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【第2回】エンゲージメント・コミュニケーションを実現する『BRAND SHARE』

ソーシャルメディア時代とは何か、この時代の情報環境に置いて有効なコミュニケーション戦略とは何か、全4回にわたって、博報堂DYグループのデジタル・コミュニケーション・カンパニー、株式会社スパイスボックスの担当者が紐解いていく連載をお届します。
第2回目は、株式会社 スパイスボックス 第1事業部門シニアマネージャー 豊島 賢太郎が、エンゲージメント・コミュニケーションを実現する、具体的なソリューション『BRAND SHARE(ブランドシェア)』について語ります。

前回は物延から、広告の移り変わりやソーシャルメディア時代のコミュニケーションについてお話させていただきました。私のパートでは、具体的な業務への落とし方についてお話いたします。弊社のソリューションであるBRAND SHAREは、エンゲージメント・コミュニケーションを実現するために、1.ストラテジー 2.クリエイション 3.ディストリビューション の3つの領域をカバーしています。

流れとしては、まず、我々が独自メソッドをもつ調査分析からコミュニケーション戦略を立てます。次に、その戦略に基づきコミュニケーションの具体アイディアまで落とし、実制作へ。最後に、そのアウトプットを世の中へ流通させていくところまでを実行します。

ブランドメッセージとソーシャルイシューの接着点でコンテンツを設計する

コミュニケーション設計におけるポイント

今お話したステップは、広告コミュニケーションを設計する際の基本的な流れですので、BRAND SHAREを立ち上げる前から私たちがずっとやってきたことです。なぜ今このタイミングで改めてパッケージ化したかというと、ソーシャルメディア時代である現在のコミュニケーション設計が、これまでと大きく変わっていることに起因します。これまでは、グループインタビューやさまざまな各種調査、定性・定量分析をし、その中から「生活者はこういうことを求めているよね」という戦略の立て方をしてきました。

しかし現在は、第1回でもお話ししている通り、情報爆発とコモディティ化の時代です。かつ、生活者とのタッチポイントはスマートフォン、その中でもソーシャルメディアが大きな割合を占めています。ソーシャルメディア上でどのように共感を得られるか、語られるのか、が重要になってきています。

そこで私たちは、ソーシャルメディア上で今何が語られているのか、ユーザーが能動的にアクションを起こしているのは何なのか、独自ツールを利用したソーシャルリスニングを徹底的に行うことからはじめています。 ブランドや商品、その周辺情報に対するソーシャルリスニングを徹底的にかけたあと、そのブランドが一番語られやすい文脈を導き出します。このコミュニケーション設計のスタート地点が、これまでと大きく違う部分です。
私たちが大事にしているのは、「ブランドが伝えたいメッセージや大事にしていること」と、今、「ソーシャルメディア上でエンゲージメントしやすい要素=ソーシャルイシュー」の2つの接着点でコミュニケーションを設計していくことです。

ブランド・エンゲージメント調査はBRAND SHAREの根幹

それでは、キッチン商材を扱うメーカーさんの事例をベースに、BRAND SHAREの活用例をお話します。この企業では、もともとマスのコミュニケーションをメインとしていましたが、それだけだと情報が届かなくなっている実感があり、私たちにご相談をいただいたことがはじまりです。

まず調査分析・戦略立案の部分で最初に取り組むのが、独自ツールを使ったソーシャルリスニングです。これをブランド・エンゲージメント調査と呼んでいます。ブランドにまつわる周辺キーワードを選定し、そのキーワードについてソーシャルメディア上で何が語られているのかを調査することで、その企業、ブランドが「ソーシャルメディア上でエンゲージメントしやすい要素」を抽出していきます。

キーワードの選定ですが、ブランド名やキッチンというキーワードを中心に置いて、 その周辺のキーワード群を作っていくイメージです。ブランド名などは指名系キーワードと呼んでいますが、続いて競合系、関連系とキーワードを広げていきます。関連キーワードに関しては、指名系、競合系と一緒に検索されているワードや共起語などを見ていき、更にターゲットの興味関心ごとなどからもピックアップしていきます。

例えば、キッチン周りの関連キーワードでは、換気扇や IH ヒーター、料理などが出てきます。さらに、主婦がターゲットの場合には、主婦のライフスタイルやライフイベントに関する情報も見ていきます。そうすると、妊娠や出産、(お子さんの)入学や入園などもキーワードとしてピックアップしていくことになります。このように、指名系のキーワードを軸に、ピラミッド型で裾野に向けてキーワードを広げていきます。

関連キーワードの抽出

キーワードを広げていくと、一つのブランドで、約100~150程度のキーワードになりますが、そのキーワード一つ一つを、弊社の独自ツールを使って調査していきます。例えば、食洗機というキーワードを入れると、そのキーワードが含まれた WEB 上のコンテンツが一覧でヒットし、SNSでエンゲージメントしている順番に並びます。これらの全キーワードを、弊社のストラテジックプランナーが調査し、文脈を探していきます。

この調査がBRAND SHAREの根幹ですので、徹底的にやることでエンゲージメントされる文脈を掴むことができます。これまでの企画者のひらめきやアイディアだけに頼るプロモーションではなく、 勝ち筋の見えた企画に昇華させることができることが大きな強みです。

エンゲージメント数の計算方法は、Twitterであればツイートとリツイート、Facebookであればいいね、コメント、シェアの数、および、対象コンテンツについて取り上げた記事に対するSNS上における口コミなどの総数です。Instagramの場合はAPIが提供されていないので個別で見ています。エンゲージメント数は1次リーチの数字なので、総エンゲージメントはもっとあるという仮説のもと手前の数字を見ています。

もう少し詳しくお話すると、私たちの実感値にはなるのですが、「エンゲージメントしている状態」というのは、一つの記事、コンテンツで4~5,000を越えてエンゲージメントしているケースです。ただし、そうしたコンテンツのみを収集、分析するのでは偏りや見逃しがあるので、調査段階では、1,000エンゲージメント以上の記事を見るようにしています。

「スパイスボックス」をキーワードとしてソーシャルリスニングを行った際に出てくる、Webメディアの記事タイトル例

先ほどのキッチンの事例に話を戻すと、キーワードは、料理、食事などにも広がっていきましたが、いろいろ調査する中で非常に強い文脈が見えてきました。それは、『料理がつなぐ家族の絆』です。料理を通した家族の絆のネタが、大きくエンゲージメントされていたのです。
更にその中でも、料理の失敗談が色々な形でシェアをされていることがわかりました。 Instagramではインスタ映えという言葉もあるように綺麗に作られた料理がエンゲージメントする一方、TwitterやFacebook では、料理の失敗写真が非常に多くシェアされていました。

エンゲージメントを獲得するクリエイティブ制作手法

次に、コンテンツのプランニング、クリエイションに入っていきますが、このブランドでは『料理が楽しくなるキッチン』を伝えたいという目的がありました。このブランドメッセージに寄り添うソーシャルインサイトは何だろうと考えた時に、料理の失敗談はとてもリンクしていました。
ただし、このブランドがただ料理の失敗写真を上げていくだけでは、大事なメッセージは伝わりません。そこで、家族、親子が料理の失敗をする瞬間の映像をマッシュアップして、その中で『料理が楽しくなるキッチン』というメッセージを織り交ぜていく動画コンテンツを作る方針にし、クリエイティブを制作しました。
映像を通して「料理って失敗しても、成功しても楽しいよね」というメッセージを伝えたところ、非常に高いエンゲージメントを獲得することができました。

最近ですと、クリエイティブは動画になるケースが多いのですが、 これはソーシャルメディア上で拡散されやすいコンテンツとして、動画というフォーマットが今一番強いからです。 その他にも、イベントやテレビCMの形でアウトプットすることもあります。

100媒体に掲載されるよりも、本当に影響力のある10媒体が重要

次に、上記のコンテンツをどうやって世の中に流通させていくかです。ディストリビューション設計としては、現在はソーシャルPR、 ソーシャルAD、インフルエンサーを使いながら、情報を流通させていくことが主流になっています。

実はディストリビューション設計は、最初のブランド・エンゲージメント調査の段階で、ある程度見えていました。今回取り上げた文脈の一つである失敗エピソード系で親和性の高いメディアはどこなのか、それがどこでシェアされたのか、そのコンテンツをどういうインフルエンサーがシェアしたのかまで、調査の段階から見ているのです。

評判形成をするにあたって、エンゲージメントが期待できる一次発信のメディアとしてどこが有効なのかを分析していくと、必ずしも大手メディアとは限りません。大手メディアより、小規模のメディアのほうが、パフォーマンスが高いという結果が出ることもあります。大切なのは、メディアに取り上げられることではなく、取り上げられたその記事が、どれだけの人にどのようにエンゲージメントされたか、になります。つまり、100媒体掲載されるよりも、本当に影響力のある10媒体にじっくりアプローチする方が生産性の高いコミュニケーション活動ができるということです。

今回の事例では、あるバイラルメディアでビジュアルを伴う失敗エピソード、またそれに近い文脈のコンテンツが多くエンゲージメントされていることがわかっていたので、 そのバイラルメディアに記事として取り上げてもらい、そのメディアが運営する SNS でもポストをしてもらいました。
もともと、ソーシャルメディア上で語られていたことを軸にしてプランニングをしているので、ネタをしっかり料理して流通させれば当然跳ね返ってくる、という当たり前のことをやっています。これを丁寧にやっていくことでブランドの評判形成を確実に行うというのが、BRAND SHAREです。

さらにソーシャルADも非常に効率が良い傾向にあります。 今までの Web 広告は、広告がシェアされることはありませんでした。しかし Facebook や Twitter のインフィード広告では、タイムラインで普通のポストと同じように流れてくるので、受け入れられやすいのです。
ユーザーに共感されれば、広告と表記されていてもユーザーはシェアをします。つまり広告枠に配信されるその広告がそのままシェアされるのです。 そのため、購入している広告金額よりも、高いパフォーマンスが出ることになり、効率が良くなる傾向にあります。

コミュニケーション設計の核となる“文脈”を紡ぎ出すノウハウ

弊社の独自ツールを使えば、誰でも、何がエンゲージメントしているのかを見ることができます。しかし、それを分析し文脈を紡ぎ出すことは、私たちの知見やノウハウがあってこそできるものだと考えています。
「なぜ今、この文脈がエンゲージメントしているのか」という分析は、日々様々なソーシャルイシューと向き合っている僕らだからわかることです。このメソッドが溜まってきているのは大きな強みです。

以上、これらの考え方が、スパイスボックスが提供するBRAND SHAREのフレームワークです。今回は、このフレームワークを当てはめたスポットのプロモーション事例をお話しさせていただきました。次回は、同フレームワークで継続的なコミュニケーション活動を行う、分散エンゲージメント型コミュニケーションの事例をお話させていただきます。

プロフィール

豊島 賢太郎(とよしま・けんたろう)
株式会社スパイスボックス
シニアプロデューサー

ITベンチャーでのキャリアを経て2008年にスパイスボックスへ入社。プロデューサーとして主に大手食品メーカーのデジタルマーケティングを支援。2013年以降はプロデュース部の部長として、業種・業界を問わず様々なデジタルプロモーションを統括。2016年より、ソーシャルメディアを中心に「共感」と「話題」を生む「エンゲージメント・コミュニケーション」領域に注力。現在は、シェア拡散型コンテンツマーケティング支援サービス「BRAND SHARE」の事業責任者として、企業と生活者のエンゲージメントを高めることをミッションに活動中。

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