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ヒット習慣予報 vol.382『大人のキラ活』
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ヒット習慣予報 vol.382『大人のキラ活』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの村山です。

なかなか暑さがおさまらないなあと思っていたら、急に肌寒くなりはじめて、いよいよ短い秋がきたなあという今日このごろですね。芸術の秋などと言われてますが、秋はアートだけでなく、自分の好きなものやかっこいいと思うものを鑑賞するのにいい季節かなと思います。個人の鑑賞趣味でいうと、塊根植物があります。あのなんとも言えないぷっくりとしたフォルムがたまらなく好きで、ついついコレクション欲をかきたてられて、お酒を飲んだりしながら眺めて楽しんでいます。そんな大人がつい集めてしまうコレクション欲に関する新習慣が「大人のキラ活」です。

キラとはなにかと思われると思いますが、キラキラしているカードがその代表例です。僕も小学生くらいの頃にカプセルトイを売っている並びで、カードも販売していて、お小遣いを握りしめてカードを買うのが楽しみで仕方なかった記憶があります。中でもキラキラしたカードはなかなか手に入らないレアなカードなので、持っている友達がいるとめちゃくちゃ羨ましかった記憶があります。そんなトレーディングカードをはじめとしたアナログでキラキラしたものを、子供ではなく大人が集めて楽しみ始めている、というのが今回の新習慣になります。

「大人のキラ活」の1つ目の事例である「トレーディングカード」をGoogleトレンドで検索すると過去5年で右肩上がりに検索数が上昇していることが見て取れます。実際に、トレーディングカードの国内市場規模は年々拡大を続けていて、2024年度には過去最高となる3,024億円を突破したようです(※)。これは、少子高齢化社会において、トレーディングカードが単なる子供のおもちゃではなく、国内玩具市場全体の成長を牽引する主要なコンテンツとして、大人の購買力によって支えられていると言えるのではないでしょうか。
※ “2024年度の日本の玩具市場規模は前年度比107.9%の1兆992億円で過去最高を更新”.一般社団法人 日本玩具協会. https://www.toys.or.jp/toukei_siryou_data.html

「トレーディングカード」の検索数推移

出典:Googleトレンド 

しかも今、トレーディングカードの種類は本当に多岐にわたっているようで、ゲームキャラクターのものからスポーツ選手のものはまだしも、銭湯のトレーディングカードや地域の中年男性をモチーフにしたもの、学校の先生のトレーニングカードまで!?あるようで調べてみるだけで楽しい世界が広がっているようです。

 

2つ目の事例は、シール交換です。かつて平成の子どもたちが熱狂したシール集めとシール交換が、今、20代後半から30代の大人を中心に再燃しているようです。その背景には、コレクションとしてのアナログな楽しさと進化するシールの魅力にあるようです。特に、ぷっくりとした立体感とキラキラしたツヤが特徴のシールなどの高クオリティなシールが人気を集めているようで、子供の頃にもっていたような「シール帳」に美しくレイアウトすることが醍醐味です。また、シール交換は、共通の趣味を持つ大人同士がコミュニケーションを取るためのツールとしても機能しているようで、僕の友人も飲み会の場でシール交換をしながら楽しんで飲み会後にはその場の戦利品を眺めながら悦に浸る大人ならではの新しい楽しみ方もしていました。小学生の頃には高くて買えなかったシールでも、大人だからこそできる“大人買い”で集め、「本気のシール交換」を楽しむ姿はSNSでも話題になっていました。

3つ目の事例は、ステッカーです。かつてはサブカルチャーのイメージが強かったステッカーが、今や大人の間で、日常的に持ち歩くスマホやパソコンなどのガジェットをカスタマイズする人気アイテムとなっています。クリアケースにキラキラしたステッカーを挟んで楽しむ文化が定着しています。これにより、本体のデザインを活かしつつ、気分や季節に合わせてステッカーを気軽に入れ替えられるため、飽きずに自己表現を楽しむことができるようです。自分が好きな服のブランドのステッカーをいれたり、あるいは好きなアニメ・アイドルの「推し」関連のステッカーをPCの天板やスマホケースに貼ることで、自分の趣味やライフスタイルをさりげなくアピールするツールとなっています。僕もお店で買い物したついでにそのお店のロゴが印刷されたステッカーなどをもらうことがあるのですが、かわいくてついスマホケースの中にコレクションしちゃっています。

なぜ、このような「大人のキラ活」が流行っているのでしょうか。ひとつに、平成レトロに代表されるような手触りのある「懐かしさ」をもとめる風潮があるでしょう。現在の30代から40代は、まさにトレーディングカードやシールがブームとなった時期に子ども時代を過ごしており、「子どもの頃遊んでいた」という層が、大人になって経済的な余裕ができたことで再びその世界に足を踏み入れていることが考えられるでしょう。デジタルテクノロジーが急速に進化し、1日中スマホやパソコンを触っていたりTVをみていたりする生活において、アナログな存在が一つの安らぎや休息につながっているのではないかと思います。他にも、界隈という言葉に表されるように、自分が好きなものへ集中的にのめり込む自己認識の収束と、その好きなもので自由に自己表現することができるカスタム性の高さが後押しになっているのではないでしょうか。最近バックにキーチャームとして小さなぬいぐるみをつけることも流行っているようですが、そんな自分が好きなものを集めて身につけることで気軽に楽しく自分の人生を彩る楽しみにつながることも大きな魅力なのではないでしょうか。

「大人のキラ活」のビジネスチャンスについて、考えてみたいと思います。

「大人のキラ活」のビジネスチャンス例
■名刺の代わりに、ついコレクションしたくなるステッカー名刺を発売。
■シール交換したい人たちが集まるシール交換専用カフェをオープン。
■ゆるキャラのようにご当地発のトレーディングカードを制作し発売するフェスを開催。

自由にカスタムデザインできるステッカーを制作することができそうなので、友達や家族の誕生日につくってプレゼントしてみたいなと思いました!

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 博報堂 PR局
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    車からお菓子に至るまで様々なクライアントの情報戦略、企画立案に携わる。運動不足でたるみきった体と気持ちを鍛え直したいと思い、筋トレを始めました。