
ヒット習慣予報 vol.373『傘アプデ』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの佐藤諒平です。
昨年にもこの時期同じ入りで書いた気がするのですが、本当暑いですね。意識していなくても暑い暑いと一日に何度も言ってしまいます…。特に今年は気温が高くなるのが早く、梅雨にもっていた傘が、そのまま間を置くことなく日傘に変わった印象です。
実際「日傘」の検索推移を見てみると、過去2年間では7月後半に最も大きな山がきていたのですが、今年は早く6月から、より大きく注目されていることが分かります。
出典:Googleトレンド(「日傘」の検索)
雨の日の傘、そして暑い日の日傘は、いま生活に欠かせないものになっていますが、昨今そういった傘に“何かをプラスして取り付けている”生活者が多くなっていることに気が付きました。
今回はテーマを「傘アプデ」と題して、その例をご紹介したいと思います。
一つ目は、「傘+チャーム」でのアップデート
ここでいうチャームは、具体的にはキーホルダーやシールのことで、アンブレラマーカーと呼ばれていたりもします。昨今スマホにキーホルダーを付ける人はあまり多くないかもしれませんが、傘に付ける人が増えている、というのはおもしろいですね。元々は間違ってもっていかれることを防止する意味合いで付ける人が増え始めたようですが、最近は推しのキャラクターを付けるなど、自分の気分を上げる意味合いで付けている人も少なくないようです。そのため市販品はもちろんですが、チャームを自作し付けている人も見受けられました。SNSで見かけたものを参考に、早速私も小さなキャラクターキーホルダーを付けてみたところ、傘にいままでよりも一層愛着が湧く感じがして気に入っています…!
二つ目は、「傘+ライト」でのアップデート
夕暮時や、雨の夜に、暗い道を歩くのはちょっと心配。そんな方が傘の内側骨組みや柄に小型のライトを取り付けて利用しているようです。使う人が防犯の観点で安心感が得られるのは勿論のこと、たとえば周りを走る車や自転車からも見やすく、注意しやすくなることで事故防止にもつながるということで好評のようです。また、SNSで情報を集めてみると、シンプルなライトだけでなく、動物がぶらさがっているように見えるなど、傘がよりかわいく見えるようなデザインのライトを付けている方も見受けられました。帰り道に暗い箇所を通るという方は、試してみてはいかがでしょうか?
三つ目は、「傘+ハンディファン」でのアップデート
こちらは既に見たことがある!という方も多いのではないでしょうか。近年急速に普及したハンディファンですが、生活者の日傘利用の需要をうけ、傘の柄にとりつけることもできるタイプが増えています。通勤・通学で外を歩く時間が比較的長い方、外で 子どもと遊んだり、習い事に付き添ったりする時間が長い方を中心に、このアプデをしている人は多くなっており、実際に私の身近にも常用している人がいるのですが「これまでは右手に傘をもって、左手にハンディファンをもっていたけど、片手が空くようになってラクになった」と話していました。またその他に傘に付けるメリットとしては、ファンを手持ちしたり首掛けしたりするよりも目立たず使えるという点もあるようです。
ここまで事例をご紹介しましたが、なぜ昨今このような「傘アプデ」をしている生活者が増えてきているのでしょうか。
大きな観点では、やはり気象変化と多様性の観点から、幅広い性年代で傘をもつ機会が増えたこと。雨、そして暑い日と外に出るのが大変になるシーンで、少しでもより快適に、あるいは気分を上げて出かけられれば…という想いをもつ人が増えていった結果、傘に工夫を施すことにつながったのではないでしょうか。
また、低~中価格帯の傘のシンプル化も要因として考えられます。低~中価格帯ではその価格帯を保ちつつ多くの方が使いやすく感じるために、基本機能を重視し、デザインはシンプルな傘が増えていました。その結果、生活者が傘へのアイテム追加することで「自分の使い勝手を自分で少し良くする」行為が広がっていったのではないかと考えます。
今回も最後に、「傘アプデ」によるビジネスチャンスについて考えてみました。
「傘アプデ」のビジネスチャンス例
■傘につけておくことで、防犯ブザーとして使え、かつ親が位置情報確認もできる、「傘+子ども用防犯アイテム」
■傘につけ、かつスマホ連携することで、目的地へのルート方向を示してくれる、「傘+ミニナビ」
■傘の内側につけることで、自分好みの良い香りを纏って出かけることができる、「傘+ディフューザーリボン」
など…
傘は日常的に使うからこそ、生活者の不満も工夫も生まれやすいものなのかもしれません。まだまだ新しい「傘アプデ」が生まれるのではないか、と勝手に期待しています。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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新潟博報堂
ヒット習慣メーカーズ メンバー2020年 新潟博報堂に入社。2023年より2年博報堂に出向の後帰任し、地域で一人前のマーケター・プラナーを目指して修行中。最近初めて車を買いました。これから自分の習慣に広がりができるのではないかとわくわくしています。