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扱う”データ”について思うこと

ものすごい間が空いてしまいました。
あらためまして、CRMをテーマにした話の4回目は、我々が扱う”データ”について最近思うことを書かせていただいて、再開したいと思います。

(従来の)広告マーケッターにとってのデータ=○○○

我々広告会社のマーケティング(ストラテジックプラニング)担当者は、世の中のこと、生活者のことを知ろうと思ったときに、これまで様々な手法を用いて都度、データを集めてきました。その中でも、簡便性やコスト、スピード等の現状からWebアンケートによる調査結果データがその多くを占めるようになって久しく、その他の手法も色々あるものの、基本的には「調査データ」がほぼ大半で、データ ≒ リサーチデータになっていた(未だになっている?)と言えるかと思います。

ただ現実的には、それだけでは明らかにしたいこと(の取っ掛かり)に十分たどり着けないケースも出てきています。(生活者行動の複雑化、ビジネスパートナーからの要求レベルの高度化等に伴い)

さらに周辺動向として、以前申し上げたように様々なデータが扱いやすくなってきており、中でも事実や実績が測定・数値化されたデータ(私の周りでは「アクチュアルデータ」と呼ぶことが多いです)が充実し始め、更にはそれら同士がつながり、活用され始めている、というダイナミックな変化が起きている現状があります。
(ちなみにデータのつながり方については、個人情報の兼ね合いもあり、パーミッションがあった上で文字通り直接つながっているものから、類推してデータフュージョンで個人を特定しない方法で活用されているものまで様々あります)

アクチュアルデータの”強さ”。

話は少し変わりますが、数年前ある仕事でデータと向き合ったときに、あることを思いついて、試してみたことがあります。

その内容は、販売データを起点に分析し、買い方傾向によって何らかの分類をし、打ち手へと繋げる策を考えるというものだったのですが、確かにデータを元に購買傾向の類型化はできたものの、当初の手持ちデータだけだと、人の”質的側面”みたいなものはどうしても見えてきませんでした。そもそも知ることができそうな情報までは含まれていなかったからです。

そこで、見えてきた買い方に対して、それはどんな人か?を補完する情報を結びつけられると良いのではないか?と考えて、IDを媒介にリサーチデータを集め、その回答データと購買データを紐付けて分析してみたところ、一気に実態らしきものの輪郭が見えてきました。(例えば、AとBを使い分けている人は、このタイミングでこんなものを買う傾向がある、よほどのことがない限りAを選ぶ人はこんなことが理由になっていた・・・といった風に)

この体験はもう5年くらい前の話で、若干古く、DMPみたいな今時のワードも一般化する前ですが、その着想とアプローチで得られた結果には非常に得るものがあったなあと、今でもよく覚えています。(自分が知らなかっただけとも言える)ちなみに、博報堂グループで提供しているサービスの「Querida」も、データとデータを繋いで示唆を得るという点において、同様の発想で生まれた手法と言えると思います。

何が言いたかったかというと、

・ 記憶に頼らざるを得ない調査データでは、欲しい粒度で定量化しきれないケースがある
・ 一方で、実購買データの強さは「実際に買っているという間違いのなさ」「その購入品の粒度の細かさ」「そこに紐づく過去の履歴やタイムスタンプがある」といった利点がある
・ 調査データと購買データの両方があったとき、それらを個別のデータではなく、繋いで眺められることができると、それは「強い」データになる

ということです。

今までの調査データがある種の「推測」だとすると、「実測」で補完する、ということになります(あるいはその逆)。

とはいえ、リサーチも依然として重要。

そんな中で「データ万歳!さすがアクチュアル!ただしリサーチお前はダメだ」ということかというとむしろその逆で、重要度の高さとしてはむしろ上がっている印象を最近ひしひしと感じています。
前述の通り、実測系のデータは、それはそれで眺めると「どんな人なの?」「なんでそうしたの?」といったことが見えてきづらいある種の無機質さ(血が通ってない)を感じることも多々あるからです。

その理由としては、

・ リサーチは仮説をもって設計し、それが検証できるような流れや問いかけで設計できるのに対して、アクチュアルデータにはそれがないから
・ リサーチならではの、問いかけ方の妙や、どの数字に着眼点を見出すかこそがマーケッターの力の見せどころだから

といったことが大きいと思っています。

実際、ビジネスの現場で色々な得意先様やパートナー企業の方々と接していると、そうしたダイレクトに聴取したリサーチデータと、自身が持っているアクチュアルデータを紐付け・横断して現象を理解しようとするのは、アクチュアルデータベースドなビジネスを展開されているところほど、重視しているように思えます。

不変なもの。不可避なもの。

アクチュアル(≒実測)データのウェイトがマーケティング精度を上げるための情報としてそのプライオリティや重要性が高まっていくという流れはしばらく変わらないだろうなあ、とは思うものの、だからこそ、それらの情報がシングルソース的に繋がったとき、それが意味するところを読み解く力は改めてマーケッターに引き続き問われているステージに来ています。

「で?」「So What?」と返されるような、報告・示唆・提案になっていないアウトプットに陥らず、どれだけ目の前にある、ヒントとなりうる情報から着想し、拡げて、相手に信じてもらえる対話ができるか。特に「生活者発想」を標榜する我々の力量が問われているのだと思います。

※本記事は博報堂DYメディアパートナーズHPに掲載した記事を転載しています。
※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。

プロフィール

竹下伸哉
博報堂DYメディアパートナーズ
データドリブンプラニングセンター
データドリブンマーケティング二部 部長

通信キャリアでSE、広告宣伝、サービス開発を担当し、2006年に博報堂入社。以降、マーケティングプラナーとしてクライアントの企業のマーケティング支援に関わり続け、2013年より博報堂DYメディアパートナーズ。ここ数年はスマートデバイスアプリ活用や、企業が保有するデータと博報堂の生活者データを組み合わせた、統合型のマーケティングプランニングを推進中。タイ料理大好き。

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