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自動車メーカーと住宅メーカーの
マーケティングダッシュボード活用事例

デジタルトランスフォーメーション時代における、マーケティングダッシュボードの活用事例を語る対談企画。
前回に続き今回は、博報堂DYグループが提供する各種データを統合・可視化するマーケティングダッシュボードVision-Graphics(ビジョン・グラフィックス)の導入から運用まで担当した自動車メーカーと住宅メーカーの現場担当者に話を聞きました。

—今日は耐久消費財のクライアントにVision-Graphicsを活用していただいているメンバーに集まってもらいました。各自自己紹介と、企業でVision-Graphicsのどのように活用されているのかを教えてください。

天廣
自動車メーカーA社を担当している営業の天廣です。
得意先ではVision-Graphicsを課題発見のためのツールとして活用しています。店舗への来店客数や販売台数データだけではなく、生活者の意識データや、広報活動の露出量やテレビ出稿量データなどの各種のデータをVision-Graphics上で一元的に管理しています。それらのデータをもとに、認知から購買までのマーケティングプロセスのなかでどこにボトルネックがあるのか可視化しています。
特に経営への影響が大きい車種を担当しているチームにご利用いただいていますが、今後さらに全社にもっと活用してもらうためにも、アウトプットとしてどういう見せ方にするか、もっと短期に PDCA を回すためにはどうしたらよいか、足りていないデータをどう追加するかなどの検討を行っています。
また、Vision-Graphicsで蓄積したデータをもとに、マーケティング投資の最適配分を導き出すマーケティングミックスモデリング「m-Quad」も活用して、マーケティング投資のROI の可視化もしています。

—ありがとうございます。次にエリアマーケティングの側面を持っている住宅メーカーの事例について、井手さんからお話いただけますか。

井手
第二プラニング局の井手です。今回お話する住宅メーカーB社で事業戦略をサポートさせていただいています。 B社ではマスメディアを活用したコミュニケーションとは別に、「リアルな顧客接点を使って新しい勝ち方を作りたい」ニーズがあり、多くの見込み顧客の方と接触することができる拠点を作ろうということになりました。
しかし、国内でどこに作るのがベストなのかで悩みました。どのくらいの年代の方が周辺に住んでいて、どれくらいの世帯所得があって、鉄道路線による商圏の広がりはどのくらい見込めそうなのかということを、データをもとに議論しなければ、意思決定が難しいという状況がありました。
データ自体はある程度集められていましたが、全てのデータがExcel上で数字の羅列になっている状態でしたので限界を感じました。関係者も多く、それぞれが数字の列を眺めていても結論が出ないという状況でした。
また、検討地点の周辺の世帯数データなど、追加で調達する必要があったデータを個別に購入すると、かなりコストがかかってしまうことも問題になっていました。

こうした状況の中で意思決定のスピードを上げることを目的にVision-Graphicsの導入が決まりました。導入後は検討がスムーズに進むようになり、出店計画やエリアマーケティングに活用しています。

—使用したデータについて、もう少しお聞きできますか

井手
まず、国勢調査をもとに作成した基本統計データ。そこに将来人口の予測を重ねた未来統計。また、住宅に関するマーケティングニーズをより詳細に把握するために、家屋に関する統計データを追加で搭載しました。戸建て住宅の築年数などがレイヤー化されているデータがあり、そのデータを500m四方で網目状に刻ん表現します。そのメッシュをもとに各エリアの中には築20年以上経っている物件が約何軒ある、などの情報を見ることができます。
例えばA地点に施設を作ったとして、その20 km 圏内に築20年以上経過している物件が何軒あるのか、という推計データが出てきます。またダッシュボードに搭載するデータをマッシュアップしておくことで、その該当世帯の平均年収なども同時に可視化することが可能です。そうして見ていくと、2つの建設予定地の候補があった場合に、どちらの方の事業ポテンシャルが高いエリアのかという判断の一つになります。
この他にも、携帯電話利用者の移動情報をもとにした位置情報データも使っています。これは契約者の個人情報を除外した形で、どのあたりに住んでいる人が、どのくらいの数で、どのように移動しているのか把握することができるデータです。休日と平日や時間帯別等で、男女の比率、年代の差などがわかる非常にユニークなデータです。

ダッシュボードの導入・運用を
成功させる秘訣とは? 

天廣
私が担当している自動車メーカーA社での導入は早かったのですが、さらに活用されて成果につなげていく必要性を感じています。搭載されているデータや、操作についての理解をより高める必要があると思っています。販売が好調な際は問題にはなりにくいのですが、勢いが低下してきた際にデータをもとにきちんと手が打てるように準備しておく必要があると思っています。またその際には、機動的に見ていくデータを変えていくなどして、ボトルネックの把握ができるようにしておかなくてはなりません。

さらに、リアルタイム性をいかに高めていくかは永遠の課題です。クライアントの自社データや、メディアデータ等の第三者データなど様々なデータを活用していますが、それぞれの更新状況に違いがある点などは悩ましいところです。一部のデータでは2ヶ月後の連携になるので、「中長期の PDCA には使えるかもしれないけれど短期での活用は難しい」というフィードバックを頂いています。過去がどうだったか分析するだけではなく、「今」や「これから」のことに更に活用の幅を拡げていきたいと考えています。
今はちょうど過渡期という認識です。課題やビジネス環境も変わるので、それに応じてダッシュボードもあるべき姿が変わる必要があります。

—続いて井手さんにお伺いしますが、スピーディにこの一連のことを進められた秘訣を教えてください。

井手
全ての課題を最初から想定するのはかなり難しく、時間もかかります。また、ひとつ可視化してみると次の課題がふたつ出てきたりします。その課題が出てきた時に、使えるデータはどこにあるのか、 それは可視化できるのか、 可視化できない場合どう加工すればできるようになるのかなど、アジャイルに対応できる専門部隊が社内にいたのがこのスピードには重要なことだったと思っています。
何を分析したいのかがある程度明確なところからスタートしたのですが、完璧なシステムを最初から入れようとすると、いろんな側面からスタックしてしまいます。Vision-Graphicsはミニマム3ヶ月の契約期間で、しかもデータもサブスクリプション型で利用可能なので、3ヶ月でいいからVision-Graphicsを使ってみましょうというフレキシビリティがあるのは大きかったです。

—いきなり壮大なダッシュボードを構築しようとせず、スモールスタートで少しずつデータを載せて拡充していく。永遠のベータ版の思考でやっていた方が結果的に根付くということかもしれませんね。

ダッシュボードを業務に活用しはじめて、
何が変わったか? 

天廣
数字をもとにファネル上での課題が可視化できたことで、マーケティングサイドの打ち手をこれまでのように経験値や勘に頼ることなく議論できるようになったのはひとつ大きな成果です。
ダッシュボードによってデータの可視化が自動化されたことで、これまでの業務の一部が軽減化されました。さらにより戦略を考えることにリソースを割くために、今後どのようなシステムを入れていくのがいいか、今ちょうど未来に向けて考えているところです。必ずしもそれがVision-Graphicsである必要はないかもしれません。

井手
私たちの場合ではVision-Graphicsを使わずに Excel でやっていたとしたら、結論が出せたかわからないですね。複雑なデータだからこそ、そこをブラックボックスにせずに、分析プロセスまで共有することが大切です。お互いVision-Graphicsを見ながら、課題はどこなのかダッシュボード内を探索しながら対話し、クライアントが納得し判断する流れは、マーケティング会社とクライアントの双方が使い慣れてくればくるほど、サイクルが短くなっていきます。お互いの共通言語を持てるのは非常に大きいです。

これができることで「こういうデータが見られるのであれば、追加でこういうデータを組み合わせて、次のビジネスのフィジビリティも検証できるといいよね」と、 事業がうまく進めるためのデータを可視化していこうという流れになったり、その可視化したものをどのように解釈したらいいかという相談関係になったりなどしています。建設的な関係を作っていくひとつのツールになっています。

これまでのように Excel 集計から始めるのではなく、見たいデータを直観的に見てすぐ判断し、次に進んで行く流れができているのは、価値や可能性の精度を高め、マーケティングのスピードを加速させるうえで大きな武器になると思っています。
これまでの広告会社とクライアントという関係ではなく、事業を成功させるために一緒にどんなデータを見ていくかという仲間として繋がっていけたと思っています。

—ありがとうございます

プロフィール

天廣 淳一(てんひろ・じゅんいち)
博報堂
アカウントプロデュース職

2008年博報堂入社。アカウントプロデュース職として通信、飲料を経験した後に、2015年より自動車メーカーを担当。
マーケティング戦略立案を始め、コミュニケーションプラン策定や各種制作などを歴任し、現在はデータマーケティングに従事。
クライアントのブランドおよびビジネスへの貢献のために、データを活用しながら、従来のコミュニケーションとデジタルを融合させたプランニングに日々励む。

井手 宏臣(いで・ひろおみ)
博報堂 第二プラニング局
部長/マーケティングディレクター

2003年博報堂入社。営業としてITシステム業界を中心にシステム用途開発や営業活動をサポート。2009年より現部門にてIT×マーケティングの知見を活かした営業接点起点の新価値創造・差別化戦略の立案を専門に。住宅・自動車・流通・運輸・日用品など様々な業界でのマーケティング活動を支援。早稲田大学大学院商学研究科修了(MBA)。

Vision-Graphics

広告宣伝、Web行動、店舗・販促、CRM、売上データ等のマーケティング活動に関わるデータを統合・可視化するマーケティング・ダッシュボード

Vision-Graphics

m-Quad

構造モデリングなどを用いて現場マーケッターの意思決定を支援する 新しい形のMMM(Marketing Mix Modeling)サービス

m-Quad

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