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データドリブンマーケティングの実践には、データ、システム、ユーザー体験等をどのように設計するかが重要です。しかしどんなに理想的な設計であっても、それらを支える通信インフラ上で技術的に実現できなければ意味がありません。こうした中、Mobile World Congressをはじめとして、様々な企業が来るべき5G時代への対応を発表しています。
そこで、博報堂DYグループの中でテクノロジーをリードするDACの永松が複数の事例を交えながら解説します。

■前編はこちら

5Gで変わる領域

前回は、5Gで新たなサービスの展開が期待される領域として「エンターテインメント、放送」について触れました。今回はその他の領域についても見ていきます。

●スポーツ

SK テレコム「5Gスタジアム」
SK テレコムは、韓国プロ野球リーグのSKワイバーンズのスタジアムで開催される開幕試合にて、5G技術を活用したAR/VRのライブ配信等のサービスを発表しています。観客はスマートフォンやディスプレイボードを介して様々な角度から映像を視聴することができたり、専用アプリを通じて選手の情報をARで楽しむことができるものとなっています。

スマホアプリ「PLAY With」をかざすと、打者と投手のデータや天気をARで確認できる

試合の様子をスタジアムに設置された8つのカメラからVR視聴できる

出典:SK Telecom プレスリリース( 2017年3月27日)
画像:YouTube SK Telecom 5G 스타디움 기자회견 영상 より

●スマートシティ

Verizon「Smart City Project」
Verizonは、ボストンにおけるスマートシティプロジェクトにて、マサチューセッツ工科大学付近の交差点に道路センサー(40個以上)、カメラ、コネクテッドライトを設置しています。このプロジェクトでは、道路センサーで収集した膨大なデータを用いて、道路、歩道、標識の設計の改善や交通法の見直し、公共教育の改善等への活用が期待されています。

◆道路センサーで収集するデータ:
自動車、自転車の信号に応じた動き
交差点に長居している自動車の把握
歩行者の信号に応じた動き
歩行者を優先させる自動車、自転車の把握
自転車レーンの利用、レーンを外れてしまった時の状況

出典: UMass Transportation Center「Moving Together Conference MASS DOT」より

●小売

Intel「Responsive Retail Platform:小売業者向けソリューション」
Intelでは、実店舗向けのソリューションを提供しています。IoTデバイスとの接続に5Gを活用することで、RFIDタグによる商品の動きを追跡し、需要の変化への対応、在庫管理ミスによる損失の削減、補充アラートの送信、商品に触れてから購入に至るまでを把握ができるものとなっています。また買い物客に対してはVRによる新しい没入型の購買経験も提供可能としています。

 

店舗内の運用システムや設備の最適化

出典:Intel「Intel Unveils New Intel Responsive Retail Platform and Plans for $100 Million Investment at NRF 2017」2017年1月16日

5G領域への進出動向

インフラ、デバイス、サービスの各領域において以下に関するプレイヤーが、業界横断で連携することにより、様々なユースケースの実証実験を行っています。今後2020年に向けてサービスの商用化開始やスマートフォン等の5G対応デバイスの登場によって、これまで触れてきたサービスも本格的に展開されていくことが考えられます。

各プレイヤーの動向

●キャリア(オペレーター)
・5G早期実現のために仕様を策定
・通信機器メーカー、各デバイスメーカーと実証実験を推進

●通信機器(イネーブラー)
キャリアが5Gに対応するための設備を開発し、実証実験推進

●クルマ、スマホ、IoTデバイス
キャリアや通信機器メーカ-と共に5Gの活用方法を模索中。業界団体(5GAA等)を設立

●半導体、チップ
5Gに対応したチップ、モデム等を開発

●ネットサービス
自社サービスを強化するために高速通信インフラを整備中

5Gの普及による企業のマーケティングの変化

5Gへの対応が本格化することによって、主に以下の3つのポイントでマーケティングが変化すると考えられます。

1.収集可能なデータの増加

IoTが本格稼働し多数の端末との同時接続が可能となることで、これまで以上の大量のデータが入手・活用できるようになることが見込まれます。これまではユーザーの1日のなかから、一部の行動データを収集できるだけでしたが、様々なタッチポイントのデータを元に趣味嗜好の推定精度の向上や、興味関心を持ったタイミングの把握ができるようになると思われます。

2.ユーザー体験の向上

インターネット接続の高速化や大容量コンテンツが配信可能になることで、4K・8KやVR/ARといったコンテンツを一般ユーザーに配信できるようになります。これによりユーザー体験が向上し、新たなスポーツ観戦スタイルやインタラクティブなコンテンツの視聴スタイルも登場していくと思われます。

3.コラボレーションやコミュニケーション方法の進化

低遅延化(ネットワークの遅延が少なくなること)によって通信がリアルタイム化することで、人と人とのコミュニケーションや企業活動(人間同士やAI、ロボットとの協働)が効率化することも見込まれます。すでに医療分野の遠隔操作等において高い有効性が注目されていますが、制作や商品開発等含めて幅広い領域での創造活動も進化していくと思われます。

以上のように、メディア環境も生活者体験も5Gの導入・普及によって大きく変わりそうです。DACとしてはこのような技術動向にいち早く対応し、新たな市場創造につながるサービスを提供していきます。記事について関心を持たれましたら、ぜひ下の問い合わせリンクからご連絡ください。

プロフィール

永松範之
D.A.コンソーシアムホールディングス株式会社 
テクノロジー&データ戦略センター 
広告技術研究室長

2004年DAC入社、ネット広告の効果指標調査・開発、オーディエンスターゲティングや動画広告等の広告事業開発を行う。2008年より広告技術研究室長として、電子マネーを活用した広告事業開発、ソーシャルメディアやスマートデバイス等における最新テクノロジーを活用した研究開発を推進。現在はAIやIoT、AR/VR等のテクノロジーを活用したデジタルビジネスの開発に取り組む。またアドテクノロジーの理解と発展促進のためセミナーへの登壇、専門学校の特別講師等を努める。共著に「ネット広告ハンドブック」(日本能率協会マネジメントセンター刊)、「生き残るための広告技術」(翔泳社刊)等。

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