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ヒット習慣予報 vol.378『エバーウェア』
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ヒット習慣予報 vol.378『エバーウェア』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズ メンバーの宮崎です。

クローゼットを開けると、「着たい服はあるのに、なぜか新しい服を探してしまう」──そんな経験はありませんか? 私もつい流行のアイテムに惹かれることがありますが、振り返ってみると、長く着続けているお気に入りの服ほど思い出が詰まっていて、大切に感じられることがあります。
近年「サステナブル」という言葉を耳にする機会も増えました。環境や社会にやさしい選択をすることが“良いこと”とされる流れが強まっています。博報堂の調査によると、サステナブルな社会購買実践度や社会行動実践度は10代と70代で特に高い一方、10代の過半数が「社会や環境問題に取り組むことに疲れを感じる」と回答。つまり、意識は高いものの“エコ疲れ”が広がっているのです。

▼サステナブルに関する社会・環境意識と行動

出典:博報堂SX プロフェッショナルズ「生活者のサステナブル購買行動調査2025」 https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/118511/

Google Treadsを見ても、「サステナブル」という言葉は2022年ごろが検索のピークなっており、その後は下降傾向となっています。

Google Trends「サステナブル」検索量推移(2004年1月以降・日本)

環境のために「やらなきゃ」と義務感で取り組むことは、どうしても疲れにつながります。ですが、自分の楽しみや工夫の延長であれば、自然と続けられるし、その結果がエコにつながっていく。最近ではそんな逆転の発想が、若い世代を中心に広がっているようです。
その象徴が、今回ご紹介する1つの服を長く着る「エバーウェア」。いくつか事例を紹介していきます。

1つ目の事例は、【シェアクローゼット】です。
「シェアクローゼット」とは、友人やパートナー、家族などと服を貸し借りし合い、ひとつのクローゼットを共有するように楽しむ習慣のことです。
私自身もパートナーと一緒に服を貸し借りすることがあり、その便利さと楽しさを実感しています。最近はジェンダーレスなデザインの服が増え、性別に関係なく着られるアイテムがシェアしやすくなってきました。無駄にたくさんの服を買わなくてもワードローブが広がるのが魅力です。さらに、自分が選ばなかったスタイルに挑戦できるので、新しい発見やファッションの楽しみ方も広がります。

2つ目は、【オリジナルリメイク】です。
お気に入りだったけれど出番が少なくなった服を、自分好みにリメイクして再び着られるようにする習慣です。丈を詰めたり、袖を切ってベストにしたり、布を組み合わせてパッチワーク風にしたりと、アレンジの仕方はさまざま。手を加えることで「ただの服」から「自分だけの一着」に変わり、再び愛着を持って袖を通すことができます。結果として、世界に一つだけのオリジナルアイテムとなり、ファッションを“消費”ではなく“創造”として楽しむことができるのです。実際に私も無地のポロシャツにパールビーズをつけてアレンジし、着ています。

著者の「オリジナルリメイク」

3つ目は【タイムレス着回し】です。
服をシーズンごとに使い捨てるのではなく、季節をまたいで工夫しながら着続ける習慣です。
例えば、夏のワンピースを秋にはニットやジャケットと合わせる、春のシャツを冬はタートルネックと重ねるなど。組み合わせを変えるだけで、季節を横断して長く楽しむことができます。
皆さんもアパレル店員から「年中着られるアイテムです」とおすすめされた経験があると思います。最近ではSNSを通じて、そうした着回しコーデをわかりやすく紹介する人が増えており、手軽に取り入れやすくなっています。
「今の季節にはもう着られない」という思い込みを外すと、1着の服が何倍もの表情を見せてくれる。買い足さなくても新鮮な気分になれるこの工夫は、無駄を減らしつつファッションの幅を広げてくれる、まさにタイムレスなスタイルです。

さて、いくつか事例を紹介してきましたが、なぜ「エバーウェア」が注目されているのでしょうか。

1つ目は、エコ疲れの突破口になっていることです。
前述した通り、博報堂の調査では、10代は環境や社会への意識が高い一方で、その過半数が「取り組むことに疲れを感じる」と答えています。義務感のあるエコは続かない。しかし、自分なりの楽しみや工夫の延長であれば、気づけばエコにつながっていた──そんな気軽さが若い世代に支持されているのです。
2つ目は、SNS文化との親和性が高いことです。
着回しチャレンジや修繕のビフォーアフターは写真や動画で映えやすく、共感を呼びやすい。発信のしやすさがモチベーションになり、日常の行動を新しい価値として広める力になっています。

最後に、「エバーウェア」のビジネスチャンスとして、下記のようなことを考えてみました。

「エバーウェア」のビジネスチャンスの例
■古着をレンタルできるサブスクサービス
■自分のお気に入りの服をリメイクしてくれる服屋
■自分の持っている服を登録するとAIがコーディネートを組んでくれるアプリ

私は犬2匹と暮らしており、エバーウェアは人間が着る服だけなく、人間の服を犬用の服にリメイクするなどもできると思うので、今度やってみようと思います。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 博報堂プロダクツ デジタルプロモーション事業本部 アクティベーションプランニング部
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    SNSマーケティング会社を経て、2023年に博報堂プロダクツへ中途入社。ミーハー気質で何にでも手を出し、たまにどハマりするものを見つける。犬2匹と楽しく生活中。