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CYLOOK甲山翔也が挑戦するのは、eスポーツがカルチャーになる未来(後編)
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CYLOOK甲山翔也が挑戦するのは、eスポーツがカルチャーになる未来(後編)

プロeスポーツチームREJECT (リジェクト)を運営する株式会社CYLOOK(サイルック)の甲山翔也さんと、HYTEK(ハイテク)満永による対談企画。日本におけるeスポーツの現状をきいた前編に続いて、後編では中国や中東のeスポーツ事情について迫ります。

現役プレーヤーと目指す人、教える人材がいて、カルチャーが循環する

満永
日本でもみんながeスポーツに熱狂する世界にもっていけたら、次の段階として“どう続けていくか”が課題になってくるんでしょうね。法律の整備であったり、教育の問題であったり。いまはとにかくバーンと盛り上がってほしいけど、その後20年30年とeスポーツが発展していくためのデザインも、すごく大切だと思っています。
甲山
僕らもスクールの分野はとても重視しているところで、プロの選手を輩出するという意味でも、挑戦者を応援するという意味でも、教育には力を入れたいと思っています。
満永
最近アカデミーをはじめているんですよね?
甲山
そうです。若くて才能ある人がたくさんいるのに、年齢制限で大会に出られないのがすごくかわいそうだなと思っていて。若いうちからしっかり選手を育てていく環境がないと、今後世界では戦えないというのを先日上海で痛感しました。いま世界のトップを走っている中国の選手は、ものすごくいい教育環境のなかで育っているんですよね。
満永
中国はそれこそeスポーツ特区がいくつもあって専用スタジアムをつくっていたり、養成所のような学校があったり、国としてもサポートがありますもんね。世界チャンピオンも軒並み中国人選手という状況で、データ分析の部分でも抜きん出ていると聞いてます。
甲山
そうなんですよ。僕は中国の大手のチームとも仲がいいんですが、この前オーナーさんに言われた言葉がショックで…。中国選手と日本選手で一緒にチームをつくりませんか?そうしたら中国の練習方法を教えてあげますよ、って言われたんです。
それ、日本より中国の練習のほうが上であるって、相当自信がないと言えないじゃないですか。悔しかったですね。
僕らももちろんしっかり練習を積んでいますが、ノウハウを言語化して蓄積する必要があると改めて感じました。そうすれば若手選手に効率よく教えることもできるだろうし。
満永
やっぱり、誰かに教える、というのがどのカルチャーにとっても重要なんですよね。
最近ブレイクダンスがオリンピック種目になったというニュースが出ましたけど、やっぱりひとつのカルチャーとして社会的に認められ、かつその文化を循環させるためには、現役で活躍するプレーヤーがいて、それを目指す子どもたちがいて、現役を引退したあとには先生として活躍できるという場がある、というのが必要だと思うんです。先生じゃなかったとしても、ジムを経営したり、アパレルブランドをやったり、その周辺でビジネスができることが大事。eスポーツも、そこまでの循環がつくれてゴールだという気がしています。
甲山
そうですね、いまは本当に教育というものの重要さを痛感しています。

選手だけじゃなく、YouTuberやリーグそのものも抱える中東チーム

満永
2020年には一緒にドバイに行かせていただきましたが、中東のeスポーツシーンもおもしろかったですよね。
甲山
本当にいろんなカルチャーショックがありました。中東の代表チームとお話したときにおもしろいなと思ったのが、チーム内でゲーム実況をするYouTuberを育成していたり、女性のリーグを立ち上げたりしていたこと。選手がいるだけじゃなく、クリエイターやリーグそのものも抱えて、ひとつのチームでなんでもできる状態にしていたんですよね。
満永
そう、そのチームのサイトを見ると、チーム内にチャンネル登録者数1000万人越えとか、300万人越えの配信者とかいるんですよね。それって1000万ビューがある種保証されてるっていう状態じゃないですか。結構とんでもない座組ですよね。
甲山
そうかと思うと別のチームでは、とにかく選手を育成することに力を入れていて、そこでレジェンドになった選手を別の大型チームに移籍させて、その資金でまた新しい選手を育成する。いろんなエコシステムが構築されていて、違った成長の仕方があることを知ってすごく勉強になりました。

渋谷の屋外広告は、選手に自信と自覚を与えてくれた

満永
日本も中東のような盛り上がりをみせてきたら、自分たちの思想というか、チームとしてどういうミッションを一番大事にしたいかというのがもう一度問われてくるような気がしますね。そのとき、やっぱり甲山さんが持っている、挑戦する人に夢を与えたいとか、ゲームのネガティブなイメージを変えたいみたいな原動力がコアな部分になってくるんじゃないですか?
甲山
そうですね、そもそもチーム名がREJECTってすごいネガティブな言葉じゃないですか。拒絶するっていう。これは、いままでのゲームやeスポーツに対する負のイメージを覆す、REJECTするっていう意味で付けた名前ですし、悪いところは排除しながら選手の自信につながるような活動をしていきたいと思ってます。
渋谷の109で屋外広告を流すというのも、すごく自分たちの自信とか、選手のモチベーションアップにつながりました。自分はこんなCMに出たんだとか、人から見られてるんだと意識することで、アスリートとして自覚を持つことができたんだと思います。
満永
僕らHYTEKは技術を持っている企業と協業して、そのパワーをいろんな人に共感してもらえる文脈につくり変えるのが仕事なので、そういうシチュエーションをどんどんつくっていきたいですね。それこそゲーム関係の会社だけでなく、我々が共に活動している様々な領域のパートナーと一緒に、eスポーツ自体も拡張していきたいですね。

eスポーツをもっと日本に浸透させたいという甲山さんのお話をきいたとき、すごくシンパシーを感じました。初対面の打ち合わせで、「NOT JUST A GAME/所詮ゲームなんて言わせない」っていうコンセプトを創りましたもんね(笑)。

甲山
本当ですね(笑)。

eスポーツをカルチャーにするためには、閉じた発信じゃだめ

満永
渋谷に屋外広告出すというのも、普通のスタートアップの会社だったらあまりやらないと思います。でも、それをやれるところに甲山さんのスタイルが出たと思うんです。eスポーツを日本に浸透させるためには、ゲーム業界だけに閉じた発信じゃだめ。テーマソングを著名なアーティストにお願いしたのも、別のカテゴリーと結び付けることでカルチャーの文脈まで広げかったという狙いはありました。
甲山
あれが渋谷で流れているのをみて、俺たちはただのゲーマーじゃない、世界と戦っていくんだ、みたいな気持ちがさらに強くなりましたし、背番号入りのユニフォームをつくっていただいたのも大きかったです。
満永
背番号も遠くから選手を視認するためのものだから、本当だったら必要ないんですよね。でも、番号があることで選手がプライドを持てたり、ファンの人も憧れの象徴ができる。ファンが好きな選手のユニフォーム着て応援するなんて未来が来たら、感動的じゃないですか。
甲山
本当に。そういう未来を待ち望んでます。
会社を設立したときは、Web制作のバイトで稼いだお金でなんとか選手雇って…みたいな状況だったのが、新しいリーグが発表されて、その選手の収入が50万とか60万になったんですよ。本当に夢あるなって。選手に「信じてついてきてよかった」と言われたときはすごいうれしかった。
ちょっと前のYouTuberとかもそうだったかもしれませんが、これがカルチャーが生まれるときなのかなって思うんです。
満永
まさしくその瞬間にご一緒できていることがすごく楽しいです。僕たちとしても、今後eスポーツ以外の分野とどう掛け合わせていくかをデザインしていきたいですし、カルチャーとして浸透させる土壌をつくっていきたいですね。
今年からリーグもはじまりますし、僕たちといっしょに新しいスポーツシーンを盛りあげてくださる企業がいたらすごくうれしいですよね。
甲山
はい、ぜひご一緒させていただきたいです。
満永
甲山さん今日はありがとうございました。REJECTの活躍期待してます!
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  • 甲山 翔也
    甲山 翔也
    CYLOOK
    1999年大阪生まれ。10歳よりesports選手として活動し「CSO2」で日本一を経験。同志社大学2回生時にREJECTの前身となる「All Rejection Gaming」を設立し、当時19歳で当社を設立。2019年末にプロeスポーツチームとして国内初のVCからの資金調達を実施しeスポーツスタートアップとして上場を目指し急拡大中。
  • HYTEK 代表/CULTURAL CONTENTS DIRECTOR
    2015年博報堂入社。関西支社クリエイティブ・ソリューション局プロモーション・PR戦略グループを経て、2018年に第二クリエイティブ局に異動。グローバルクライアントのPR・プロモーション・コピーライティングを担当し、ACC・OCC新人賞・販促会議賞・ JAA広告賞・朝日広告賞など受賞。パフォーミングアーティストとしても国内外で活動を行い、NBA公式戦・TEDxKEIO・音楽イベントなどのステージに出演。アーティストプロデュースや演出も行う。エンターテインメントの表舞台と裏方と、マスとストリートとを繋ぐことを目標に活動。現在は、HYTEK設立準備室立ち上げを専任。