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左から、博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局 石毛正義、WHITE プロデュース局 北村菜穂、博報堂 アクティベーション企画局 中川浩史

博報堂グループのWHITEは8月1日、スマートスピーカー向けアプリケーション『オトッペの音遊び』をリリースしました(ご参考:WHITE プレスリリース)。NHK Eテレで放送中の教育番組「オトッペ」の世界観を再現して子どもが楽しく学べる内容になっています。開発の経緯や狙いについて、博報堂 アクティベーション企画局シニアインタラクティブディレクター中川浩史、マーケティングシステムコンサルティング局インタラクティブディレクター石毛正義、WHITE プロデュース局 第2チームプロデューサー 北村菜穂が鼎談しました。

中川:博報堂 アクティベーション企画局の中川です。デジタルアクティベーション部と博報堂買物研究所に所属しており、今回のアプリケーション開発を担当したVoice UI(VUI)チームのリーダーも務めています。新しいテクノロジーがどうコミュニケーションをアップデートしていくのか、その可能性について日々考えていまして、スマートスピーカーなどのVUIを利用した音声体験もその中のチャレンジのひとつと位置付けています。

石毛:博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局の石毛です。生活者中心のUX設計やクリエイティブの開発などを通じて、新たな価値創造にトライしています。VUIも既存事業に新たな成長の機会を発見、生活者の感情に訴えかけることができる実装可能なテクノロジーと考えています。

北村:WHITEの北村です。WHITEは博報堂グループのスパイスボックスのグループ会社で、テクノロジーやクリエイティブの力を活かしUXの企画・開発を主に行っています。私はUX事業部のプロデュース局に所属しておりまして、VUIを中心としたコンテンツの企画・開発を手掛けています。

中川:今回の開発の経緯ですが、オトッペは2017年4月からEテレで放送されている子ども向け番組です。世界一のDJを目指す主人公のシーナが、音から生まれた不思議な生き物・オトッペたちと繰り広げる冒険ストーリーで、視聴者がスマートフォンを使って番組に参加できるなど、子どもの“聴察力(身の回りの音に耳を傾けること)”を育む様々な試みをしています。
研究してきたVUIの可能性を実践する案件を探していたところ、オトッペとコラボレーションするのはどうか、というアイデアが出ました。「VUIのような先進的な技術と、オトッペの世界観や音を楽しむという内容との相性が良いのではないか」という話になったんです。
番組の制作サイドも、番組以外でも視聴者の方と双方向でコミュニケーションができる施策は面白いということで、我々の提案に応じていただくことができました。

石毛:「オトッペの音遊び」の開発は、博報堂VUIチームの新たなチャレンジ企画に WHITEが実装メンバーとして参加・協力したことで実現しました。博報堂のVUIチームは10人弱が集う有志のチームで、アクティベーション企画局やマーケティングシステムコンサルティング局が中心となって活動しているんですが、20代が多いのも特徴でして、本案件についてはWHITEからもイキのいい若手が多く参加してくれました。

子ども向けだからこその苦労も。世界観をくずさないシナリオづくり

中川:現在リリースされているVUIの一般的なアプリケーションは、「電気を付けて」「音楽をかけて」といったように、1回のやり取りで完結するものが多いんです。今回のアプリケーション開発では、1回のやり取りで完結させずに、複雑なことにトライしたいと考えました。検討の結果「オトッペの音遊び」アプリは、主人公のシーナがDJプレイする音が何の音かを当てる、クイズ形式のコンテンツになりました。出題されるのは、猫の鳴き声や電車の走る音など、約50種類あります。

■アプリケーションのやり取りの一例

 

石毛:子どもに使ってもらう、子どもとやりとりするという対話設計も新しいチャレンジですよね。VUIで教育目的のコンテンツを考えた経験はこれまでありませんでしたから。

北村:そもそもスマートスピーカーのアプリケーションはファミリーで使うことを想定しているケースが多く、子どもが使用する際でも大人がそばにいる前提です。子どもが一人でスピーカーで遊ぶケースがどういうものかを改めて考える必要がありました。

中川:オトッペの世界観を、アプリケーション体験で忠実に再現することにも苦労しましたね。よりオトッペの世界観を体感してもらえるように、実際の声優さんの声を収録したのは勿論、会話のフローやセリフの言い回し、効果音まで番組制作スタッフと一緒につくりこんでおり、良い仕上がりになったと思います。

石毛:番組の世界観を理解したつもりでも、番組制作スタッフから「それは違います」と指摘いただくこともありましたね。子どもは番組もアプリも分けて考えないので、コンテンツの世界観が番組とアプリの世界で分断しないように心がけるようにしました。

北村:シナリオを考えるにあたって、子ども向けというのはやはり独特なんですよね。子どもは大人が想像のつかない回答をしますし、それに一個一個対応するのは難しい。どういう風に遊んだとしても、アプリケーション上のストーリーがうまく進行していくように組み立てる必要がありました。
ひとつ特徴的な部分がありまして、子どもが不正解や想定外の回答をしても、それを否定しないようにしているんです。正解に設定した答えではない回答をした場合でも、シーナが「いいね」と答えるようにしているのは、オトッペの世界観を踏襲しています。そこには「音を聞いてどう感じるかは子どもの自由だ」という考えがあるからです。最初は当社でセリフの素案などを考えて、番組制作サイドにそういった点でもアドバイスをいただき、現在の形になりました。

中川:クイズとなる「音」やナレーションを聞かせるタイミングなども難しかったですよね。音を聴かせてから回答を求めるまでのナレーションのタイミングは、ご家族と一緒に考える時間も意識したうえで子どもが楽しんでもらえるような演出にしたりと、実はかなり細かいところにまで気を配っているんです。

北村:子どもは発声が未成熟であったり、プログラムが認識できない曖昧な言葉を発言することなども影響して、アプリケーションが音声認識できない場合もあるのですが、そういう場合に「ごめんね、よく聴き取れなかったよ」というナレーションを出します。

石毛:いろいろ試行錯誤した話が出てきましたが、アプリの開発期間自体はとても短かったですね。スタートしたのは今年の5月下旬。1ヶ月ちょっとで開発を終えたことになります。この間、非常に濃い時間を過ごすことになりました。関係者全員がゴールに向かってフラットな関係で開発を進めることに慣れていたからこそ、実現できたのではないでしょうか。

Voice UI開発は黎明期。得た知見をより幅広いコンテンツに活かす

北村:VUIは黎明期です。今回は子ども向けアプリケーションに挑戦しましたが、こういった知見をいろいろと蓄え、様々なことに応用できるということをクライアントに知っていただきたいですね。

中川:声を使ったコミュニケーションは根源的なもののはずですが、現状のスマートスピーカーでは発言文言を解釈することに手いっぱいで、「間合いを読む」「空気を読む」といったことが実装できていません。本案件では、どうすればそれを実装できるかを考えるうえで、非常に大きなヒントを得ることができました。自分が言いたいことをうまく言えていない子どもの声を拾っていかなくてはいけない訳ですから。

石毛:今回のようなアプリケーション開発で培っている経験そして知見を、より幅広いコンテンツに活かしていくことが出来ればと思っています。

プロフィール

中川 浩史
博報堂  アクティベーション企画局
石毛 正義
博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局
北村 菜穂
WHITE プロデュース局

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