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飲料メーカーと一般消費財メーカーの
マーケティングダッシュボード活用事例

デジタルトランスフォーメーション時代における、マーケティングダッシュボードの活用事例を語る対談企画。今回は、博報堂DYグループが提供する各種データを統合・可視化するマーケティングダッシュボードVision-Graphics(ビジョン・グラフィックス)の導入から運用まで担当した飲料メーカーと一般消費財メーカーの現場担当者に話を聞きました。

—では最初に各自自己紹介と、クライアントでVision-Graphicsのどのように活用されているのかを教えてください。

北畑
第一プラニング局の北畑です。私は2006年から担当している一般消費財メーカーA社で、 2013年にいち早くVision-Graphicsを導入いただきました。導入当時にはマーケティング上の課題発見に活用し、コミュニケーション戦略を転換させた際にもVision-Graphicsを引き続きご利用いただきました。導入当初は事業部に提供し、その後は宣伝部に提供しています。宣伝部では、A社の全ブランドのコンディションを知るということと、それに呼応して広告コミュニケーションのコンディションを把握することを目的に活用しています。

日々の販売データが手元にある事業部と共に、宣伝部でもマーケティング効果に関する指標を統合的に見られるようにしているため、マーケティング業務における事業部・宣伝部双方のコミットメントを高めることに効果を発揮しています。また、特定のブランドや商品にとどまらず、それらを横断してマーケティングコンディションを把握し、アクションにつなげることにも活用しています。

—Vision-Graphicsに対して、宣伝部からどのような評価をいただいていますか。

北畑
先ほどお話した各ブランドのコンディションを宣伝部でも一元的に把握できているということと、もう一つは広告の鮮度を把握できるようにしている点で評価いただいています。
広告素材はある程度の期間が経つと、効果が薄れてくることが一般的です。この状況を分析モデルによって数値で把握していますので、例えば素材によってはある程度経過しても「まだ鮮度が落ちておらず、マーケティング効果が出ているのでまだ新作を作る必要はない」などの判断をすることができます。その結果、新しい広告素材の制作費として準備していた予算を他の施策にあてることができるようになりました。
広告の鮮度計測は、博報堂オリジナルのBest HITデータを活用しています。

—ありがとうございます。では次に飲料メーカーの事例も教えていただけますか。

網野
博報堂マーケティングシステムコンサルティング局の網野です。今回ご紹介する飲料メーカーB社ではコミュニケーション戦略やメディア戦略の立案など、マーケティングコミュニケーションの領域を担当してきていました。
その後、自動販売機で使えるアプリを立ち上げるプロジェクトを担当し、 ポイントシステムを活用した「自動販売機CRM」を進めています。アプリから取得したデータを可視化するためにVision-Graphicsを使っています。

馬場
博報堂データドリブンマーケティング局の馬場と申します。網野さんの下で同じ飲料メーカーの担当をしています。僕が入社した時点ではすでにVision-Graphicsが導入されていたので、運用をメインに担当しています。
アプリのダウンロード数や利用のログデータと、どの自動販売機でいつ誰にどの商品が買われたのかという大きく2種類のデータがVision-Graphicsに載っており、どちらも可視化されています。この両方のデータからレポートをエクスポートし、ダウンロードを伸ばすための施策や、飲料全体のマーケティング施策の提案に活用しています。

—データ連携はリアルタイムですか?

網野
いえ、リアルタイムではありません。アプリのサーバーにはリアルタイムで溜まっていますが、Vision-Graphicsのサーバーには週に一回入ってきます。基本的に週次でレポートを行っているのでリアルタイム性はあまり必要ありません。
一方で、「新商品が発売された際の売上初速を見て生産量を調整したいのでデイリーでみたい」などのように、リアルタイム性を求められることもあると思います。ダッシュボードを作る時には、どの部署が、どのような目的で、どのように使うかによって、データ取得頻度も含めて最適に設計することが重要だと感じています。

北畑
僕が担当しているA社の宣伝部では、主にマス媒体を中心にしたキャンペーンのレビューに活用しています。現状ではリアルタイム性は必要ないので、月単位で更新しています。

ダッシュボード導入・運用を成功させる秘訣とは?

—ダッシュボードの導入、運用を成功させる秘訣を教えてください。

北畑
もともとは、A社の宣伝部がもっとマーケティングデータを活用しなければいけないと検討していたタイミングで、博報堂を含むさまざまな広告会社や調査会社などに相談をしていたようです。その際僕らは「新しく追加のお金を用意する必要はありません。宣伝部がすでに行っている調査やデータ購入をリストラしませんか?」と提案しました。
これまで多額のマーケティング予算を使って実施していた既存の調査業務やデータ購入を棚卸ししてみると、データの粒度が荒かったり、各調査データの関係性が不明確であったりして、十分には活用されていないことが判明しました。我々はこれまで行ってきた調査の中で活用できていなかったものを止め、その分の「浮いた予算」を新たなデータ整備とVision-Graphics導入・運用にあてることを提案しました。
データドリブンマーケティングにおいてコストは大きなハードルになってくるので、 この提案から入ったおかげで導入は非常にスムーズでした。

—その時に評価いただいたのは、他の類似商品と比べると、年間トータルで見た時にVision-Graphics上にデータを格納し続ける方がコストメリットがあるという点でしたよね。コストが下がる上に利活用が進むと。

北畑
そうですね。
一方で苦労した点としては、これまでBest HITにはなかった新しい指標を作り、クライアントが知りたいことを可視化するチャレンジをしたことです。
このクライアントのご担当者はVision-Graphicsをかなり活用されていらっしゃる方がいて、リクエストの要求レベルが非常に高度でした

—なぜここまでVision-Graphicsに魅力を感じて頂けたのでしょうか?

北畑
きっかけとしてはご担当者のバックグラウンドによる部分もあったと思います。ご担当者は、もともとデータを日常的に利活用されている事業部門から宣伝部に異動されてきました。感覚・感性で議論が進み、判断されがちな広告業務を、データによる明確な判断軸をもって推進されたかったのだと思います。そんな時にVision-Graphicsを活用して、なぜこの広告がいいのか悪いのか、数字で判断することが可能になりました。自分自身が広告業務の責任者として、データによって仕事をリードしたいという期待に応えられたことが、Vision-Graphicsの採用や活用継続につながっているのだと思います。

—次に、伊藤さんが担当した一般消費財メーカーB社で成功の秘訣や苦労した点はありましたか。

伊藤
私はマーケティングテクノロジーセンターで、主にデジタルマーケティングに関連するシステムの開発、導入や運用の支援をしています。
ダッシュボードの導入がうまくいくケースでは、導入自体が目的ではなく、どんな分析をして、その結果を実際の施策検討にどのように活用していくのか、ということが事前にきちんと設計されています。ダッシュボードの画面を作ることや、どのデータを搭載するべきかだけに終始して、どう分析して何を良くしたいかというのが設計されていない場合はうまくいかないケースが多いです。
網野さんのケースのように、最初にクライアントのビジネスや市場環境のことを理解しているマーケターが目的を整理し、導入されたケースでは、その後もダッシュボードが継続的に利用され続けて、実際に業務に生かされています。

—そうですよね。目的や用途が十分に検討されておらず、業務の何に使うのか誰も理解しないままでは、あまり満足いく結果にならないことが多いということですね。網野さん、いかがですか。

網野
アプリを立ち上げる時には、アプリ対応自販機の増加ペースに応じて、どのくらいダウンロード数が伸びていくのか、マンスリーのアクティブユーザーの割合はどれくらいか、そのうち何%が買うのか、このアプリを使うことによって何%ぐらい購買がリフトアップのか、というシミュレーションをしました。

シミュレーションをするということは裏を返すと、それは KPI 設定となるので、 KPI が設定されればKPI を可視化することが必要ですし、 KPI に対して打ち手を考えるための分析をするデータが必要です。その流れでダッシュボードの必要要件を検討しました。このやり方は、得意先ビジネス、飲料購入者の実態、取りうる施策について理解している我々の価値が出せると思っています。

伊藤
必要要件の整理がされていることはとても重要です。それができるマーケターが入ることによって、何を分析するのかということがクリアになります。このような分析の設計ができる導入チーム体制があることも、博報堂DYグループが提供するVision-Graphicsの付加価値の一つです。

馬場
扱えるデータが、扱いやすい形でダッシュボードとして可視化されることは、マーケターのアクションの領域を広げる機会にもなり得ます。精緻なデータが得られることで、クライアント側でも想定していなかったであろうマーケティング施策が生まれることにも繋がります。

網野
例えば、将来的に自販機がIoT化され、リアルタイムの販売データがわかり、それをもとに在庫データを可視化できると、自販機に商品を補充する担当者の業務を効率化という打ち手に繋げるなどの拡がりもあると思います。

VGを業務に活用しはじめて、何が変わったか? 

—では最後に、Vision-Graphicsの導入によるマーケティング活動の変化について教えていただけますでしょうか。

北畑
一般消費財メーカーA社に関しては、 Vision-Graphicsを導入したことにより、広告の鮮度や良し悪しの指標が生まれたので、この広告は良い悪いと言う判断ができるようになりました。先ほどもお話しましたが、例えば「新しい広告はまだ作らなくていい」という判断もできるようになったことです。

A社では毎年新しい CM を作るのが定常化していて、「広告を作らない」という判断をするのは難しいことでもありました。現在それがデータに基づく健全な判断ができるようになった結果、浮いたお金でこれまで狙ってこなかったターゲットに向けて新しい施策を立ち上げるということもできるようになってきています。そして、その新しい施策が、大きな成果を上げています。

ひとつ言っておきたいのは、このインタビューで登場するクライアント様は、皆、「真摯なマーケティング」を志向している、ということです。今回登場する「データ」の多くは「生活者の意識や行動に関するデータ」です。そうしたデータをVision-Graphicsに搭載して戦略を判断する背景には、「生活者第一」というマーケティングの基本思想があって、それぞれのクライアント様がそうした基本思想を持っているわけです。
逆に言えば、「生活者第一」というマーケティングの基本思想を持たないクライアント様は、Vision-Graphicsにあまり興味を持たれませんでした。「競合の動向だけ見ていればいい」「競合とのシェア関係だけ見ていればいい」というようなクライアント様も意外と多い。ですので、Vision-Graphicsが向いている企業と向いていない企業がある、ということはハッキリ伝えておきたいです。

網野
飲料メーカーB社の場合はもしVision-Graphicsがなかったら、アプリの情報や購買情報を見るだけでも一苦労をしていたと思います。現状把握するという目的だけで考えても、かなりの業務効率化が行われています。
さらに生ログデータのままだと集計するのが大変ですが、 Vision-Graphicsに分析しやすい形でテーブル設計して格納しているので、分析しやすい状況になっています。マーケティングデータが1つのプラットフォーム上で一元的に管理されているため、B社と博報堂のワンチームで、より効果的に戦略/施策検討をしやすくなっています。

—お二人が担当されているクライアントに関しては、最初の設計がうまくいっている好例ですね。本日はありがとうございました。

 

プロフィール

伊藤 佑介(いとう・ゆうすけ)
博報堂DYホールディングス
マーケティング・テクノロジー・センター 上席研究員

システム開発会社で金融、法人、公共など幅広い分野でシステムエンジニア、営業を経験した後、2008年より株式会社博報堂の営業として金融、化粧品、IT、メディアなどのクライアントのデジタルマーケティングを担当。
2013年からは、株式会社博報堂DYホールディングスに出向しマーケティング・テクノロジー・センターにて、デジタルマーケティング領域のシステムの開発、導入、運用に従事。

北畑 亮(きたはた りょう)
博報堂 第一プラニング局
ストラテジックプラニング三部 部長
(データドリブンマーケティング局 第二グループ複属)

2002年博報堂入社。以来、マーケティング職として、食品、飲料、酒類、トイレタリー、自動車、家電、通信、地方自治体などの業種を担当。特に、一般消費財におけるマーケティング戦略、ブランド・商品・サービス開発戦略、コミュニケーション戦略の立案業務を得意とする。2014年以降、「データ」を起点とした課題解決に注力。得意先の課題解決に繋がるオーダーメード型のデータドリブン・ソリューション提案を通じて、「マーケティングマネジメント領域」「マーケティングコミュニケーション領域」それぞれにコミットする。

網野 雄太(あみの・ゆうた)
博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局
ストラテジックプランニング職

2011年博報堂入社。ストラテジックプランニング職として、飲料/雑貨/酒類/製薬企業のコミュニケーション戦略立案を担当。2014年より現部門にて、各種クライアントのデジタルメディア活用/モバイルアプリ開発などのデジタルマーケティングや、BI活用含めた業務システム開発を支援。

馬場 郁実(ばば・いくみ)
博報堂 データドリブンマーケティング局
ストラテジックプランニング職

2016年博報堂入社。入社以来現職にてデータを活用したクライアントのマーケティング課題解決に従事。
データを起点に”生活者を動かす”戦略を立案すべく、日々の業務に取り組む。
タコメーターの見た目と語感が好きで、いつかマーケティングダッシュボードにも導入してみたいと企む。

Vision-Graphics

広告宣伝、Web行動、店舗・販促、CRM、売上データ等のマーケティング活動に関わるデータを統合・可視化するマーケティング・ダッシュボード

Vision-Graphics

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