は「幸福の射程」が縮まってきている 松村 個人主義が進みすぎた結果、“無縁主義”が広がり、以前よりも「縁」が希薄になっていることも日本の働き甲斐の低さの要因であると感じています。本来は他者とのつながりの中で湧いていたモチベーションや意味が失われてしまっているんです。そ

