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近年のデジタル広告の台頭と比例するように、今デジタル広告の“透明性”に対する議論が世界的に活発化しています。既にグローバルでは多くの広告主がこの問題について深刻に捉え対応しています。その流れは日本でも現在加速しており、国内の大きなカンファレンスでもデジタル広告の透明性に関するテーマが多くを占めました。
本コラムでは現在のデジタル広告において課題となっている広告の透明性や品質の評価に関して説明し、それらに対して私たち博報堂DYグループでの対応状況を説明いたします。

デジタル広告の“透明性”とは何か

デジタル広告の“透明性”とは具体的にどういった事象を指し示しているのか。現在のところ以下の3つに集約され話されているケースが多数です。

  1. Ad Fraud:広告に接触したのは本当に人であったのか
  2. Brand Safety:広告が掲載された場所(掲載面)は適切であったのか
  3. Viewability:表示された広告は視認できる状態にあったのか

このような課題は掲載面がネットワーク化され、全ての掲載面を必ずしも確認せず、クリックを重要視するデジタル広告に起こりうる特有の事象です。それぞれの定義を簡単に説明しましょう。

Ad Fraud

Ad Fraudはデジタル特有の自動的なサイト回遊システムであるクローラー、もしくは悪意のある第3者の仕組み等によって意図的に発生させられた広告表示などによって起こります。この広告表示の事をInvalid Trafficと呼び反対に有効であるValid Trafficの2つに大別されます。

  • Invalid Traffic – 実際のユーザー、消費者からではないトラフィック
  • Valid Traffic – 実際のユーザー、消費者からなるトラフィック

またInvalid Trafficの中でも、その種類はさらに2分類されており、悪意のないBotやスパイダー、クローラなどによって発生するGIVT(=General Invalid Traffic)と、マルウェアやアドウェアなどを用いて故意にトラフィックやクリックを発生させるSIVT(=Sophisticated Invalid Traffic)が存在します。

Invalid Trafficは北米では10%前後ともいわれ、日本でも多いケースにおいては6~8%程度存在していると言われています。デジタル広告のマーケットシェアの高まりにつれてAd Fraudによって発生する広告費用も大きくなっており、問題視されています。

Brand Safety

アダルトコンテンツ、ヘイトスピーチ、ドラッグといった危険なサイトに加え、交通事故・薬品事故といったネガティブなニュース性のある記事、最近は一般生活者が投稿するようなユーザー生成コンテンツ(User Generated Contents)などの、内容や品質がコントロールできないコンテンツへの掲載を回避することがBrand Safety対応になります。
これらの課題は特にネットワーク化・データによるターゲティングの効果・効率を追求した半面、掲載面の質が低下してしまったDSPや運用型広告に多くみられます。

Viewability

最後にViewabilityは広告がユーザーに表示される状態にあったかどうかを計測する指標です。現在業界のスタンダードとなっている測定基準はUSのMedia Rating Council (MRC)によって以下のように定義されています。

  • 静止画の場合     – 広告素材の50%以上が画面内に1秒以上表示
  • 動画の場合        – 広告素材の50%以上が画面内に2秒以上連続して再生
※PC/Mobileともに同じ定義

Viewabilityは様々な問題によって低下します。例えば、1st viewに表示されている広告であっても1秒以上表示される前にブラウザを閉じたり、すぐにスクロールを行う事でViewabilityは低下します。当然、画面の下の方に表示されていてスクロールされなかったものや、サイトの表示が遅いものも低下の対象になります。問題になっているのはViewableであるか無いかに関わらず、広告をImpressionで購入していた場合は全てが課金対象になってしまうという事です。

各種課題の現状

これらの透明性の議論は部分的にこれまでも行われており、各社対応を行ってきました。特に大きく業界全体での対応が進んだ背景には2017年1月インタラクティブ広告業界団体IABでの講演、Youtubeの不適切コンテンツへ広告が掲載されてしまったことによる大手広告主の出稿停止などが上がります。今では、Platformer/Mediaはテクノロジー活用でAd Fraudの除外、Brand Safetyの高い広告在庫の提供が当たり前になっており、Viewabilityの高い枠をネットワークした広告商品も日々出てきています。
日本でもAd Fraud/Brand Safetyについては限りなく0に近づけるために各種活動をしていますが、Viewabilityについては若干状況が異なります。日本では従来デジタル広告といえばクリックやコンバージョンが最重要指標であり、Reachやimpはそこまで重要ではありませんでした。つまり、Viewabilityの高低に関わらず、効率よく誘導が行えて、獲得が行えれば良いという状況でした。当然、Viewabilityは広告が本当に人に見られる状態にあったのか、を測定する指標なのでReachを目的とした出稿を行っている場合において非常に重要になってきます。これまでデータ上、100万impで平均FQが2回、50万人にReachしていたとされていて場合でも、Viewabilityが仮に50%の場合、Reachが半分になってしまう可能性もあるという事です。日本においては、まだクリックを重要視する傾向が強い為欧米に比べてViewabilityの議論はこれからという状況ですが、徐々にデジタル広告で潜在層を含めてReachを目的とした出稿が増えてきています。それらの状況に向けて各社ノウハウの蓄積を始めているという状況です。

デジタル広告の掲載を意図したものへ

最後に、これらの重要課題、日本での取り組み状況を踏まえて博報堂DYグループでの取り組み内容についてです。我々は、広告の透明性を改善する為のサービスとしてHakuhodoDY MQM_を構築しております。MQMはMedia Quality Managementの頭文字を取っており、広告主のメディア出稿の品質改善をマネジメントすることを目的にしています。
 本サービスのコンセプトは、複雑化したデジタル広告出稿に対して全方位で対応を行う事です。ツールを入れて計測を行うだけ、出稿メニューをリスクの全くないものだけに絞っていく、といった断片的な対応ではなくテクノロジーやスタンスを含めていかに全体の棄損リスクをなくしつつ費用対効果を高めるか、という事を主軸に提供をおこなっています。例えば、デジタル広告の重要な取引形態である、Programmatic buyingについては、テクノロジーを組み合わせることによって、事前に不適切な掲載面をなるべく排除した状態で買い付けを行う事や、Viewabilityの高い枠に広告を掲載していくこともできます。しかし、広告主はProgrammatic buyingだけを実施しているわけではありません。全ての出稿で適切なテクノロジーを活用できるとも限りません。会社としてのスタンスや意思も重要になってきます。それらを踏まえて、博報堂DYグループでは、重要課題である、「Ad Fraud」「Brand Safety」「Viewability」に対して買い付け手法(純広告,プログラマティック)と買い付けタイミング(Prebid,Postbid)を掛け合わせたサービスをマトリクス形式で提供しています。広告主は「Hakuhodo DY MQM_」を通して、現在の自社のデジタル広告の出稿に関わる状況を簡潔に把握でき、対応すべき領域とその解決策を導き出すことができるようになっています。

今後のデジタル広告の最適化に向けて

これらの透明性に関わる課題は、これからのデジタル広告の基礎になっていきます。重要なことは、これらの透明性を担保した上で、売り上げやブランド認知、広告認知といった広告に期待する成果を最大化していくことになります。透明性を保つために守りに入るのではなく、正しいメディア環境の中で高い広告効果を出せるように博報堂DYグループでは攻めのプランニングを行っていきたいと思います。

プロフィール

清水康隆
博報堂DYデジタル
ソリューションプラニング本部
メディアプラニングユニット インテグレーテッドプラニンググループ
デジタルメディアストラテジスト

2010年よりネット系広告会社でアドテクノロジーやデータを活用したデジタルマーケティング支援に従事。2014年に博報堂DYメディアパートナーズに入社。デジタル広告のメディアプラニングセクションにて、テクノロジーやデータを活用した統合プランニングを推進。2016年から博報堂DYデジタル、現在に至る。

星野怜生
博報堂DYデジタル
ソリューションプラニング本部
メディアプラニングユニット
インテグレーテッドプラニンググループ
ストラテジックプラナー

2017年博報堂DYデジタル入社。入社後一貫してProgrammatic領域の戦略構築を中心にHakuhodo DY PMP_の開発、プラニングやオペレーションを担当。
他にもデジタル広告の透明性に関わる課題解決ソリューションHakuhodo DY MQM_の立ち上げに関与。プラニングからメジャメントまで、デジタルメディアを中心に統合プラニングに従事。

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