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写真左から)博報堂プロダクツ データビジネスデザイン事業本部大木真吾Executive Data Marketing Director、マルケト社 カスタマーサクセス本部阿部健人カスタマーサクセスマネージャー、マーケティング本部小関貴志本部長

近年、MA(マーケティングオートメーション)を導入する企業や、導入を検討する企業が増えています。しかし、何がオートメーションなのか、漠然としている部分もあると思います。導入してもうまく使いこなせない場合もあるようです。MAとは何か、どうすればうまく使えるのか。博報堂プロダクツデータビジネスデザイン事業本部の大木真吾と、「マーケティングオートメーション」を世界6000社以上に提供している、マルケト社の小関貴志マーケティング本部本部長、阿部健人カスタマーサクセス本部カスタマーサクセスマネージャーが鼎談しました。

大木
こんにちは、博報堂プロダクツの大木です。弊社では、データに立脚したコミュニケーションをこれまで以上に支援するため、2018年4月よりデータビジネスデザイン事業本部を立ち上げました。企業の資産ともいうべきプライベートデータを一時的にお預かりして、これをどう使うことが有効なのかというコミュニケーションプランニングとエクゼキューションの支援を中心に日々邁進していきたいと考えています。ありがたいことにMA選定・活用のお引き合いも多くいただきますが、前述のように活用の悩みを抱えているケースが存在するように感じます。今回は代表的なMAベンダーの1社であるマルケト社のお二人をお招きし、「MAは本当に有効なのか?」について、意見交換を試みました。

小関
よろしくお願いします、マルケトの小関です。2014年6月入社で、日本法人立ち上げのタイミングから関わっています。

阿部
マルケトの阿部です。カスタマーサクセスマネージャーとして、既存のお客様に対して、中長期的な視点で製品の効果を最大化していただくための各種ご支援を行っています。

大木
ありがとうございます。小関さん、阿部さん本日はようこそお越しくださいました。
さっそくですが、「MAとは何か?」について、まずは教えていただけますでしょうか。「何となくは分かるけどはっきりとは分からない」という方々が少なくないと思います。

小関
はい。我々にとってのお客様はマーケターの方か、経営者になります。お客様の主な課題は、「自社のブランド力の向上」、「収益の向上」、「マーケティング活動の効果の証明」の三つです。これらを実現するためのプラットフォームがMAだとお考えいただければ分かりやすいかと思います。
ただ、MAという言葉だと「オートメーション」の部分が特に分かりにくいため、アメリカでは余り使われなくなってきました。当社も徐々にMAではなく、「エンゲージメントプラットフォーム」という言葉を使う様になってきました。

大木
なるほど、確かに「エンゲージメントプラットフォーム」は正しく伝わりやすそうですね。具体的で分かりやすいです。オートメーションという言葉が一人歩きして「自動化できるから素晴らしい」が、印象として強い感がありますから。

小関
MAに対して、「単にメールを自動で送るツールだ」「イベント管理だ」「デジタル広告を出すツールでしょ」など様々なことを言われます。「CRMに毛のはえたようなもんでしょ」と言われたこともあります。どれもMAの一面を表してはいるのですが、全体を言い表せていません。“自社や自社商品について気づいてもらうところから実際にファンになってもらうまでの過程全てを支えるもの”と考えていただくのがいいと思います。

大木
これは弊社としても気をつけたいところです。何よりも目的は顧客との関係を深め、LTVを向上させることに他なりません。MAツールは様々な企業が提供されていますが、マルケトのMAツールを使う企業の規模や特徴に傾向はあるのでしょうか。

小関
様々な規模、業種にまたがって使っていただいていますし、BtoBとBtoCの両方で、成長著しい企業もいらっしゃいます。皆さんに共通して言えるのは、新しいことにチャレンジしようとしていて、お客様と単発ではなく中長期的なエンゲージメント型の関係を築こうとされている、ということですね。

大木
MAツールは高価な投資でもあることから、ある程度客単価が高いビジネスである必要あり、加えて業種の相性があるのでは? という声もたまに聞こえてきます。

小関
それはないですが、単価が低い場合はある程度量が必要になることは事実ですね。コストとの見合いでご判断いただく必要があります。
最近の商談では、“MAは2周目に入っているのかな”という印象があります。お声掛けいただくお客様は、MAの導入が初めてという場合もありますが、他のツールを使っていて乗り換えたい、というケースが多いです。それも、これまでのMAツールが使いこなせなかったといった後ろ向きな理由ではなく、もっといろいろなことをやるために入れ替えたい、というポジティブな理由がほとんどです。

小関
お客様の要望として多いのは、「今まではメールを一括配信していたが、もっとOne to Oneマーケティングがやりたい」というものです。また、「名刺が貯まっている」「イベントで大量のリードを獲得したが使っていない」といった、社内の資産をもっと活用したいという要望も多いですね。

大木
「もっとOne to Oneがやりたい」というのは、よく分かりますね。
データで顧客を理解したうえでのOne to Oneは、マスマーケティングに引けをとらないくらいの注目度があると感じています。一方で、「One to One は労多くして、売上へのポテンシャルはあるのか?」など懐疑的なご意見もあると認識しています。もちろん個人的にはポテンシャルがあると考えており、仮に施策単位では価値が見出しづらかったとしても、「ライトタイミング」「ライトメッセージ」「ライトオファー」を適切に持続性をもって推進することが、一定の期間を経てLTV(顧客生涯価値)効果向上という成果を見出せるはずと考えています。

 デジタルに閉じすぎず、来店中や移動中、お手紙などといった、オフラインの特性を活かしたシナリオ設計も大切なポイントと感じています。MAはオンラインというイメージがあるかもしれませんが、オフラインにも使えないと片手落ちになる。小関さんがおっしゃるように、エンゲージメントプラットフォームであるならば、オンライン・オフラインの両方を組み合わせて施策を推進するニュアンスも含まれるので、理解しやすいです。
ここでお二人にもう一歩踏み込んでご質問です。MAを導入するに当たって失敗しないためのポイントは何でしょうか。

小関
MA自体はあまり難しいことではないと思うんです。システムの実装も操作も容易です。でも、マーケティング自体は非常に難しい。どんなマーケティングをしたいか、どのチャネルを使うか、といったことは本当に難しい問題ですが、それさえしっかり決まればMAがうまく使えないということはないはずです。

大木
ツールの選択以前に、マーケティングの意思や戦略が問われているということですね。

阿部
私はMA活用の成功のポイントは3つあると思っています。一つ目は、ツールを使う目的や目標が明確であること。二つ目は、成果を最大化させるための体制やチーム、プロセス、効果測定計画が確立されていること。三つ目は、「クイックウィン」で素早く成果を創出すること。MAを導入するだけでは成果を出すことができません。『成功する企業』では、ビジネスインパクトが大きいところや自社の主力商品や戦略的な注力商材にスタートの対象を絞り、小さな施策を積み重ねてじわじわと成果を上げているというケースが多いです。小さくても早く利益を生み出す「クイックウィン」の状態を作ることがMA活用においては大切だと思います。

大木
まずはスモールサクセスの積み上げということですね。すぐ成果が出そうな施策から取りかかり、社内に成果を明示していくことが大事なのでしょうか。

小関
そう思います。MAを活用するうえで経営層の注目や営業部門の協力は必須なので、それを得るためにも成果が必要です。
経営層の場合、特にマーケと営業の両方に力を及ぼせる人の関与が重要です。マーケに関しては、全てのチャネル横断で指示を出せることも重要になります。

大木
少し話は変わりますが、MAツールを扱う方は、どういった資質があると良いのでしょうか。

小関
よくマーケティングについて話していると「数字に強い人はコンテンツを作れないし、コンテンツを作れる人は数字に弱い」という話になります。それくらい、マーケティングに関連すること全てを一人でこなすのは難しいんです。なので、チームで取り組むことが重要だと思います。
これまであった成功例として何件かあったのは、マーケティング経験のない入社2〜3年目の方が、お客様に強い興味があるために高いモチベーションでMAに取り組まれて成果を出しているケースです。そういう事例を見ていると、モチベーションはとても大切だなと感じます。

阿部
大手企業でも、営業を担当されていた方がマーケティング部門に移り、営業ノウハウを生かしたコンテンツ作りやMAツールの活用をすることで成果を挙げた、というケースがありました。お客様に対する興味や思いというのは大事ですね。

大木
あまりMAツールに詳しくない方などの場合、導入に成功している企業の方に話を聞きたいということもあるかと思います。マルケトにはユーザー会など横の繋がりがあるとお聞きしましたが。

小関
そこは当社が非常に強いところだと自負しています。我々のツールのユーザー会は横の繋がりが非常に強いです。

阿部
我々Marketo Japanのユーザーコミュニティには現在1300人以上の方が登録されています。その中で、業種別や共通課題を持ったユーザーが集まる分科会(ワーキンググループ)があるのですが、全てユーザーの皆様が中心となり運営を行なっています。その中で、Marketo活用事例の共有や勉強会などを通じて ユーザー同士でのネットワーキング、スキルアップを図っています。

小関
最早テクノロジーは大きな差別化要因ではない、ということなのかなと理解しています。どんなテクノロジーを使うかではなく、テクノロジーを使ってどんなメッセージを送るか、が大事だとお考えなんだと思います。

阿部
例えば、人材業界の分科会では、業界全体で各社からメールが送られている現状を改善するために、競合企業同士も集う中で、各社のMA利用の「勝ちパターン」を共有し、人材業界におけるベストプラクティスを作っていこうと非常にオープンで活発な議論がされています。このような新しい考え方が生まれて来ている訳ですから、MAを使った新しいマーケティング施策も今後どんどん登場すると思っています。

大木
なるほど、ユーザー同士の自主的な情報交換、活用課題の解決を目指す動きは大変興味深いですね。これから導入をお考えの企業にとっても有用な気がしますね。

MA提供ベンダーは多彩に存在し、当社も様々なお付き合いがありますが、本日はマルケトさんとお会いできました。とても有益なご意見をお聞かせいただけたと感じています。我々もMA活用そのものを支援できる体制や経験をより強固にしたいと感じました。今日はありがとうございました。

プロフィール

小関 貴志
株式会社マルケト
バイスプレジデント マーケティング本部長

1994年中央大学経済学部卒業、NEC入社。システム営業に従事。その後デル、セールスフォース・ドットコムでインサイドセールス、セールス、オンラインマーケティング、営業教育部門のマネジメントを歴任。
2014年6月、マルケト日本法人の立ち上げ時より参画し、2016年11月より現職。

阿部 健人
株式会社マルケト
カスタマーサクセス本部 カスタマーサクセスマネージャー

新卒で国内マーケティングソリューションベンダーに入社後、コンサルタントとして主に製造業や通信業のB2B企業の導入プロジェクトを担当。その後、既存顧客向け支援部門の立ち上げと製品の活用支援に従事。
2017年10月にカスタマーサクセスマネージャーとして株式会社マルケトに入社。

大木 真吾(おおき しんご)
博報堂プロダクツ データビジネスデザイン事業本部 エグゼクティブデータマーケティングディレイクター

データに立脚した顧客理解を。 目指すは、良質な顧客体験の創出。
2005年博報堂プロダクツ入社。 データ分析に立脚した戦略設計、施策プランニングから実施・効果検証までワンストップで対応するマーケティングプランナーとして、様々な業界のデータドリブンなPDCAを支援。

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