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いわゆる「CRM」といわゆる「広告」の関係

(CRM・・・Customer Relationship Management)

これまで、ざっくり「CRM」といえば、「自社の顧客データを元に、応対内容や提供情報を分けて顧客と接し、顧客の満足度や購買単価を上げる取り組みのこと」を指していました。
一方で、これまたもっとざっくりですが「広告」といえば、「広く世の中に商品のことを知らせる宣伝をすること」を意味していました。

この2つは、これまでは別領域の扱いで、それぞれが企業にとっても、広告会社にとっても個別のビジネス課題でした。前提や要件が違っていたからです。

  • 目的が異なる

広告は、マスをベースにした認知・理解の最大化で、企業(広告主自身)のマーケティングに(間接的に)貢献する。
CRMは、既顧客をベースにしたクロスセル/アップセルで、売上(LTVや単価)に直接貢献する。

  • 手法が異なる

広告は、Paidメディア中心に、Owned/Earnedのメディアも組み合わせて実施する。
CRMは、Ownedメディア中心に、Earnedのメディアも組み合わせて実施する。

  • 担当者が異なる

広告は、主に宣伝系の部署が担当する。
CRMは、主に販売系の部署が担当する。

そんな中、この2つを横断して捉えることができないか、
そうすることで双方の効率を上げることができるのではないか、
というのが昨今のマーケティング課題の一つに挙がってきています。

なぜ、それらが繋がるとマーケティング活動がより良くなるのか、進化するのか。

これまで、自社の顧客データ活用対象は、いわゆるCRMの領域に限定されていました。既に顧客化した人々をリピーター化し、優良顧客に育成していく領域です。
一方、新規顧客を外から見つけて、連れてくる”獲得”の領域に関しては、キャンペーンなどで商品やサービスを認知・理解する生活者の実数を最大化し、そこから購入に至る「歩留まり」に期待して母数を増やすという考え方でした。冒頭に書いた通り、その2つの活動は、ほぼ分断されていたと言っていいでしょう。

そこが地続きで横断できるようになると、何がより良くなるのか。
端的には、以下のような点が挙げられるかと思います。

①施策とターゲットのマッチング率が上がる
「自社の顧客データを元に(CRM)、ターゲットを設定し、広く世の中に商品のことを知らせる(広告)」ことができるようになり、情報を届ける効果・効率の精度が上がる。そうなると、完全な「マス向け」メッセージよりも、実際にお客様になってもらいたい人に伝わる・動かす情報が届くようになり、そこから純度の高い「見込み客」が獲得できる。

②自社顧客理解が、新規のターゲティングそのものになる
「ある施策(広告やプロモーション)をきっかけにお客様になった人はどのような特徴を持っているのか、どのように自社の売上を支えてくれているのか(CRM)」という、顧客の可視化の精度や範囲が上がる。そうなると、どんな人にどこで接点を持つことが最終ゴールを見据えた場合に得策か、ビジネスゴール起点で施策を設計できるようになる。

広告とCRM、この双方を取り巻く環境が昨今進化してきたことにより、顧客化する以前の見込み顧客でも、解像度を上げて可視化できるようになってきました。それによって、データを活用した施策の領域を「購入の前後」、「CRMだけでなく広告領域」にまで広げることができるようになったと言えます。

「見込み客の解像度を上げる」とは。

一 生活者が顧客化していく、その前と後を図解すると、以下のようになるかと思います。

左の領域が、認知や理解の最大化を図り、そこからコンバージョン(顧客化)までの歩留まりに期待する発想の広告型アプローチ、右の領域がLTV(※Life Time Value・・・長期にわたる顧客価値)の最大化を図るCRM型アプローチとしたとき、実際は両者の境界近くに、お客様になる寸前まで気持ちが高まっている人や、まだそこまでの状況に至っていない人、関係ができたばかりの人etc.、ここには様々な状態の人が存在しています。その「状態」を伺い知るために、必要となる様々な情報をデータとして集めておき、その「眺め方」を見出して現状把握しておくことが、すなわち「解像度を上げる」ことを意味します。

そうすると、打ち手が変わる。

見込み客化した人、自社顧客化した人、それぞれの分解・理解が深まってくると、企業のマーケティング活動は自ずと変わってきます。いわゆるマーケティングの「4P」でいうと、広告やCRMはその一つの「Promotion」のPに属しますが、そのやり方一つをとっても、発想が以下の通り変わってきます。

  • ターゲットを「顧客像」ではなく、できるだけ「生活者像」で捉える。

ex. 自社から見るとお得意様でも、他社ではもっとお得意様だった。
→ そうなると、守るのではなく、攻め続けるアクションが必要になる。

  • ターゲットごとに、顧客化していくためのシナリオ(設計図)を描く。

ex. 関係の強さを、Cool ⇒ Warm ⇒ Hotの各段階で可視化してみる。
→ それぞれのブリッジを担う施策は、抜け漏れなく配置できているか?意図に沿っているか?

こうしたアプローチは、考え方としてはわかるんだけども、じゃあどうやってやっていくのか?という話になるかと思います。確かに実現するためには、周辺環境の整備、具体的なデータ活用、メディア活用、施策設計・運用など、着手する必要が各所に出てきます。

次回以降、こちらの場でもう少し続きを書かせていただきます。
よろしくお願いいたします。

※本記事は博報堂DYメディアパートナーズHPに掲載した記事を転載しています。
※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。

プロフィール

竹下伸哉
博報堂DYメディアパートナーズ
ダイレクトマーケティングビジネスセンター
ストラテジックプラニングディレクター

通信キャリアでSE、広告宣伝、サービス開発を担当し、2006年に博報堂入社。以降、マーケティングプラナーとしてクライアントの企業のマーケティング支援に関わり続け、2013年より博報堂DYメディアパートナーズ。ここ数年はスマートデバイスアプリ活用や、企業が保有するデータと博報堂の生活者データを組み合わせた、統合型のマーケティングプランニングを推進中。ガジェット大好き。

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