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購買データ起点で見る生活者

前回は”結果”を表すデータの代表例として購買データにフォーカスしました。
web行動を中心としたオンライン上の行動データと、店頭での買い物を中心としたオフラインの購買データが統合されることで、ファネル分析や効果測定のような量的側面だけではなく、生活者の行動や具体像を浮かび上がらせる質的側面でも分析が可能であることを述べました。

では、具体的にどのようなことがわかるのでしょうか。
購買データを起点として、生活者の具体像を明らかにする分析の事例をいくつかご紹介します。

買い方から見える生活者像

あなたがある飲料ブランドの担当者だとします。担当ブランドのユーザーの具体像を探りたい時に、どのような分析をするでしょうか。
どのような人が飲用してくれているのか、性別や年代といったデモグラフィック属性に加え、価値観や意識等のデータが生活者をイメージするための素材として真っ先に思い浮かびます。これらのデータを用いて飲用者をいくつかの集団に分類し、生活者としての具体像を探っていくことが可能です。

この生活者像に購買データを起点とした「買い方」の視点を加えるとどうなるでしょうか。
例えば、同じ集団に分類される生活者でも、そのブランドをずっと買い続けてくれている人と、色々な商品を買い回る人では、コミュニケーションの設計が変わってこないでしょうか。
また、色々な商品を買い回る人でも、新商品が好きで新商品が出るたびに買うものを変える人と、その時に安い商品を買う価格重視の人と、その時一番魅力的なプロモーションをしている商品を買う人では訴求すべきポイントは違うと思います。

買い方起点のターゲット分類イメージ

買い方起点のターゲット分類イメージ

また、ショッパーインサイト社の西川富之氏がご紹介しているように、ID-POSデータのような大規模な購買データを活用してカテゴリーを横断した関連商品の購買を分析することで、「これまで見落としていた訴求ポイントや訴求の切り口、新しいチャンス発見を数字の裏付けをもってできるようになる」(西川氏)ことも多く、購買データの分析からアクションにつながるようなアイデアのヒントが見つかることもあります。※1

このように、生活者自体の分析に加えて購買データをもう一段深く分析したものを組み合わせることで、ターゲットをより具体的にイメージできるようになり、インサイト発掘やコミュニケーション設計につながるアイデアが多く出るのではないでしょうか。

購買データ×行動データから可視化されるカスタマージャーニー

近年、web行動を中心としたオンライン上の行動データやテレビ視聴などのメディア接触データと、店頭での買い物を中心としたオフラインの購買データが統合されてきています。
これらのデータを活用して購買までの顧客接点や行動を追うことで、「どのようなプロセスを経て購買に至ったか」を可視化したカスタマージャーニーマップを描くことができます。
ここに先ほどの買い方の視点を加えた生活者像をかけ合わせるとどうなるでしょうか。
例えば、

  • いつも迷わず同じ商品を買い続けている「同一ブランド購入ユーザー」
  • テレビCMやweb広告、口コミに影響されながら、新商品を好んで買う「新商品好きユーザー」
  • メディア接触とはあまり関係なく、その時に安い商品を購入する「価格重視ユーザー」

といった生活者像では、それぞれ異なるカスタマージャーニーが描けるのではないでしょうか。

この分析を経ると、コミュニケーションプラニングをする際に、訴求内容に加えてコミュニケーションのタイミングや顧客接点の視点を加えたくなります。

  • 「同一ブランド購入ユーザー」には、ブランドファンになってもらうために、商品購入後を視野に入れたCRM施策
  • 「新商品好きユーザー」には、テレビCM・web広告を連動した認知・興味獲得に加えて、店頭での新商品キャンペーンで最後のひと押しになる施策
  • 「価格重視ユーザー」には、スマホ配信や店頭でのクーポン施策で、価格を直接的に訴求できる施策

といったように、インサイト発掘やコミュニケーション設計がより具体的になり、今までよりもより施策をイメージしやすいプラニングができるようになるのではないでしょうか。

カスタマージャーニーのイメージ画

カスタマージャーニーのイメージ画

購買データの活用で広がるマーケティングの視点

購買データがいろいろなデータとつながることでできることも増えてきました。
DataRobot社のシバタアキラ氏と弊社の佐藤健一が発表したように、膨大なアクチュアル購買ログや意識・価値観データもDataRobotを活用して機械学習にかけることで、「マーケッターがデータを元に発想を拡張する」(弊社佐藤)ような分析も可能になっています。※2

日進月歩で「使えるデータ」も「分析方法」も「アウトプット」も変わってきています。購買データの活用次第でターゲットの生活者像がより鮮明になり、私自身もマーケティングの幅がどんどん広がっていることを日々実感しています。

今回は”結果”を表すデータの中でも購買データを起点にした分析の例をご紹介しました。
次回はマーケティングにとどまらない幅広い”結果”を表すデータの活用事例として、「市場や需要などが今後どう動いていくかといったの“未来の予測”」や「サービスのあり方そのものを変えるダイナミックな活用」などの新しい潮流に注目したいと思います。

※1「買物かごの中身と買物かごの持ち主からよりよい買われ方を考える」
/article/02720/
※2「生活者DMPとAI技術が生みだすのは、新しい生活者インサイトだ」
/article/03063/

プロフィール

諸橋 直也(もろはし・なおや)
博報堂DYホールディングス
マーケティング・テクノロジー・センター 開発3グループ 主任研究員

2009年博報堂入社。本社マネジメントスタッフを経て、2012年よりマーケティングプラナーとして、通信、自動車、日用消費財など諸分野での戦略立案、コミュニケーションプラニング、ブランディング、商品開発を担当。2015年より現職。様々なビッグデータ分析やマーケティングテクノロジーソリューションの開発に従事。

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